シュタインズゲート 48日目 「まゆりとオカリン」

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今オカリンが居る世界線はα世界線。
「牧瀬紅莉栖が殺された」というDメールがSERNに感知されてしまった為に、まゆりが死んでしまい、超管理社会というディストピアに未来が分岐する世界だ。

まゆりを助けるには、β世界線に行くしかない。
そこはオカリンが一番最初に居た世界。
SERNに目を付けられず、よって未来は分岐せず、結果まゆりの死も何も起きない、これまでと変わらないユートピアが続く世界であり――
紅莉栖が誰かに殺されてしまった世界だ。

まゆりが助かる世界線に行くことは、紅莉栖が死んでしまう世界線に行くことだ。
どちらかを選べばどちらかが死ぬ、そんなのオカリンに出来るわけが無い。
なんとか二人とも助ける方法は無いのか、考える時間を得る為にオカリンは3日前にタイムリープしたが、結論など得られなかった。

そうしてラジ館の屋上で一人悶々としていたところを、紅莉栖に見つかる。
彼女はいい子だ。どの世界線でもオカリンを助けてくれた。
その彼女を殺さねばならないのか、他に方法は無いのか?
まゆりを助けることは、紅莉栖を殺してしまうことだ。
その懊悩を聞いた紅莉栖は…思いのほか、冷静だった。
自分が死んでしまう、消失してしまうかもしれないのに、達観していた。

そもそも阿万音鈴羽の言っていたアトラクタフィールド理論、それ自体本当なのかと紅莉栖は問いただす。
アトラクタフィールドとは、世界は基本的に一本線だが、細かいところで幾つか分岐することもある。
しかし必ず一本の線に収束する、というものだ。
これは本当に正しいのか?

現在オカリンたちが居るα世界線と、オカリンが行こうとするβ世界線。
ここでオカリンがβ世界線に移動すると、α世界線が無くなってしまうのか、あるいは二本が同時に存在するのか、それはわからないのだ。
なぜなら世界線の移動云々と言うのはこれまで起こった全てが、オカリンの主観であるからだ。

オカリンの主観からすれば、オカリンがβ世界線に移動すると紅莉栖が助からないわけで、結果的にオカリンが紅莉栖を殺してしまったと思えるかもしれない。
しかしα世界線に居る紅莉栖から見れば、オカリンは紅莉栖が死んでしまったというβ世界線に移動したに過ぎないのだ。

オカリンがほいほい世界線を移動するたびに世界が再構築されるならば、世界はオカリンを中心に回っていることになる。
でもそれではオカリンはまるで、神様だ。
ということは、同じ脳を持っている同じ人間の紅莉栖だって、同じ神様と言えるかもしれない。

鈴羽が未来から来たということも、アトラクタフィールド理論も、今の紅莉栖達では証明する術が無いのだ。
である以上未来は依然として無限の可能性の塊であり、証明できない事に気を病んでいてもしょうがないじゃない。

紅莉栖はそう天才科学者らしく結論付けたが、平たく言えば、「気にするな」と言ってくれたのだろう…

その時、まゆりから電話が来る。

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オカリンは最近まゆりと話し込んでいない。それはオカリンはまゆりを助ける為に帆走し煩悶し続けているからだ。
そのことを知る由も無いまゆりは、自分がオカリンにとって重荷になっているのではと自分を責める。

そんなことは断じて無いのに。
重荷だったら、こんなに何度も苦労してタイムリープしてDメール消去などするものか。
他の大切な仲間を犠牲にしてまで…

「それなら、その思いを素直にまゆりに伝えた方がいい。」

非リアの助手に諭されるオカリン。ぐぬぬ…
でも、そうだ。
まゆりがそう思っているなら、そうでないことを伝えた方がいいに決まっている。

が、まゆりとの携帯は何故かつながらない。
コミマ会場にも行ってみたが、居ない。
どこに言ったのだ…?この時間はまだ「世界に殺される」時間ではないが…
あと考えられる場所は…まゆりの祖母の墓だ。
昔はよくまゆりといっしょに墓参りに行っていたから。

果たして、そこにまゆりはいた。
まゆりは墓前で、自分の心境を吐露していた。

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最近、怖い夢を見るという。
誰かに銃で撃たれたり、車に轢かれたり、電車に轢かれたり。
その都度オカリンが助けてくれるのだ。
そしてその都度、まゆしぃは大丈夫だよというのだが、オカリンには聞こえない。
そんなところで目を覚ます、と…。

まゆりもまた、フェイリスやルカ子と同じく、分岐した様々な世界線のことを思い出せるのだ。
これはオカリンのリーディングシュタイナーというほどでもないが、人は誰でも、夢やデジャブという形で、異なる世界線を認識できるのかもしれない。

そしてまゆりはさらに吐露する。
最近オカリンと話していなくて寂しいと。

オカリンがラボを一人で設立した時、やや遅れてまゆりはラボにやってきた。
そこで二人だけの気だるい時間を過ごしていた。
あまり何も話さず、同じ空間を過ごしていただけだけど、オカリンがどう思っていたか分からないけど、そんな時間が、泣けるほど嬉しくて。
何故そう思うのか、うまく言葉に出来ないけれど。

やがてラボメンは増えた。紅莉栖・萌郁・フェイリス・ルカ子・鈴羽。
オカリンは彼らとすごい楽しそうにしていた。
オカリンが楽しそうだから、まゆりもすごく楽しくなった。

でも、二人だけの気だるい時間を過ごす事は、もうできなくて。
でもオカリンが楽しいなら、それでいい。
ずっと二人だけでこのまま、というわけには行かないから。

すると…

「まゆりは、今のままでいい」

と、オカリンはまゆりに話しかける。
そんなオカリンを見て喜びに溢れるまゆり。

やっと、二人の心がつながったのだ。
なんとなく、掛け違えたボタンのようだったお互いの気持ちが、やっとここでぴったり合わさった。

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二人は家路に着く。
これまでも、これからも、変わらぬ関係で居る為に。

けれどその関係を望むのならば、紅莉栖を消失させなければならない――

シュタインズゲート 47日目 「天秤」

FB、つまり天王寺からの携帯から、過去の萌郁の携帯へ、IBN5100捜索中止のDメールを送る。
これにより、先の世界線…萌郁がFBにIBN5100を見つける任務を遂行したメールを送り、結果萌郁もFBも死んでしまう未来は回避される、はずだ。

結果…リーディングシュタイナー、発動。
世界線、移動。

移動した世界線では、萌郁は先の世界線のように鬱極まるようなことも無く、いつものぼーっとした萌郁に戻っていた。
そして携帯依存も元に戻っている。任務中止、つまり任務が遂行されない以上、FBは萌郁を見捨てることは無いからだ。
そしてFBが死ぬことも無い。FBが生きている以上、綯が狂気に走ることも…無い。

ただ当のFB本人は任務停止のメールは送ってないわけで、この点の齟齬が明るみに出たらどうなるかはわからないが…
とにかくこの世界線では萌郁はIBN5100の捜索を止めているはずで、故にIBN5100はラボにある世界線になっているはずだ。
そしてそれは…

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間違いなかった。
ついに、ついにオカリンは、IBN5100が手元にある世界線にたどり着いたのだ。

この世界線では既にダルはIBN5100の使用方法を解析しており、いつでもSERNのデータベースをクラッキング出来るという。
おお!

