2022/06/26

猫のレストランに辿り着いたスターダンス達。
そこは星々の宇宙士が集うカフェであり、猫耳をした妙な老人によって運営されていた。
アンティークで静かな雰囲気だが、その中にステファニアは…居ない。
かわりに見かけは13歳ほどでかわいらしいが、老人のように落ち着いている少女が出てくる。
名前を間蘇(マソ)と言い、ステファニアに万古を殺す技を仕込んだという。
ステファニアは伝説の鳥使いと契約したことでその能力を得ていた。それを元に彼女を今まで修行させていた。
万古の力の解放とは万古を殺すこと。万古は死ぬことで宇宙を誕生させ、新たな律を作るから。そういう種族なのだ。
天界はこの宇宙を破壊し再び1から再生させようとしている。それが現在定められている律だからだ。
一方魔王は宇宙の破壊をせず、万古を殺すことで従来の律に縛られない新たな宇宙を誕生させようとしている。
この宇宙を守るために、この宇宙に生きる全ての者たちを救うために、ステファニアは1人旅立ち、万古を殺した。
だがその直後、ステファニアは天帝…天界の長にとらわれてしまった。
万古の死は実際は鳥使いの契約者、つまりステファニアだけでは無理で、伝説の鳥使いによって完遂する必要がある。
その伝説の鳥使いが…スターダンス。
民間伝承のおとぎ話と思っていたのだが、彼の父母からしてそれもまた定められていたことなのであろう。
天帝はステファニアと引き換えにスターダンスの身柄を要求。
スターダンスさえ居なくなれば宇宙の再生は止められないからだ。
つまり宇宙を守るならば、すなわち万古の力の解放を完遂するならばステファニアを見捨てなければいけない。
ステファニアを守るならばこの宇宙は破壊される。
宇宙か、ステファニアか。
決心がつかないまま地球塔の中枢に降りると、そこに父ローズ…天界人の始祖オデュセイアが居た。
オデュセイアは飽くまで天界人として、万古を開放しうるスターダンスを止めようとする。
交わされる親子の剣戟。
そして…決着。
倒れ伏す父オデュセイア。
父は言う、心のままに行動せよと。個人の思いも宇宙の一部なのだから。
スターダンスは決心した。宇宙よりも大切なもの。
最初から分かっていたことじゃないか。
スターダンスは天帝の元へ行く。
最愛の人を救う為に。
スターダンスはステファニアと引き換えに天帝に殺されるだろう。
それにより万古の解放は不可能となり、この宇宙は破壊される。
だが宇宙の崩壊までには、ステファニアが寿命を全うする時間はある。
それだけで充分だ。
十数年の時を経て、二人は邂逅する。
ステファニアは声を絞り出す。
この宇宙に生きる全ての者たちを救うために私は立ち上がった。
なのにこの人は私のためにこの宇宙を犠牲にするという。
何て愚かで、馬鹿らしくて、そして…

愛しい人なのか。
ずっと言えなかった言葉をステファニアは言い、そして彼女の祈りが間蘇達に届く。
その瞬間、スターダンスは間蘇の力により万古の目に瞬間移動。
目の端に見えたのは、ステファニアの涙。
隣にいる、ステファニア。

凍てつく虚空の果てで、共に。
スターダンスの目から涙がこぼれ落ち、それが万古の目に王冠を作った瞬間、万古の力は開放。
死亡した万古から、新たな地球と宇宙が生まれていく。
それをじっと見つめる猫耳のおじいさんと間蘇。
お爺さんのかつての名はヨーガ。
天界人の始祖オデュセイアの前世であるオデュセイア・タンタンとブーイブーイ提督の間に生まれた息子。
間蘇は転生したスターダンスの母にして魔王星の始祖アマンディーヌ。
天界と魔王星のオトシゴたちの手を通じ、宇宙は再生より新生を選んだ。
新しい世界に塗り替えられていく宇宙。
死んだはずの者も、仲違いしていたはずの者たちも、全ての関係が修復され、蘇った。
カサンドラとタキオンは仲良く話し合い、ロマンシアやオデュセイアさえも蘇る。新しい律による新しい宇宙。
だがそこにスターダンスとステファニアは居ない。彼らは新しい宇宙の曙となったのであった…
スターダンス -完-
■感想1999年、インターネットをいじり始めて間もない私は、その時に出会ったこのゲームに激しい衝撃を受けた。
独特すぎる設定に壮大過ぎるストーリー、それに見事にシンクロした音楽。
厳しく言えばこのゲームのストーリーは激しく独りよがりだ。
自分の描きたいシーンや設定を、5W1Hなど窓から投げ捨てひたすら連ねた感が強すぎる。
だがそれがいい。
そのプリミティブさが良すぎる音楽とこれ以上なくマッチしているのだ。
無論商用ゲームと比べればあらゆる面で隙がありすぎるが、だからこそ客に媚びることも無く、純粋に魂を感じられる。
そうした作品が、私は大好きなのである。
ちなみに本作のラストではスターダンスとステファニアは一緒に死んでいる…と解釈した。
が、描写を見るとステファニアがスターダンスだけを万古の目の上にぶん投げていると見えなくもない。
だがそれだとあまりにあんまりである…
というわけで、素晴らしいゲームをありがとうございました!