獣神ローガス 13日目(最終回) 「終焉にして黎明なるもの」

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終焉の地Mosk最深部に鎮座していたカイゼル総督の駆る機体。
それは惑星連合の誇る最新鋭兵器RHザガードそのものだった。

それは攻撃能力も瓜二つだった。
武装の応酬の果ては共倒れしかなく、こちらは最終決戦兵器エネルギーバーストでとどめを刺そうとするが…
なんと、効かない。
相手はエネルギーバーストが使えない代わりにこの武器に対する完璧な耐性を持っていたのだ。
いったん撤退し、戦略を練り直すこととする。

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この地は道中は平坦な地ばかりなので、バルカンメインたまにバズーカとボムを使う程度で制圧できる。
こうして大量の武器を温存しカイゼル戦に臨む。
遠距離では貫通力のあるビームを撃ち込みちくちく削っていく。
そして敵が迫ってきて多弾頭ミサイルを撃ってきたらこちらも同様の攻撃で面の圧力を加える。
共倒れになりそうだったら上空に逃げるか、画面端に向かえばもう片方の端にワープするのでそれを利用しても良い。
冷静に戦えばビームだけで何とかなりそうだが、どうしても慌ててしまうようならミサイル連打でもなんとかなる。

かくして…

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敵RHザガードは砕け散り、カイゼル総督はついに倒れる。
なぜカイゼル総督はRHザガードという連合の最新鋭兵器を持っていたのか。
それ彼がある端末から情報を入手し、そっくりRHザガードと同じものを作り上げたからだ。

その端末とは、この宇宙にあるすべての情報にアクセスできる唯一絶対の存在…

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マインドエンハンサー

この閉鎖空間の中央で、二機による終焉の戦いをじっと見守っていた「もの」。
この「もの」は、この不毛の惑星ザゴスに以前存在していたという先史文明が残したものなのか。
あるいはこの「もの」自身が先史文明を滅ぼしたのか。

カイゼル総督はおそらくは便利な道具と認識していたであろう、この「もの」。
しかし実際に道具として扱われていたのはカイゼル自身だった。
この「もの」はカイゼルをターミナルとして扱い、そしてそのターミナルは性能に難があり、壊れた。

この「もの」…マインドエンハンサーは、新たなターミナルを欲していた。

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マインドエンハンサーと接続すれば、全宇宙のすべての情報を手に入れられる。
主人公・マクガドル大佐(少佐から昇進)の選択は…

マクガドル大佐による最終報告――

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先住種族による遺跡、未だ発見できず。
増援部隊の派遣は、必要なし。


真実は全て、闇の中へ。
そして、新調された「ターミナル」が、稼働を始める…

獣神ローガス -完-




■感想

もやっとした終わり方に、いかにも当時のSFらしさが出ていた。
マインドエンハンサーとは何だったのか。
なぜカイゼルも、そして主人公もターミナルになる道を選んだのか。すべては謎のままだ。

ただ、この話の冒頭ではこうある。
不毛の惑星であったザゴスに貴重な資源が眠っていると知った途端、各惑星連合の列強が欲望のままに入植を始めたと。
いくら人類が宇宙に進出するほど発展した世界であっても、その行動原理は古代から少しも進歩していない。
カイゼルやマクガドルの選択とは、人類のぬぐい切れない業の一端にしか過ぎないのだ。

地域の名前も最初の拠点が「Belin」で最後は「Mosk」。つまりベルリンとモスクワだ。
途中の地域もロシアやドイツの地名に似ている。つまり惑星ザゴスこそが、宇宙に進出した人類がとうに忘れ去った地――
「地球」だったのかもしれない…


このゲームは2HDディスク2枚組であり、CG1枚絵で世界観を詳細に述べるのが流行りつつあった中ではひたすら地味であった。
だがだからこそこのテキストだけで終わるエンディングは、プレイヤーに鮮烈な印象を残す。

ゲームとしては、当時のPCゲームの中では一級品なのは間違いないだろう。
最初は地味極まりない始まりだが、やがて画面に敵が埋め尽くされるほどの大激戦になっていく。
武装もそれぞれ使用意図があり、様々な戦術を構築できる。

そして戦略性も高く、如何に効率よく進軍するか、ただ目の前の敵を倒すだけでなく如何に敵の戦力を削減するか。
その為に如何に補給線を断つか。
今回のプレイではしなかったが、最速占拠クリアや低レベルクリアも楽しめるだろう。
当時のゲームでそのようなところまで設計されていたのは誠に異端だった。
地味と片付けられてしまうのが多いゲームだが、その設計思想は10年は先に進んでいたと思う。

あらゆる面でPC98の性能がなければ実現できなかったこのゲームは、非常に勿体ないとしか言いようがない。
あと3年遅く発売して、98が市場を席巻する中、キャッチーな1枚絵ビジュアルでユーザーを引き込めていたら…

ちなみにビジュアルに全振りしてゲーム性を度外視させたのが、ほぼ同時期に発売されたスクウェアの「ブラスティー」であろう。
ブラスティーは獣神ローガスとある意味対局に位置しているゲームだが、ある意味最も近いとも言える。
お互い共に勿体ないところが多すぎた。
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