さぁ、あとは一番最初にオカリンがダルに送ったDメールの内容をSERNのデータベースから削除すればいいだけだ。
このDメールを世界諜報システムエシュロンが感知し、SERNのデータベースに収められてしまった為、オカリン達はSERNに目を付けられてしまった。
つまり、どうあがいてもまゆりを救えず、やがて紅莉栖もSERNに拉致され来るべきディストピアの礎となることが確定した世界――α世界線に分岐してしまった。

この最初のDメールを「無かったこと」にすればいい。

そのDメールの内容は、「牧瀬紅莉栖が殺された」。

そのメール内容は、エシュロンを通じSERNのデータベースに記載された。
このことがきっかけで、世界はα世界線に分岐した。
ならば、SERNのデータベースからこれを消せば世界はα世界線に分岐しないはずだ。
オカリンたちがSERNに目を付けられない、まゆりが死なないβ世界線に戻るはずだ。

戻る。

戻る…?

戻るっ…て?

戻るということは、牧瀬紅莉栖が殺されたと世界線に、戻るということだ。
つまり…

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牧瀬紅莉栖は、死んでしまう。
まゆりが助かる世界線に行くことは、牧瀬紅莉栖が死んでしまった世界線に行くことなのだ。

まゆりを助けたければ、紅莉栖を殺せ。
紅莉栖を助けたければ、まゆりを殺せ、ということだ。

鈴羽、フェイリス、ルカ子…
大切な仲間たちの思い出を全て消し、やっとIBN5100を手に入れた世界線に戻ってきたオカリンを待っていたのは、余りにも酷い選択だった。

オカリンは即刻クラッキングを中止する。
まゆりは大切な幼馴染だ。
しかし、紅莉栖も大切な仲間なのだ。
もう、何度タイムリープして、その度に何度紅莉栖に勇気付けられてきたことか。
どちらを選ぶなんて出来ない、出来るはずがない。

オカリンは散々悩み、結論も出ず…8月17日になった。
オカリンはまゆりと一緒にコミマに出かけた。
これまでどおりなら、まゆりは今日死ぬ。

ならば最後は、まゆりが喜ぶことをしてあげたい。
事実、まゆりはとてもうれしそうだ。

これまでオカリンは何十回とまゆりの為にタイムリープしており、帆走し続けたオカリンはすっかりまゆりと話す機会が無くなってしまった。
まゆりはそれが寂しかったのだ。
何故寂しかったのは、まゆりもわからない。
いや、薄々感じている。
オカリンもだ。
互いの気持ちは、もう、薄々感じている。
けれど、まだ気持ちは微妙にすれ違いだ。

そしてそのすれ違いを残したまま、17日の夜――

ラボに戻ろうとするオカリンとまゆり。
しかし、ラボは明かりがついていない。
誰も居ないだけかもしれないが、この世界線ではFBも萌郁も健在であり、IBN5100の捜索も再び続けられているかもしれない。
まゆりを待たせて注意深く道を渡ってラボに近づくオカリンだが、そこに…白いワゴン車が、オカリンめがけて突っ込んできた。

オカリンが轢かれそうになった瞬間。
まゆりがオカリンを庇い――身代わりに轢かれてしまった。

死に行く彼女は、最後にこうつぶやく。

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やっと、役に立てたと。

役に立てた?なぜまゆりがオカリンの役に立とうとするのだ?
まゆりはオカリンのことを、どう思っていたのだ?

最後まで気持ちがすれ違ったまま、まゆりは星空に手を伸ばし・・・そして死んでしまった。
数々見てきたまゆりの死の中で、これが一番心を抉られた。

わかっていたはずだ、まゆりの気持ちも、自分の気持ちも。
それをお互いうまく伝えられないまま、まゆりは死んでしまった。
タイムリープしてこの事実から目を背ける事は簡単だ。
しかし、お互いの気持ちに沿おうとするなら、β世界線を選ぶならば…
紅莉栖は死んでしまう。

出口の見えない迷路を延々とさ迷い歩くように、オカリンは再びタイムリープする。

シュタインズゲート 46日目 「歪みの連鎖」

オカリンと桐生萌郁に銃を向けてくる「FB」こと天王寺。

SERNのルールとして、こうある。
SERNの下部組織であるラウンダーの目的は、IBN5100の回収。
そしてそれを発見した者は、例外なく、殺される。

阿万音鈴羽は過去の世界で全資産を失って打ちひしがれていた天王寺を助けた。
だからこそ天王寺は、人間らしい生活を営むことが出来た。
その彼がSERNの手先だったとは、鈴羽はどんなに悲しむことか。
オカリンは歯軋りしながら天王寺に訴える。
それを聞いた天王寺は…

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自分のこめかみにピストルを当てた。

ラウンダーとは、萌郁のように、現実世界で生きていくことが出来ないはみ出し者を集めて作られた組織。
そして一度ラウンダーとしてSERNに仕えたならば、SERNに反抗する事はその家族まで消されることを意味する。
天王寺の大事な、隣で寝ている一人娘の綯に危機が及ぶということだ。

加えて、ラウンダーは目的を果たせば、消される。
ラウンダーはSERNの犬…というより、家畜なのだ。
それは同じくラウンダーである天王寺も例外ではないのだ。

どうしてこんなことになっちまったのか。
自嘲気味に笑いながら、天王寺は、自害する…



なんとも後味の悪いものを残しながら、オカリンはFBの携帯を手に入れた。
そうして天王寺の家を出るが、そこで待っていた紅莉栖にふと話しかけられる。
天王寺の娘、綯がささっと裏口から出て行ったことを。
父親の自殺を見たのか?それにしては冷静すぎるが…

とりあえず萌郁の家に戻るオカリンたち。
FBの正体を知った萌郁はショックを受けているが、心が壊れる程ではない。
既にオカリンと何度かの心の通ったやり取りを通じて、メンヘラコミュ障な彼女は一皮剥けたのかもしれない。
もう、FBが居なくても立ち直るかもしれない。新しい人生が歩めるかもしれない。

しかし、この世界線では萌郁はやがて死んでしまうはずであり…それは事実になった。
ただしそれは自殺ではなく…他殺だった。
ひょっこり現れたに、背中から包丁を刺されてしまったのだ。

綯の目は…尋常ではなかった。無垢な少女の目ではなかった。
その目は、憎悪に染まっていた。
父親の死を見たからか?いや、何かが違う。
綯はオカリンを一瞥し「お前は15年後に殺す」とつぶやき、笑いながら去っていった。
どういうことだ…一体この世界線は何なんだ?
何故こうも狂っている?天王寺も、萌郁も、綯も!

