シムアース 11日目(最終回)「グレタさん、見守る」

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Hej(こんにちは)、日本のみなさん。
環境活動家女子高生のグレタです。
好きなものは美しい自然、嫌いなものは二酸化炭素よ。

旧人類が滅びて数億年。新たに生まれた新人類は再び産業革命を起こし、再び原子力時代を迎えた。
旧人類は原子力時代に資源を廻り戦争を起こしたのち滅びた、というか戦争ばかりしているのでわたしが滅ぼした。
なので新人類については徹底的に資源を温存させた。
その結果現在とは非常に緩やかながら、旧人類ではたどり着けなかったナノテク時代まで出現させた。

これまでこのゲームで学んだこと。
それは進歩のない種は滅びるしかないということ。
そして進歩した種は地球には不要、ということ。
そこで私はナノテク文明の扉が開くと同時に、化石燃料と原子力エネルギーのすべてを解放させた。
その結果…ついに発動した。
エクソダス計画が。

これは都市にエンジンを取り付け、新たな惑星に旅立つ計画だ。
地球を巣立つ、親離れするという計画だ。

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わたしが今一度人類を信じたことは、間違えていなかった。
資源は枯渇しつつあったが、人類が新たに獲得した技術は、戦争をも克服する力だった。
人類は次々と宇宙へと旅立っていく。
地球を親離れし、宇宙へ飛びだった人類が立派な大人になるのか、どうしようもない大人になるのかは、わからない。
進歩した種が地球を汚したように、宇宙もやがて汚すことになるのだろうか。

例えそうなったとしても、そもそも汚されるなんて概念は地球には無いのと同様、宇宙にも無い。
百億年という歴史の中において、一瞬の汚れなんて誰が気にするものか。
ただいずれ、その宇宙をも巣立ちしなければいけない時期が来るのは確かなのだろう。

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子供の巣立ちを見守った地球は、再び静かな進化の時代を迎える。
やがて新たな種が新たな地球の支配者となり、ある種は自滅して滅亡し、ある種は巣立つ。
そして迎える、地球の100億歳の誕生日。

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死を迎える太陽に飲み込まれ、地球も終わる。
これがこのゲームのエンディングだ。
スーパーファミコン版のシムアースはそれなりのエンディングはあるけれど、ほぼ原盤である98版唯一のエンディングは、これしかない。

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老衰
形ある全てのものが等しく迎える、唯一絶対のエンディング。
これをもって、このゲームは終わる。

シムアース -完-


■感想

無論これをもっていずれ滅びるなら自然保護なんて無駄じゃん、なんてことは言わないわよ。
政治家は任期中の数年をどう生きるかを考えていればよく、ガイアくんは人生100億年をどう生きるかを考えていればよく。
そしてわたしのようなピチピチの女子高生はあと80年をどう生きるかを考えないといけない。
その80年を、戦争と公害にまみれ、枯れた植物に囲まれて生きるとかやっぱり嫌じゃない。

とはいえ、このゲームは教えてくれた。
停滞したままでは滅亡するしかなく、発展しても滅亡しかない。
いずれ親離れしないといけない。
わたしのすることなすことには、やっぱりどことなく乳臭さはあるのかな。
その点は反省しなきゃね…

キモはやっぱり
「資源を使いまくると戦争」「ただし情報化社会で意思を共有すれば戦争は起きない」
というところかしら。

このゲームが出来たのは1990年。
ネットはまだまだ一部の特権階級のもので、市井では極一部の人間が音響カプラでピーガーやってるだけだった。
そんな時代にとって、まだかすかにしか見えていなかった情報化社会。
それは「意思を共有できる素晴らしい世界」と、少なくともこのゲームの開発者であるウィル・ライトはそう思っていたのだろう。

今はまさにウィルが期待した情報化社会真っ盛り。
それが果たして素晴らしい世界なのかどうかは、あなたに判断を任せるわ。

なんか軽い気持ちで始めたこのゲームだけど、ずいぶん深淵なゲームよね…
まぁそう思わなきゃやってられないゲームって言うのが正直なところだけど。

おわり
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