2020/04/27
ガンダーラ 1日目 「聖地に立つ」

ガンダーラを始めます。
80年代半ばから、PC88市場においてフルカラースクロールのARPG(アクションロールプレイングゲーム)が増えてきた。
代表的なのはハイドライドやイースだが、我らがエニックスも負けてはいない。
満を持して発売されたエニックスの誇る超大作ARPG、それがこのガンダーラだ。
この作品は実に気合が入っている。
グラフィックには槇村ただし氏。
ダイナミックプロ出身の漫画家であるが、88黎明期から数々のグラフィカルなゲームを制作されてきたことで知られる。
80年代前半に少年時代を過ごしてきたおっさんならば、エルドラド伝奇などで残してきた彼の功績を知らない人は居まい。多分。
その彼が蓄積してきたノウハウのおかげか、グラフィックの質は当時としては群を抜いていた。
プログラムは日高徹氏。
言わずと知れたプログラムの神様である。そのわりにはこのゲームスクロール遅くね?という声もある。
が、それは4MHzのCPUを標準として開発したからと思われる。
事実4MHzでもほとんどスクロールが波打ちしないし処理落ちも無い。
4MHzでも8MHzの場合とほぼ変わらない挙動になるのは結構すごいことなんじゃないかと思う。MSX2版?知らない子ですね…
音楽はすぎやまこういち氏。
この方については今更語ることもあるまい。ウィングマン(ゲーム)の戦闘シーンの曲はたった10秒なのにエライカッコよかった。
さすがCM音楽の重鎮である。
なんでも高校時代は哲学にハマり、あまりに難しいので息抜きで勉強していたら東大に合格したというよくわからない方だ。
かように相当豪華なメンツで作られたこのゲーム、果たしていかなるものであろうか…!

以下ストーリー。
かつて8つある世界のうちの6つ、すなわち人間界・地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・天上界には悪逆がはびこっていた。
しかしそれを重く見た仏陀は、各世界の悪逆をつかさどる邪神を鎮圧。
仏陀の死後、その遺骨を6つの世界のストーパに収められ、仏陀の守りに満たされた6つの世界は平和な時間を過ごしていた。
しかし1000年も経つとその遺骨の力は失われ、それと共に封印された邪神が再び蘇る。
そこで8界のうちの一つ、仏界から虚空蔵菩薩と不動明王が地上に派遣された。新たな仏陀となりうる人物を探すために。
だがその捜索中、虚空蔵菩薩は邪神に焼かれ瀕死の重体になり聖地ガンダーラで倒れる。
ガンダーラを訪れていたシッタールは虚空蔵菩薩を看病するか、看病むなしく彼は散る。
仏陀となりうる人物を探し出し、邪神が奪った仏陀の遺骨の入った仏舎利壺を取り戻し、ストーパに収め世界を解放する。
地上に降り立った仏たちの意思を引き継ぎ、シッタールは自ら邪神討伐に赴く…
非常に重厚ではあるがどことなく無理がある、当時のゲームのストーリーをよく表している。
そしてイースに見られた美少女ヒロインやイケメンがゴロゴロという今でも通じるキャッチーな要素が1ミリも無い。
女子供ユーザーをぶった切りに切り捨てるこの男気、この時代のゲームは多かれ少なかれこのようなものであった。

ゲーム画面はまさしくイース…といいつつも、実はこのゲームの方が発売日が2か月ほど早い。
そしてイースよりもはるかに書き込まれたグラフィックに目が行く。
だがやはりスクロールの遅さはいかんともしがたい。
世界解放中は意外と気にしないのだが、世界解放後お使いで行ったり来たりをしていると色々と辛いものはある。
また攻撃もイースのように体当たりと言うわけではなく、スペースキーで剣を繰り出さないといけない。
この剣攻撃は本格的とえいばそうなのだが、当たり判定が非常に小さくこちらは攻撃できず敵の攻撃ばかり当たったりする。
経験値の溜まりもあまり早くなく、初めの数十分で躓いた人も多いかもしれない。
そんな惰弱なやろうどもはこちらからお断りだいという本ゲームの矜持を存分に堪能されたし。
優しさを売りにしたのはイースだが、昭和のゲームにおいてそれはとてつもなく異端だったということがわかるであろう。
まぁイースもボリューム不足のせいで売り文句に困って苦肉の策で出したのが優しさ、という噂もあるが…

しばらく進むと、虚空蔵菩薩と共に地上に降り立った不動明王の居る建物が見つかる。
見よ、このロリコンや腐女子が裸足で逃げ出しそうな憤怒の形相。これこそが80年代PCゲームである。
もしも彼が長髪美男子とか女体化ロリ幼女だったらこのゲームの歴史は変わっていたかもしれない。
それはともかく、彼は今のところ何もくれるわけでもない。精々次のレベルアップまでの経験値を教えてくれるくらいだ。
ちなみに彼は現在シッタールの居る人間界だけでなく、6世界全てに分身として立っているらしい。
突っ立ってるだけなんて暇そうでいいなあと思うが、多分裏方役兵站役としてそれなりに苦労しているのであろう。多分。
そんなわけでシッタールの大冒険が今はじまるのであったのだった。
- 関連記事
-
- ガンダーラ 5日目 「功徳を積む」
- ガンダーラ 4日目 「人間界解放」
- ガンダーラ 3日目 「輪廻転生」
- ガンダーラ 2日目 「菩提樹と法力」
- ガンダーラ 1日目 「聖地に立つ」
コメント