しかしわかっている事は一つだけある。
この歪みは全て、オカリンのDメールから始まっている。
オカリンが最初に送ったDメールをSERNが感知した事で、世界は歪み出したのは間違いない。

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萌郁は致命傷を受け、死んでいく。
これまでのことを後悔しながら。
そしてこの世界線ではまゆりを殺していないが、FBからの命令であれば躊躇無く殺していたであろう事を、オカリンに謝罪しながら、彼女は死んでいく。

こんな状況になっても、萌郁は自分の弱さと過ちを認め、相手に素直に謝ることができる女性なのだ。
根っこはすごく純真な、いい子なのだ。
歯車の掛け違いさえなければ、萌郁は普通に幸せな人生を営めたかもしれない。

オカリンにとっては許すことの出来ない萌郁。しかしその境遇を汲み取り、オカリンは彼女を赦す。
なぜなら彼女の歪みもまた、オカリンのせいかもしれないからだ。

気になるのは綯だ。どうしてあそこまで狂ってしまったのか?
その理由を突き止めるためにタイムリープし、天王寺自害後、綯が家の裏口から出るところを捕まえる。
そこで彼女は、恐るべき事実を語りだす。

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笑いながらオカリンの腕をナイフで切り刻みながら。

綯は、15年後の記憶を「思い出した」のだ。
天王寺は自害した。しかしそれを止めなかった萌郁と、そもそもの元凶であるオカリンを、綯はこれから先の15年間ずっと恨んでいたという。
15年後ラウンダーとなった彼女は、SERNに対抗するレジスタンスのリーダになっていたオカリンを拉致、監禁。
激しい拷問の末死に至らしめたという。

そして彼女はラウンダーにより摂取されたオカリン達のタイムリープマシンを用いて、単純計算で2738回タイムリープ。
実際はトラブル等でその倍以上の数のタイムリープをし、執念で未来から現在の世界まで戻ってきたのだ。

オカリンがこの世界線に来た時に見たタイムリープマシンの挙動、あれは未来の綯が行った最後の跳躍だったのだ。
父親を見捨てた萌郁が自殺するのを許さず、自らの手で復讐を下す為に。

そしてこの世界線では、オカリンは15年後に死ぬ。これは現在ではどうあってもオカリンを殺す事は出来ないことを意味する。
世界がこの時点ではオカリンの死を望んでいないからだ。
未来からの知識でそのことを「思い出した」綯は散々オカリンをいたぶった後、笑いながら去っていった。
萌郁を殺す為に。

純粋無垢だった彼女をここまで変えてしまったもの。
それもまた、オカリンがもたらした歪みの結果だった。

傷の痛みに耐えながら、オカリンはふと考える。
天王寺はなぜ、IBN5100を萌郁が見つけた時点で殺さなかったのか。
SERNのルールならまっさきに萌郁が殺されてしかるべきなのに。
思うに、天王寺は萌郁を生かしたかったのかもしれない。
自ら連絡を絶つことで、萌郁を自立させたかったのかもしれない。
天王寺も根っこは純粋で、人の痛みがわかる、いい人なのだ。
そんな天王寺もまた、オカリンが歪ませた一人なのだろう。

全ての原因は、オカリンがDメール実験を安直に推し進めたことにある。

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ならば、消す。
これまで送ったDメールの痕跡は、全て消す。

獲得した天王寺の携帯、つまりFBの携帯から、萌郁へ指令を出す。
IBN5100の捜索は中止せよと。
そうすれば、萌郁はIBN5100の捜索を止め、それ故にFBも萌郁も目的未達成となり、両者に死が訪れる世界線では無くなる筈だ。
それはそのまま綯の歪みが修正されることも意味する。

綯の復讐は、果たされない。そもそも、FBが死なない世界線になれば、その動機が無かったことになるはずだから。
そしてIBN5100が盗まれず持ち出されもせず、ラボにそのまま存在している世界線になる、はずだ――

シュタインズゲート 45日目 「FBの正体」

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FBは萌郁を見捨てた。
10日前にIBN5100を手に入れた萌郁はもはやSERNにとって用済みであり、コンタクトを断ったのだ。

FBに依存していた彼女はそれに絶望し、4日後、つまり8月15日に死んでしまう。
しかし萌郁はオカリンにとっては何度もまゆりを殺した憎むべき敵。
彼女がFBにどれだけ依存していたかなど知らないし、知りたくもない。
自分で考えることをせず、命令とあれば何度でもまゆりを殺す人形のようなメンヘラ女のことなど、どうでもいい…

FBに見捨てられて打ちひしがれている萌郁から、IBN5100はどこに持って行ったかを聞く。
それはとあるビルに隣接されたコインロッカーに収めたという。
そのコインロッカーは、以前のルカ子がIBN5100を隠した世界線と同じ位置にあった。
まさしく、IBN5100はこの位置にあるように収束されているのだろう。

現地に行く。幸いなことにまだ回収されていない。
オカリンはバールのようなものを持ってきてコインロッカーを開こうとするが…警察に捕まって説教されてしまう。
ええい、こんなことをしている場合ではない。
再びタイムリープをし、今度はコインロッカーを見張ることにする。
ここで見張っていれば、FBもしくはFBにまつわる者が回収しに来るはずだ。

途中、萌郁を誘ってみるが、彼女はFBに会ったら幻滅されてしまうといって来ようとしない。
こんなにメンタルの弱い奴のこと等知るか!と一人で見張るオカリンだが、遅れて萌郁がやってくる。

彼女はオカリンに本音を話すことで、いつしか携帯メールでの会話をせず、オカリンの目を見て話せるようになっていた。
彼女が知らないうちに、彼女は少しずつ外の世界に目を向け始めたのだ。

二人で交代で見張る。そして1日後…
しょぼくれたおっさんがコインロッカーを空ける。
萌郁曰く、FBはお母さんのような女性らしいので、このおっさんは運び屋だろう。

後を付けるオカリン達だが、まかれてしまう。
運び屋は複数居るようであり、電車の乗り降りのタイミングをずらしたりしてこちらの尾行を巧みにまいてくるのだ。
しかしこちらにはタイムリープマシンがある。
何度もまかれるたびに、タイムリープし正しいルートを選択していく。
尾行しつつ東京をぐるりと回り、たどり着いたところは秋葉原のとある交差点だった。
なんと手の込んだことを…

やがて交差点にワゴン車が止まる。
車から出てきたのはなんと…

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店長だった。
!?

まさかミスターブラウン…天王寺店長がFB!?
そんなばかな。FBは女性だと萌郁は言っていた。
ならば彼もまた運び屋か…?

