デビルマン 9日目(最終回) 「堕天使」

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親友の飛鳥了は正体を現す。
大魔神サタンとしての正体を。

彼は最後まで明と戦いを拒んでいたが、全ての黒幕であるサタンを前にして明は戦わずにはいられない。
かくして地球の命運を賭けた最後の戦いが始まる。

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悪魔というにはあまりにも美しい両性具有のその姿は12枚の羽根を持つ天使であった。
地球をバックに繰り広げられる壮絶なハルマゲドンが遂に始まった。
が、適当にパンチしていたら終わってしまった。
サタンに重なるとそれなりのダメージを受けるがサイコジェニーほどでもない。
そして3way光弾の威力はさっぱり弱い。これでいいのか大魔神サタン。
まぁ手加減してくれていたとみるべきか…

倒れたサタンは言う。
元々この地球とそれに住まう生き物は、神が作った。
だが神は醜悪な造形と狂暴な性質を持つその生き物――人間の言葉で言う悪魔たちを失敗作として滅ぼそうとした。
しかし失敗作とはいえ生み出した命を勝手に殺すなんて許せないと、神に反旗を翻した天使が1人いた。
それがサタンだ。

壮絶な戦いの果てで神の勢力を駆逐したサタンは、守り抜いた悪魔と共に長く眠りについた。
が、サタンが目覚めてみると、この美しかった地球は人間と呼ばれる現支配者によってすっかり汚されていた。
怒ったサタンはそんな人間を許せず滅ぼそうとし、そのために人間という生き物を知ろうと記憶を消し、自らも人間になった。
それが飛鳥了と言われる存在だ。

その結果…彼は不動明という男と親友となり、それどころかそれ以上の感情を持つようになってしまった。
それが人間を滅ぼそうとしながらも明を最後まで手にかけなかった理由だ。

こうしてサタンの望みは果たされた。
人間を駆逐できなくても、悪魔の全てを裏切ってでも、愛する明を生かすことが出来たのだから。
明はデビルマンとして生きることを決意し、疑心暗鬼に駆られ自滅・衰退していく人々を導く新たな標となった。
いつしか人々はデビルマンを神として崇めるようになった。

そして…

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残った人類を殲滅すべく現れた、サタン了の同族…神の使徒、天使たちに対し、明は最後の決戦を挑む…

これがファミコン版独自のエンドだ。
原作を踏襲しつつ、上手くアレンジしている良シナリオだと思う。

ちなみにサタンとの最後の戦いで明がサタンに敗れると、原作同様のエンドとなる。

人間を滅ぼすと誓ったサタン。
だがそれは、自身の父である神が悪魔を殺そうとしたのと何ら変わらない、傲慢な所業だった。
それに気づいたサタンだが、時は既に遅かった。

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愛する明は既に斃れ、そしてすべてを無にすべく天使たちが降臨しようとしていた…
デビルマンという原作を伝説たらしめたエンドで、このゲームは幕を閉じる。

デビルマン -完-




■感想

後世に与えた影響が計り知れないと言われるデビルマンという漫画。
その独特すぎる世界観を、ファミコンというごく僅かな容量の中で表現しようとした意欲作が本作だ。

正直容量がギチギチの中では説明不足の箇所もかなり多い。
が、そんな中でも原作を見事に昇華させようとしたその心意気は素晴らしいと思う。
グラフィックも永井豪のいい意味での不安定な絵柄がよく表現されており、独特の世界観を醸し出している。

肝心のゲーム内容だが、これはなかなかに厳しい。
敵の動きに工夫も無くキーレスポンスも悪い。
しかし何度もコンティニューできるし、それによるペナルティーも割とすぐリカバリできるようになっている。
下手に難度を高くしてストレスを際限なく溜めるより、いっそ割り切った作りにしている所も当時のゲームらしいと言えばそうか。
原作愛があれば充分許容できる範囲だ。

このゲームはおそらく原作ファンしか買わなさそうであるし、コレクターズアイテム的な意味では成功しているのかもしれない。
商業的にはいささか不安であるが…
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