ねじ式 3日目 「少女」

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このゲームの主人公「T」は、沼を出て村を探索する。
すぐ近くに密林があり入ってみるが、中は迷宮となっている。
ここも廃ビルと同様、カーソルキーで移動で切るのだが、その所々に「人影」が居て、「追う前に追われた事はあるか」と言った妙な質問ばかりしてくる。
回答をしてもその返答も妙であり、なんだかメンタルに来る恐怖ゲームをしているようで恐ろしい。

どうもこの迷宮は案内者というのが居ないと抜けられないようなので、今は捨て置き引き続き村を回る。
すると茶屋があり、近寄ると少女が「寄っていきなせえ」と声を掛けてきた。
つげ作品に出てくる不滅のヒロインの1人、「紅い花」の儚げな茶屋の少女キクチサヨコである。
おお、かわいい!
が、この場では特に何かが起こるわけでもない。

このゲームはとにかく色々な所を回り色々な人々に会い、いろいろな話を聞く。
それでフラグが立ち、再び最初の場所に居た人に話しかけるとこれまで得た情報について聞けるようになっており、そこからまたフラグが立つ仕組みになっている。
この時代でも珍しいコマンド総当りゲームではあるのだが、その気だるさがつげ義春の作品世界に不思議に合っていてあまりストレスは感じない。
まぁこれがレトロゲーム補正というやつかもしれないが。

というわけでキクチサヨコと一旦別れ、別の所に行く。
すると…

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「にしらはろくな銭もねいくせに海だ山だってけつかる。本当にたまげたもんだ。」

と、ぶっきらぼうに話してくる少女に出会う。つげ作品不滅のヒロインの1人、一銭五厘で居酒屋に買われたコバヤシチヨジである。
彼女と出会うと村はずれにあったもっきり屋という居酒屋が開くようになり、酒が飲めるようになる。
飲んでいるうちに悪酔いして奥で寝かされたTは、その夜店先の喧騒に起こされる。
チヨジが客と赤い靴を賭けてがんばれチヨジをしている、あのおなじみのシーンだ。
見せられないよ!まぁ色気はさっぱり無いが。

原作ではそのまま主人公は帰ってしまうが、このゲームでは彼女の為に赤い靴を探せるようになる。
さてどこにあるか。むげい(向こう側)の雑貨屋だろうか。
どうもこの村はつげヒロイン総登場な場所な気がするので、ここの店主は恐らく「沼」の耳が切ないです少女だろうか。
うむ、きっとそうだな!と思って意気揚々と行って見ると…

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「必殺するめ固め」のおっさんだった。
色んな女に痴漢をし、気に入らない奴は謎のプロレス技必殺するめ固めでお仕置きをする胡散臭すぎるおっさんが大活躍する漫画だ。
つげ作品でもややマイナーな部類のこの作品をここで持ってくるとは…
この斜め上すぎる誰得展開…くそっ。

で、このおっさんは雑貨屋なのだが赤い靴は売っていない。
役立たずである。
というか裸で接客するなと。

だが何だかんだ人物情報も集まってきたので、ここでもう一周この村を探索してみる。
これでまた新たな道が開けるだろう。
次は誰が出てくるのか…

ねじ式 2日目 「沼」

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「町」で行ける所は一通り回ったので、次は駄菓子屋でアイテムを買う。
天狗の面やらメンコやらを買える。
この町では天狗の面がキーワードになっているようで、それを持ち歩きつつ色々な場所で人々に天狗の面について尋ねたり使ったりする。
すると相手の反応が変わったりしてフラグが立って行く。
(多分)ジャンケンしているばあさんに天狗の面をあげる、障子の向こうの男に天狗の面について尋ねることが、ゲンセンカンの風呂に入れるフラグのようだ。

風呂場に入ると聾唖の女主人がおり、さっぱり嬉しくない裸体が拝める。
そこでおなじみのへやで、である。
果たして女主人の部屋に行き天狗の面を付けると…主人公(作家)の序章のエピソードが沸いた、ということでタイトル画面に移る。