それにしてもSERN関係者がこんな身近にも居たとは。
だから彼のビルからSERNに向けて一本線の回線が通っていたのか?
そもそも彼はSERNの関係者なのか?信じがたい。信じたくない。
が、彼はIBN5100をワゴン車に積んで走り去ってしまった。

追跡するオカリンと萌郁。
天王寺の乗るワゴン車は彼の家に止まり、そのままIBN5100を家の中に運び入れた。
オカリンと萌郁は交代して彼の家を見張り、そして2日後の15日の夜――

まゆりが一番最初に殺されたあの夜に襲撃してきた男たちが天王寺の家に集まり、IBN5100を再び運び出してしまった。
追跡するオカリンと萌郁だが、IBN5100は成田空港からフランスへ航空便で輸送されてしまった…

つまり、日本においては天王寺がIBN5100収集のゴールなのだ。
FBは女性らしいので、天王寺の嫁あたりがFBの正体なのかもしれない。

そして翌日の16日の夜、まゆりは紅莉栖と共にコミマに行き、そして紅莉栖の目の前で、予定通りというにはあまりに辛らつであるが、死んでしまった。
やはりこの世界線ではまゆりは救えない。
FB、つまり天王寺まわりにコンタクトを取って携帯番号を聞かねばならない。

15日の朝にタイムリープ。
オカリンは紅莉栖に事情を話し、オカリン・萌郁の二人で家に入り、紅莉栖は外で待っていてもらう。

朝早くの訪問に関わらず、天王寺はやたら上機嫌である。
IBN5100が手に入る予定だからか…?
彼女の娘の綯は、まだ隣の部屋で寝ているという。
単刀直入に切り出すオカリン。

「あなたは、ラウンダーか?」

すると天王子の答えは――

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M4とは、FBと萌郁の間でしかわからないコードネームだ。

いや待て、FBは女のはずだ。萌郁もお母さんのようだったといっていた。
だからFBは天王寺の妻ではないのかと。

しかし、妻は既に死んでいるという。
萌郁にメールを送っていたのは、天王寺自身。
彼がお母さんのフリをして、萌郁を操っていたのだ。
萌郁は自分に自信が無く、誰にも認められたことの無いメンヘラである。
そういう人間はとても扱いやすいのだと、彼は言う。

やはり、天王子がFB…?

そこで天王寺は言う。FBは世界で初めてブラウン管を考えた科学者、フェルディナント・ブラウンの略。

疑惑は確信に変わり、そして…

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銃を向けるFB。

突然のことであり、これに対する対抗策はオカリンたちには、無い。
だがアトラクタフィールドの収束によれば、オカリンはこの時間ではまだ殺されない。殺せない。
一方別の世界線では、この時間帯に萌郁は自殺している。
つまり、萌郁はこの時間帯に「世界に殺される」。

果たして…?

シュタインズゲート 44日目 「依存」

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桐生萌郁は、15日には自殺してしまう。
そうなると彼女の携帯もわからず、彼女の携帯から取り消しDメールを送れなくなってしまう。
それはまゆりの死に直結する。
なので自殺する前の彼女に会わねばならない。

タイムリープ。彼女の部屋に再びやってくる。
ノックする。反応なし。
しかし扉が開いている。開くと中は装飾も何も無いうらぶれた部屋であり、その暗がりで萌郁はひたすらメールを打っていた。

呼びかけても反応無い。
やがてこちらに気付いたようだが、反応がうつろだ。
どうもオカリンをFBと勘違いしているらしい。

FBとは過去の世界線で彼女を脅したときに聞き出した、ラウンダーにおける彼女の上司の名前だ。
言葉の端々から確認すると、彼女はIBN5100を手に入れた。つまり任務完了したわけだが、その途端にFBから連絡が来なくなったらしい。
彼女の携帯の画面を見ると、ひたすらFBFBFBFBFBFBFBFB…と打ち込んでいる。
ひどい携帯依存である。

しかしそんなことはどうでもいい。まゆりの命が大切だ。
オカリンは一瞬躊躇し、そして萌郁の首を締め上げる。
相手は何度もまゆりを殺したSERNの犬だ。遠慮は要らない。

彼女は精神的に参っているようであり、銃も手元に持っていないようだ。
そのまま携帯を奪い、外に出る。
ドアに背中を預けてふたをして、メールをする。
萌郁のDメール内容は、機種変した携帯の使い勝手が悪いので、機種変はするなというDメールだ。
これを「機種変しろ」とDメールを送れば良い。
すると過去は改変され、世界線は変わるはずだ。

ラボに待機して入り紅莉栖に連絡し、Dメールを送れるようにスタンバイしてもらい、送る。
世界は―――

変わらなかった
相変わらず萌郁はドアをどんどん叩いている。
殺されそうな勢いだ。

ふと萌郁から奪った携帯を見て、妙に思う。
機種が、変わっていないのだ。
萌郁は最新機種の紫色の携帯に機種変し使っており、その機種変をするなというDメールを送った。
それで世界線が変わったのだから、萌郁から奪って現在オカリンの手元にある携帯は旧機種、少なくとも最新機種である紫の携帯ではないはずだ。

つまり、彼女の送ったメールは機種変に関することじゃなかった。
もっと別のことだ。
やはり逃げているわけにはいかない。萌郁に聞かねば。

ドアを開き、暴れる萌郁を取り押さえる。
ケータイ依存症をこじらせて禁断状態になり、精神が参っている彼女を押さえつけるのはたやすい。

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しばらく暴れていたが、観念する。
観念したところで本当のDメール内容を聞き出そうとするが、教えてくれない。

彼女がケータイ依存症の禁断症状が出ているのは、FBからの連絡が無いからだ。
それは彼女が任務達成した時点で、用済みになったからだ。
つまり、彼女はFBから捨てられたことになる。

そのことを看破すると、彼女は酷く嘆き、動揺してしまった。
彼女はこのとおり人前でまともに話すこともできないメンヘラだ。
そんな彼女にFBは初めて居場所を与えてくれた、お母さんだという。

でも会った事は無いという。あくまでメールでのやり取りのみ。
会ったら幻滅されてしまうので会いたくない、という。
そこでIBN5100を手に入れたことをメールしたら、連絡が来なくなってしまった。

お前はその大切なお母さんに裏切られたんだ、利用されたんだよ、と容赦なく事実を突き立てるオカリン。
この世界線ではまだ萌郁はまゆりを殺していないが、ここまでFBに依存している彼女は、命令ならば殺すだろう、と言っている。
それほど依存している存在にお前は裏切られたのだと、オカリンは萌郁を心理的に追い詰め、無抵抗にする。

そうしたところで彼女の言葉のヒントから、Dメールの内容はIBN5100に関することと知る。
着信履歴を精密に漁ってみたところ…

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あった。
レトロPCは柳林神社至急回収せよ
これを取り消すDメールを送れば良い…!
再度送信。世界線は――

変わらない。またしても。

萌郁からのメールでは、萌郁は動かないのだ。
彼女が依存しきっているのは、この世界で唯一、FBだからだ。
FB…つまり萌郁のお母さんと自称している女上司の携帯を手に入れるしかない。

だがFBはどこに…?

