シュタインズゲート 50日目 「神様(まゆりEND)」

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オカリンの戦いは、今ここに終結する。

SERNのデータベースに収集された、Dメールの痕跡。
これを消すことで、世界線は元に戻る。
まゆりが生き、紅莉栖が死んでしまうβ世界線に。

キーを叩くオカリン。
データベースへのクラッキング、開始。

その瞬間、リーディングシュタイナー発動。
世界線変動率は…1.130238%
鈴羽の言葉によれば、世界線変動率の1%超えはβ世界線への移動を意味する。

ついに、ついに…ついに!
オカリンは、まゆりが死なない、本来あるべきβ世界線へ戻ってきたのだ…!

見回すと、そこはラボの中。
さっきと同じように、ダルとまゆりが居る。

まゆりは微笑んで、こちらに手を重ねてくる。
そしてさっきまで触れていた自分の白衣の肩口。
紅莉栖が縫ってくれた不器用な裁縫跡は…

無い。

でこぼこした感触も、場違いなピンクの縫い糸も、全て綺麗さっぱり。

タイムリープマシンを見る。
いや、これは、ただの電話レンジ(仮)だ。
何故なら、紅莉栖が施した痕跡が消えているから。

このラボ全体の、紅莉栖の居た痕跡だけが、綺麗さっぱり消えていた。
紅莉栖はもう、この世界線では死んでいるからだ。20日も前に。

この世界には、ラボメンナンバー004牧瀬紅莉栖は、いない。
彼女はβ世界線に否定されたから。
ラボメンは最初から、オカリン、まゆり、ダルの3人だけだった…。

溢れる涙。
驚くまゆり。
もうどこにも行かないでくれとオカリンはまゆりに訴え、まゆりも涙ながらに頷く。
二人はこれまでも、これからもずっと、いっしょに居ることを誓う。

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紅莉栖の存在は消えた。
それこそが、世界が再構成された証。

そこは、SERNによる超管理社会のディストピアの可能性が消えた世界。
鈴羽がその身を犠牲にしてまで叶えようとした世界。
これまでと同じように、変わらぬ自由が約束された理想郷――



それから3日ほど経っても、まゆりが死ぬ事は無かった。
まゆりはこの世界では否定されていないと、確信。
その後、電話レンジ(仮)とIBN5100を解体した。
これによってSERNの襲撃という可能性も、完全に消えた。

1階では店長がいつものように変わらぬ姿で42型ブラウン管を愛でている。
過去の新聞に目を通すと、人工衛星がラジ館に落下した記事はついぞ無く。
そして新聞の端の方を見ると、牧瀬紅莉栖という名の少女がラジ館で殺された、という小さな記事が、載っていた。
牧瀬紅莉栖の存在はもう、オカリンの心の中にしか残らない存在になってしまったのだ――



オカリンとまゆりは、共にアキバを歩く。

二人はただの幼馴染、マッドサイエンティストと人質という何ともな関係から、恋人同士になっていた
まゆりを救う為に帆走してきた20日間を通して、オカリンはまゆりに対する自分の本当の気持ちに気付いたからだ。

そして、まゆりももちろん、これまでずっと言葉にはできなかったけど、自分の気持ちに気付いていた。
ただ、その最後の一押しを、夢の中で見た女の子に後押しされたという。

その子は名前も顔も思い出せないけど、すごく大切な友達で。
夢の中でその友達は、

「まゆり、あなたは、幸せになりなさい」

と言ってくれた。
その人がこういってくれたから、まゆしぃは今幸せなんだ。
この人、誰なんだろうねー?
そう朗らかに笑うまゆり。

牧瀬紅莉栖は、オカリンの心の中だけの存在ではなかった。
人はやはり、夢やデジャブという形で、異なる世界線を認識できるのだ。
それは牧瀬紅莉栖という具体的な形でなくても、その人は確かに居て、まゆりを救って、勇気をくれたのだ。