1日目でも書いたが、このゲームは作家である主人公が自伝小説を書くために自身の創作世界にダイブしている…という設定だ。
いわば夢の世界をウロウロしているようなものであり、前後の脈絡はぐちゃぐちゃである。
気にしていたらキリが無いので気にせず進む。
ちなみにこの時点で主人公の名前はTというのがわかる。つげさんだろうか。

序章を書きあげた主人公は再び創作世界にダイブする。
今度は密林であり、その密林の中に廃ビルがある。
中に入る。

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それはダンジョンであった。
ここは初見だと戸惑うであろう。
ESCキーを押すと移動モードになるので、カーソルキーで進んでいく。
3Dダンジョンっぽいのだが実際は1枚絵を連続で表示しているので、曲がり角の絵が見えた時点でカーソルキーで曲がれるというのを留意するとよい。
こんな所で攻略情報を書いた所でこのゲームを今更やる人は居ないと思うが…

廃ビルを進むと地下に下りる階段を見つける。
下りて更に進むと…小部屋があり、中には川の絵を描いた壁画があった。
立ち寄ってみると意識が遠のき…

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沼へと移る。
全くもってさっぱりな展開だが夢の世界なのでしょうがない。
ここではそのようにどなったれば耳が切ないですつらいですの少女でも出てくるのだろうか。

ねじ式 1日目 「町」

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ねじ式を始めます。
言わずと知れた漫画家・つげ義春の怪作「ねじ式」、これをゲーム化したもの。
1989年発売。

この頃はパソゲーの全盛期でもあり、バブルの残り香もある時代故、今と違ってかなり冒険が出来た。
今のゲームは良くも悪くもディズニー映画の如く売れる仕掛けが所々にあるが、そんなの頭の片隅におかずとも商売の出来た良い時代であった。
このゲームが採算を取れたかどうかはよくわからないが…

以下ストーリー。
40歳を過ぎて物書きを始めた遅咲きの作家がいた。
そしてその創作活動は10年も過ぎそれなりに評価されてきた所で、出版社から自伝を出してみないかという依頼を受ける。
そこで五十過ぎのその作家は、今一度自分を振り返るために戸惑いつつも自分がこれまで作り上げた創作世界に自身を埋没させる…

さすがつげ義春の世界を扱っているゲームなだけはあり、イマイチ良くわからないストーリーである。
とりあえずこの「創作世界」というのが、作中の主人公が作り上げた世界であり、その世界はつげ義春がこれまで描いてきた世界…
「ゲンセンカン主人」や「もっきり屋の少女」、「紅い花」や「ねじ式」等の世界がごちゃまぜになったもののようだ。
これら作品名を聞いてピンと来ない向きは、おそらく今回のこのゲーム記事も意味不明だと思うので回れ右をするが良い。
というかつげ作品を何十回と読んでいる、この記事を書いている私も意味不明なのだが…

それでは早速その創作世界に没入する。
その世界は寂れた町になっており、いろいろな場所に赴くことが出来る。

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まずはゲンセンカン宿。
陰鬱なグラフィックが実に素晴らしい。
まだ泊ることができないようなので、時間つぶしにほかの所も回って見る。

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しなびた家並みの障子の向こうに映る影。
つげ義春作「ゲンセンカン主人」を知っていれば懐かしい絵である。
そうでない人にはさっぱりだが。

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老女たちがたむろって居る場所。
老人になるということは童子になることでもあり、童子とはある意味確立された確固たる信念なのだ。
惜しむらくはここは「おばあさんのしゃぶっているのはニッキのようですね」「そうだよあげないよ」にして欲しかったところである。

その他駄菓子屋も回った後、ゲンセンカン宿に止まることにする。

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聾唖の女主人が相手にする。
彼女は生まれ付きまともな言葉をしゃべれない。
それは前世の因縁だと女中の老女は言う。そういうものなのだろうか。

このゲームの目的もその目的を達成すべき手段も何一つさっぱりわからない所がまた実につげ義春的だ。
クリアできるかどうかわからないが、というかそもそもクリアという概念すらあるかどうかも不安なのだが、とりあえずセーブする。

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セーブ画面も実にねじ式だ。
こっちが色々教えてもらいたいところである。

というわけで、次回からいよいよ本格的にこのゲームの世界に入り込んでいく。
不安すぎる。