シュタインズゲート 43日目 「α世界線4」

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ルカ子を男に戻す為のDメールを送る。
リーディングシュタイナー、発動。
世界線は、変わった。

自分を抱きしめていたはずのルカ子のぬくもりは消え、振り返ると、ルカ子がきょとんとした顔でこちらを見送っていた。
一瞬躊躇して、聞いてみる。お前は、男かと?

ルカ子は、男に戻っていた。
まだ俺のことを好きかと聞くと、ルカ子は「尊敬しています」と曖昧な返事返す。
ルカ子に前の世界の思い出が残っていなければ、オカリンはまた一つ思い出を犠牲にしてしまったのだ。
あと何度俺は・・・と悔やんでいる場合ではない。
立ち止まったら、全てが終わってしまうから。
今はもう、前に進むしかない。

これまで移動してきた世界線は4つ。
鈴羽の望みを叶えた世界がα世界線1。フェイリスの望みを叶えた世界がα世界線2。ルカ子の望みを叶えた世界線がα世界線3。
これらは全て、オカリンがまゆりを助ける為に消してしまった世界線だ。
そして現在は、α世界線4。

世界線が移るたびに、まゆりの死は1日ずつずれている。
α世界線1の時、つまり鈴羽を引き止めた世界では、13日の金曜日の20時ごろにまゆりは死んだ。
その後世界線が変わるたびに14,15日とずれた。今回の世界線であれば16日の20時頃に死んでしまうはずだ。

今日はコミマの日だが、これらのことを紅莉栖に説明し、まゆりに同行してもらう。
まゆりの死を看取ってもらうために。
しかし、世界線の移動を検知できない紅莉栖に対しオカリンのこれまでの話を聞くのは初めてだが、毎回真摯に聞いてくれる。
一人孤独に戦っているオカリンは、一体何度紅莉栖に助けられているか分からない。
ありがたいことだ。

さて、オカリンが紅莉栖と別行動を取った理由。それは残る二つのDメールを消す為だ。
リーディングシュタイナーが発動したDメールは残り二つ。
一つはロト6の当選情報を消すこと。これはオカリンが自身に送ったメールなので、消すのはたやすい。
もう一つが問題である。それは、出来れば二度と口にしたく無い名前…

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桐生萌郁
彼女が送ったDメールを取り消さなければならない。

彼女が送ったDメールの内容は、ケータイの機種変更はするなという内容。
彼女はケータイの機種変をしたが、それが気に入らなかったから取り消す、そんなメールを過去の自分に送った。

それを取り消すには、彼女の携帯からそれを取り消すDメールを送らないと意味が無い。
本人以外の携帯で送ったところで、迷惑メールとして処理されてしまうからだ。
つまり、彼女に会いに行くしかない。

ラウンダーである彼女に会う事は、下手したら死んでしまうことを意味する。
なにしろ萌郁は躊躇無くまゆりを殺した女だからだ。タイムリープするたびに、何度でも。
出来れば会いたくないが、会わなければまゆりは救えない。

意を決して彼女の居所を探す。まず彼女のバイトしていた編集プロダクション。
ここは既にやめていたそうだが、履歴書から彼女のアパートを教えてもらった。

そこに行って見ると…そこはひどいぼろアパートだった。
しかも…立ち入り禁止の帯が張られており、警察が居る。
萌郁の親戚だと偽り、何が起きたかを聞いてみると…

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自殺

桐生萌郁は、昨日の昼頃に自殺してしまったという。
自殺…?

SERNの手先、ラウンダーの彼女が、何故自殺?
なんだ、何が起きているのだこの世界線は?
おかしい、何かがおかしい。

とりあえずラボに戻りビルに入ろうとするオカリンだが、そこでとんでもない状況を目にする。

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誰かがタイムリープマシンを使っている!

使えるとしたら、ダルか紅莉栖しか居ないはずだ。
しかし両者はこの時間は共にコミマに行っている。
では一体誰が!?

わからない、さっぱり謎である。
先ほどの萌郁の自殺を見てからのこの展開、とにかくこの世界線はおかしい。
いや、むしろ核心に近づいているのか?

ダッシュでラボに入るが…中は既に誰も居なかった。
設定を見たところで、タイムリープマシンを使った後では履歴を追う事は出来ない。

非常に気になるところだが、今は時間が無い。もうまゆりが死んでしまう時間は迫っているのだ。
そして、16日の20時頃。

紅莉栖から電話が入る。
泣きはらした声で。目の前でまゆりが突然死んでしまったことを、告げた。

やはりまゆりの死は世界線を移動するたびに1日ずつずれ、回避できない。
桐生萌郁の携帯からDメールを送り、世界線を変えるしかない。

オカリンはタイムリープマシンを使う。
自殺する前の桐生萌郁に会うために――

シュタインズゲート 42日目 「共犯(ルカ子END)」

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オカリンの取った決断は、まゆりを見殺しにすることだった。

もう疲れてしまった。
沢山の大切な人達の思い出の屍を積み重ねることが。
今またルカ子の思い出を消してしまったとしても、まゆりが必ず蘇るとは限らない。
もう、疲れた。

夕方になり一人でビッグサイトに行くオカリン。
まゆりを待つ。
朝方のまゆりのことを思い出しながら。

朝、まゆりはコスプレ衣装を取りに早くにラボに駆けつけ、そこでオカリンと鉢合わせした。
オカリンはルカ子と一緒にコミマに行く予定だと話すと、まゆりはとても喜んだ。
今日も明日も明後日も、がんばって案内するよと、とてもうれしそうだ。
まゆりはオカリンたちが来るのを本当に楽しみにしていた。
けれどオカリンたちは行かなかった。

まゆりは衣装を持って、とぼとぼと一人ビッグサイトから出てくる。
とても寂しそうだ。
そこでオカリンと会う。
ひとしきりなじられはするが、ルカ子と何だかんだ楽しい時間を過ごしていたからというと、まゆりは打って変わって自分のことのように喜んだ。
なぜならルカ子はまゆりにとってとても大切な友達であり、彼女が楽しいならまゆりも楽しいからだ。
まゆりはそんな子なのだ。

まゆりはルカ子にコスプレさせたがった理由を話す。
無論可愛いものを愛でたいという気持ちもあるが、引っ込み思案なルカ子に自信を付けさせる意図もあった。

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コスプレすれば、ルカ子はもっと楽しい人生を開けると思ったからだ。
そうしてあげたいと思ったのだ。

まゆりは、そんな子なのだ。

そのまゆりを、見殺す。


星空の下、天に手を伸ばすまゆり。
いつもの癖。
そして、ややあって――
まゆりは突然、死んでしまった。
心臓発作か何やらか。とにかく、世界に殺された。
けれど誰にも看取られず、一人で死ぬことだけは回避された。
隣にオカリンが居たから。
これでよかったのだ。これで…