オカリンは答える。

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「きっと、神様だ。」

オカリンはα世界線からβ世界線に移動したことで、紅莉栖を殺した。
しかしそれはオカリンの主観でしかない。
紅莉栖の主観からすれば、そこにはまた別の世界が見えているはずだ。
彼女はどこかの世界線で、鳳凰院なんたらと口げんかする夢を見つつ、研究に勤しんでいるのだろうか。

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神様が居るなら、きっと空の上。
手をつなぎ空を見上げる二人。

まゆりとオカリンを救ってくれた、勇気をくれた「神様」もまた、どこかの世界線で同じ空を見上げているはず。
きっと――

(まゆりEND)





感想。

このルートの感想は、つらい。
オカリンのもたらしたDメールが周りをことごとく歪ませてしまうのも辛いし、紅莉栖が身を引くのも辛い。

とにかく紅莉栖のいい女っぷりがやばい。
実際はオカリンがβ世界線へ移動したことで、α世界線がどうなったかはわからない。
紅莉栖がα世界線で生きているのか、α世界線ごと消えてしまったのかは、わからない。
だけど、きっと別の世界線で生きていると信じたい。

ふと思ったのだが、IBN5100を手に入れてどうこうよりも、オカリンが一番最初のDメールを送る前に、その内容を否定するDメールを送れば良かったような。
「ああ見えて紅莉栖は生きている」とか…
そうすれば紅莉栖が死んだというメールも流れず、SERNも感知しなかったのでは無いか…?
まぁDメールは不確実性も高いから、より確実な手段を取ったということか。


ともあれ、これでオカリンは元の世界に戻った…はずであり、このゲームも終わる――


そんな訳がない。

根本的な謎が、まだ全然解決されていないではないか。

SERNの野望が潰えたはずのこのβ世界線であっても、

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タイムマシンは出現しているのだ。
物語の最序盤に、完全な姿で。
これはFG104、つまりダルの作ったタイムマシンだ。

さらに、初めてオカリンが紅莉栖に会った時、紅莉栖は15分ほど前に辛そうな顔をしたオカリンに話しかけられたといっていた。
つまりこの時間軸においてオカリンは二人居て、もう一人のオカリンはFG104を使って過去に来たのかもしれない。
何の為に?

そしてしれっとこの世界線のエンディングではIBN5100を解体したとあった。
これも良く考えるとおかしい。
オカリンが元居た世界線であれば、IBN5100がラボにある理由が不明だ。
鈴羽が過去に戻りIBN5100をフェイリスパパに託しそれが柳林神社に奉納される。
SERNによるディストピアが無いはずのこの世界線においては、鈴羽が過去に戻る理由も無く、故にオカリンの手元にIBN5100は無いはずだ。

まだある。
オカリンが一番最初のDメールを送る前に届いた、謎の差出人からのノイズ動画。
そのメールアドレスのアカウント名は、

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sg-epk
シュタインズゲート・エル・プサイ・コングルゥ?
オカリンの口癖だ。
これが何を意味するのか?

オカリンにたびたび届いた脅迫メールも気になる。
ゼリーや、人形の生首の絵が添付されたメールだ。
最初は萌郁かFBかと思ったが、どちらもそんな殊勝なメールを送る性格でもないだろう。
そもそもゼリーという添付画像は、「ゼリーマン」という存在を知っている側が送ったとしか思えない。
それは誰なのか?

更に。
オカリンは、紅莉栖が消えまゆりが生きるこのβ世界線こそが、自分が元居た世界だと思っている。
その世界線変動率は、1.130238%。

しかし、物語の冒頭、オカリンが一番最初のDメールを送る直前に表示されたβ世界線の世界線変動率は…

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1.130426%

まだ、終わっていないのだ。

そもそも、このβ世界線において、何故紅莉栖は殺されたのか?
誰が?
何の為に?

もっと別な何かは居る。確実に居る。

まだ、一番重要なルートが残っている。
次回からは、もう一度このゲームを最初からやり直し、そのルートに入ってみる。
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