まゆりは死んだ。
オカリンは告別式にも行かなかった。
自分が見殺したんだ。行ける筈が無い。
でもそうするしかなかった。

ラボに引きこもるオカリン。
しかしそんなオカリンを、紅莉栖は諌める。
これまで一人で全ての責任を背負ってきたこと、何度も時間をさかのぼってきたこと、その結果の選択であることは認める。
しかし、今のオカリンと同じ気持ちを持っている子がもう一人いるはずだと。
それはルカ子だ。
一人で閉じこもっている場合じゃない。ルカ子も同じくらい、心を痛めているはずだと。

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彼女は、泣いていた。
自分が女であること、望んだ姿であることが、まゆりの屍の上に成り立っていること、そんな事は耐えられない。
今でも遅くない。何か方法はないのかな、タイムリープマシンを使って何か。
彼女は必死に訴える。

けれどそれはもう、散々オカリンがやってきたことなのだ。
もう何十何百時間、遡ってきたか分からない。
だから、この結果を選んだのだ。
全ての罪を背負う為に。

だけどルカ子は言う。自分もまゆりの屍の上に立っている以上、共犯者であると。
オカリンは一人じゃない。自分も世界線のズレを感知してしまった、因果の外を外れてしまった一人だと。
この世界で孤立した二人だと。
だから、これからも二人で支えあって生きていこうと訴え、それを受け入れるオカリン。

その夕方、ルカ子は決意する。
自分はまゆりを悲しませたままだった。
まゆりがルカ子にとても望んでいたコスプレを、してあげられなかった。
そのまゆりの願いをかなえるために、ルカ子はタイムリープを願う。
タイムリープをする事は、世界の因果から外れることになる。オカリンと同じ存在になるということだ。
しかしそれこそが、ルカ子の願いでもある。

引っ込み思案な彼女は、このとき初めて自分で意見を出し、一歩前に出た。
そして―――

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コスプレしたルカ子の写真。
まゆりの笑顔。
オカリン達は最高の思い出を、まゆりに与えることができただろうか。
そう信じたい。

因果を外れた二人の孤立者は、共犯者として、共に行きていく――。

(ルカ子END)



感想。

このルートの感想は、泣ける。

当初は非モテ思考のオカリンのダメっぷりが見られたりと、色々お笑いのあるシナリオだった。
このままお気楽エンドで終わるのかなと思いきや、最後はうって変わってオカリンとルカ子の悲しみをぶつけてくるシナリオだった。

ちょっと演出にしつこさがあったきらいもあるが、それすらもやがて流され、純粋に二人に感情移入出来て涙が出てきた。
中々泣けるシナリオだった。

まぁオカリンが超絶リア充なのは変わらないんだけどな!
スタッフロール最後のあの絵…ぐぬぬ。

このルートの疑問点としては、まゆりの死後もタイムリープマシンがまだ使えるようになっていること。
つまりSERNの襲撃自体は無かったということ。
まゆりの死は回避されなかったが、SERNの手によるディストピアの未来はあるいは変わったのだろうか?
そのあたりが今後の伏線なのかもしれない。

さて次回。
現在は8章だが、ルカ子の母親にDメールを送り、ルカ子を男に戻すという選択をした未来、第9章を見てみることとする。
今度こそまゆりは助かるのか…?

シュタインズゲート 41日目 「元凶」

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3ヶ月前、ルカ子とオカリンが始めて路上で会った時、女っぽい自分に自信が無いルカ子に対しオカリンはそれを諌める言葉を投げかけた。
それが人見知りするルカ子がオカリンを慕うようになった理由だが、それはルカ子が男だったときの話だ。
が、この世界線ではルカ子は女の子だ。
しかし女の子である彼女がオカリンに惹かれたのもまた、オカリンの言葉だった、らしい。
うーん…つまり…?男の時の記憶とごちゃまぜになってる?

翌日もルカ子の元に行くオカリン。
デートの約束があるからだ。
彼女と恋人になる契約は4日であり、その4日、なるべく恋人らしく振舞わないといけない。
そうしないとルカ子が怒って男に戻ってくれなくなる、ことはないだろう。
けれど、現状はある意味彼女の気持ちをたぶらかしているようなものだ。
だからこの4日間はなるべく大切な思い出にしてやりたい。
まゆりを助けるためにDメール男にもどってその思い出が消えてしまうとしても。

しかし、惚れた理由について男時代と一緒になっているのがどうにも気になる。
もしかして男時代の記憶を思い出しているのか?と聞いて見たら、泣いてしまった
そして本日のデートは流れた。うーん…

翌日。オカリンとルカ子が恋人で居られる最後の日であり、このまま何もアクションをしなければまゆりが死んでしまう当日だ。
泣いても笑っても最後のデートだ。
とにかく彼女の記憶云々は置いといて、彼女にとって恋人らしく振舞うことをしなければ。
わからん。わかるわけがない。
非モテのオカリンとしてはマニュアルに従うしか無い。
マニュアルによると厨二病的言動は嫌われてしまらしいのだが、それだと調子が出ない。どうするか…?

そうだ、今日はまゆりはコミマに行くと言っていた。そこに連れ出そう。オカリンはそうプランを練っていた。
人ゴミだらけのコミマ会場に二人で行く。まゆりに会う。
空気の読めないまゆりはとてもうれしそうに二人をコミマに案内する。
そしてあまりの人ごみとオタクたちの勢いに押され、オタクが苦手なルカ子はすっかりやつれてしまった。
そもそも恋人同士のデートに話が続かないからと空気の読めないまゆりをぶつけてホッとしているオカリンもオカリンである。
さすが童貞である。最悪である。

そうして夕方となる。
ルカ子にとっては実に、思い出と言うにはあまりに、何も得る物が無い情けない結末になってしまった。
ルカ子はオカリンに母のポケベルの番号を書いた紙を渡す。
けれど…さすがにここまでルカ子の思い出をズタボロにして、追い討ちを掛けるように男に戻すのはナシである。
そしてまたタイムリープするオカリン。

もっといい思い出にしてあげなければ。
そのために今度はまゆりとの約束はすっぽかし、久々の鳳凰院凶真モードでルカ子に接する。
マニュアルなんてくそくらえである。
すると…

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やっとルカ子も笑ってくれた。
最初からこうすればよかったのだ。
自然体が一番なのだ。

オカリンはもう何度も深刻な状況に置かれすぎて、厨二モードが非常に恥ずかしそうではあるが。
まゆりの約束をすっぽかしたのは申し訳ないけれど、ルカ子が喜んでくれているからよしとしよう。

迫る夕方。
ルカ子と恋人でいられるリミットだ。
ここで彼女は告白する。
男時代の記憶は思い出していたと。

フェイリスが世界線改変前の記憶を思い出せたように、彼女もまた思い出せるのだ。
リーディングシュタイナー的能力はオカリンほどではなくても、誰でもきっかけさえあれば発動するのかもしれない。

ルカ子は続ける。この世界線では、IBN5100を収めていた倉庫を自分が掃除していた時に壊してしまったと。
そしてばれるのが怖くて、アキバのコインロッカーに預けたと。
だから、この世界線でオカリンがIBN5100の話を出したときに、彼女はうろたえていたのだ。

しかしルカ子がコインロッカーにIBN5100をしまったのはもう1年半以上前の話である。
そこに行ってみるが…当然の如くそれはもう撤去されていた。
手に入ったとしても故障しているだろうしどうしようもない。

では手に入れるために、Dメールを再度用いて、1年半前のルカ子に「掃除するな」と言えなくも無い。
しかし、もうオカリンは新たに世界を変えるためのDメールは使うつもりは無い。
使うのは、これまで送ったDメールを無かったことにするDメールだけだ。

全ては、Dメールを使ったことでSERNに目を付けられ、それが結果的にまゆりの死につながることになったからだ。

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全ての元凶は、オカリンだからだ。

なのでその罪は、オカリンが一人で背負うしかない。
オカリンがまゆりを助ける為に消してしまった、鈴羽やフェイリスの思い出も、全て。
そしてまた、今度はルカ子の思い出をも、オカリンは消そうとしている。

宵闇が迫る。
まゆりが死ぬ時間が迫る。
それを回避するには、ルカ子の母に再度Dメールを送り、ルカ子が男である世界線に戻さなければならない。

ルカ子の気持ちはどうなんだろう。
オカリンがコミマに行かないことを選択したことで、ルカ子は情け無い思い出ではなく、かけがえの無い思い出を得ることが出来た。
だから安心して、オカリンに母のポケベル番号を渡せる。
まゆりはルカ子にとっても大切な友達。彼女を助けられるなら、自分は安心して、男に戻れる。
彼女は笑ってオカリンが立ち去るのを見守る。
4日間、恋人であったことを感謝して頭を下げる。
そしてその頭は、上げない。上げられない。

オカリンはどうか。
そんなこと出来るか?
出来るわけがない。
せっかく作ったルカ子のかけがえの無い思い出を消すなんてあまりに残酷だ。
一体何人の大切な思い出を消せば、まゆりを助けられるというのか。
オカリンが逡巡していると…

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ルカ子も本音を吐く。
ルカ子はまゆりも大切だが、オカリンも大切だ。
どっちも失うわけには行かない。だから自分が身を引いた、自分の思い出を犠牲にしようとした。
これ以上オカリンが迷ってしまうと、ルカ子も感情を抑えられなくなる。

しかしここでDメールを送る事は、ルカ子のぬくもりも、彼女の思い出も、全て消すことになる。
鈴羽、フェイリスに続いて、ルカ子までも。
これ以上、後何人の大切な人の思い出をオカリンは踏みにじらなければならないのか。
フォーントリガーが明滅している。今がまさに、未来が分岐する瞬間なのだ。

オカリンの取った決断は――

シュタインズゲート 40日目 「リア充オカリン」

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ルカ子に呼び出され神社に行く。

ルカ子としても、まゆりを助けたい。そのためにはルカ子自身が男にならなければならない。
正確に言えば男である世界線に移らなければならないのだが、ともかくもルカ子は決意した。
だからまゆりが死んでしまうまで後2日。この2日間だけ、恋人になって欲しいと告白される。

このまゆりの命をめぐって大変な時に、いきなりリア充になってしまうオカリン。
こんな事をしていいていいのだろうか?

窮したオカリンはその場を逃げ出し、さらにタイムリープしてしまった。
タイムリープの距離は限界ギリギリの11日14:45分。
すっかり動揺してしまっている。
こ、この事はもっと良く、しっかりと時間を掛けて考えねば…

とりあえず紅莉栖に経緯を話す。
男に戻って欲しいと言うことをオカリンから話すから話がこんがらがってきたわけで、では女子である紅莉栖から話してもらうことに。
しかし紅莉栖は脳波のマッピングから始めようとおかしな事を言い出し、ルカ子はドン引きしてしまう。
根っこは彼女もオカリン同様マッドサイエンティストなのだ。
何だかんだ未来でタイムマシンを作ってしまうし、とにかくオカリン動揺、紅莉栖は色々残念な女の子なのである。

仕方なくオカリンから話し、やはり泣かれ、やはりまゆりに怒られ、その時やはりメールが来て、やはり告白されてしまう。
タイムリープした事で4日の猶予が与えられたので、まゆりが死んでしまう4日だけ恋人で居てくれと。
タイムリープする前の2倍である。何だかんだ図太いルカ子であった。

4日間だけ恋人でいることを飲むオカリン。
無論これは、まゆりを助ける為だ。
本当に付き合ってしまって、本当に情が移ってしまったら、ルカ子を男に戻すなんてとても出来ない。
そしてそれはまゆりの死に直結する。
だから、付き会うのは飽くまで彼女が男に戻る交換条件としてだ。
相手はすごくかわいい女の子。でも男なのだ。男男男男…
ある意味拷問である。

とりあえず明日デートの約束をするが、オカリンは生粋の童貞であり、デートなんてしたこと無い。
どうすればいいのかと悩む童貞丸出しのオカリンを馬鹿にする紅莉栖。
しかし残念さでは負けていない紅莉栖。無論そんな紅莉栖だって…

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処女である。
頭でっかちなまま成長してしまった、恋に恋する時期のちょっとずれた等身大な女の子なのであった。
そしてマニュアル本片手に明日のデートの予習をする二人だが、残念な童貞と処女なだけあってなんだかずれている。

結局大した予習も出来ず、翌日そのままルカ子とデートに入る。
そもそも好きであるならデート場所がどこであろうと、好きな人と同じ空気を吸うだけで幸せになるのが恋人ってもんであり、ルカ子はどこに行っても幸せそうだ。
ではなぜルカ子はこんな厨二病のオカリンに惚れてしまったのか。
それは二人の出会いにさかのぼる、とルカ子は言う。
オカリンはルカ子との出会いを思い出す。

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オカリンがルカ子と初めて出会った世界線では、ルカ子は男である。
が、周りから見ると女の子にしか見えない。
それがまた彼を気弱にされており、カメコに絡まれて言いたい事も言えなかった。
それを厨二病全開で助け出したのがオカリンだった。

ルカ子はやがて意を決して自分は男であると言い、白けたカメコたちはどこかに言ってしまった。
そして男なのに女っぽく見えるとかどうでもいいではないかとオカリンは厨二病丸出しの尊大な態度で言う。
その言葉を励ましと捉え、感激するルカ子。引っ込み思案だった彼は、勇気付けてくれたオカリンに懐いていった。

これがオカリンの知っている世界線での出会いだ。
ルカ子が女である現在の世界線では当然別の出会いだったはずである。

しかし…「どうでもいいではないか」と言う言葉に惹かれたのは同じらしい。
この世界線でもオカリンは女であるはずのルカ子に同じ言葉を言ったらしい。

あれ…?何かおかしいぞ。
ルカ子が男であれば、女っぽいと言われ気にし続けてきた人生を、そんな事を気にするなんてどうでもいい、瑣末なことだと言われて勇気付けられてオカリンに懐いたというのはわかる。
が、この世界線ではルカ子は女の子、のはずである。

なにかおかしい。おかしいが…
デートは無事に終わり、オカリンはルカ子と別れる。
明日もまたデートしようという。

リア充オカリンはまだまだ続くが、何か引っかかる。
疲れた頭でラボに戻る。
居たのはまゆりとダル。
まゆりは親友のオカリンとルカ子が付き合った事を非常に喜んでくれており、ダルは…

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怒っている。
ダルもそのうち(鈴羽を見る限りは)細身で巨乳の可愛い子と一緒になるのだから良いでは無いか。

しかしそれにしても、本当にこんな事をしていて良いのか?
なんか色々ズレまくってる気がしないでも無いが…

シュタインズゲート 39日目 「ルカ子大泣き」

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鈴羽への追跡を止めるDメールを送った事で、鈴羽は思い出を犠牲にして過去に飛んだ。
そして今またオカリンは、またもや大切な人の思い出を消そうとしている。
フェイリスの思い出だ。

「誘拐は冗談。パパ愛してる。また会おうね」
このメールを送れば、フェイリスの「夢」であった世界線は消える。
フェイリスパパは死に、IBN5100がアキバにある世界線に移るはずだ。

そして、送る――

歪む世界、くらくらと脳震盪。リーディングシュタイナー発動の証だ。
世界は、変わった。
というか、オカリンの知っている姿に戻った。
アキバは電気街と萌えショップが混在した元のカオスな町に戻り、そしてフェイリスは――

これまで確かに通じ合ってきたオカリンとの大切な思い出は、すっかり忘れていた。
世界線が移ってもオカリンと通じ合った思い出は忘れたく無いといっていたフェイリス。
その思いは叶えられなかった。
たまらずフェイリスを抱き締めるオカリン。

オカリンは鈴羽に続いて、フェイリスの思い出までも犠牲にしてしまった。
だが、もう後戻りは出来ない。
全ての犠牲をオカリンは孤独に背負い、先に進む。
まゆりを助ける為に。



…この世界線ではIBN5100はどうなっているのか?
ダイバージェンスメーターを確認した所、0.456914%になっていた。
フェイリスの夢だった世界線より、0.5%ずれたことになる。
これにより、IBN5100が柳林神社に存在する世界線に移ったかどうか。

息を切らせて柳林神社に行く。
そこでルカ子に会う。
現在の時間軸はルカ子が女の子になりたいというDメールを送ったあとの世界線だから、ルカ子は女の子になっている。
オカリンに大事な所を触られた記憶もある。色々気まずい。
とりあえずIBN5100について聞いて見るが…明らかに反応している。
やった!ついにIBN5100のある世界線に来たのだ。

しかしどうも反応の様子がおかしい。動揺している。
ルカ子パパに会い聞いて見るが、この世界では確かに秋葉留未穂、つまりフェイリスによってIBN5100が奉納されていたという。
フェイリスパパが死んでしまった故に。
だが、奉納されたはずのIBN5100が消えているという。しかし奉納場所が荒らされた形跡は無い。
なので毎年そこを掃除していたというルカ子に聞いて見るが…

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知らない、という。

うーむ…
知らないとは一体…?
でも迷っている時間は無い。
まゆりが死ぬ時間は迫っているのだ。

考えを整理するオカリン。
そもそもIBN5100は当初柳林神社に奉納されていた。これを紅莉栖と受け取り、ラボに持ってきたはずだ。
それが消えてしまったのは、ルカ子が女の子になりたいという意思を込めたDメールを送ってからだ。

なので、ルカ子のメールを取り消せばIBN5100が手元に残る世界線になるのではないか?
つまり、ルカ子を男に戻せばいい。
しかし今のルカ子は女の子だ。線が細く消え入りそうに頼りなく、しかも相当な美女だ。
そんな女の子に「お前は実は男だから男に戻ってくれ。そうすればまゆりは助かるんだ。」と言ったらどうなる?
傷付くんじゃ無いか?

なので最初はルカ子にコンタクトを取らず放置していたら、翌日の15日20時ごろにまゆりはSERNの追っ手に殺されてしまった。
アキバを離れるように行っていたのにだ。
世界線がちょっとずれるたびに1日ずつまゆりが死ぬ時間がズレていく。
つまりこのまま行動しなければやはりまゆり野死は避けられない。

再びタイムリープ。
結局ルカ子に男になってもらうしかないのだ。
しかしどう説明すべきか。
女心を傷付ける云々を行っている場合では正直無いのだが、何だかんだ思いやりのあるオカリン。
この問題についても本気で悩む。
しかし、このあたりの女心が童貞のオカリンにわかるはずは無い。
しょうがないので紅莉栖に相談する。
これまでの経緯をまたもや相談するオカリン。
こんな複雑に込み入った事情をタイムリープするたびに何度も説明しなければならないオカリンも大変である。
そして紅莉栖の出した答えは…

全部言っちゃえば?

それが言いたく無いからこうして相談しているのに…!
流石デジタルな理系女子である。
良いのかそれで…?
でもまぁ女子の言うことだ。正しいのだろう。多分。

早速ルカ子の元に行く。
まゆりがこれから死んでしまうこと。その運命から逃れるのはルカ子が男に戻りIBN5100のある世界線に戻すしかないこと。
案の定ポカーンとしているが、とにかく全部まとめて洗いざらいぶちまける。
ルカ子、まゆりを助ける為に男に戻ってくれ!それが最善の策なんだ!お前は元々男だったんだし俺はそうとしか見ていなかった!
すると…

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大泣きされてしまった。

これは取り付く島が無い。
すごすごと紅莉栖に相談するが…

「漆原さんはあんたの事が好きだったんだね。恋愛って方程式化できないから難しいね。」

ダメだこの助手は…
紅莉栖は恋愛をしたことが無いようだ。そのくせ恋バナにはやたら興味あるし、この手の分野は恐ろしく未熟だったようだ。
オカリンともども、残念なコンビである。

結局この件はどうしたものやらと悩み、一睡も出来ないオカリン。
翌日、まゆりが珍しくぷんすか怒ってラボに入って来て、しこたま怒られる。

どうもルカ子が親友であるまゆりに泣きながら相談したようだ。
あんなに酷い事いうオカリンは嫌い、ラボメンもやめてやるとすごい剣幕だ。
なのでるかちゃん一緒にあやまりに行こうというまゆり。

しかしこの件についてまゆりに話すわけにはいか無い。
能天気な彼女だからこそ、大切な幼馴染だからこそ、これから彼女の身に起こる酷い出来事を話す事は出来ない。
窮したその時…

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ルカ子からメールが入る。
意を決したのだろうか。
あるいはIBN5100について話す気になったのか。

とにかくこれで話が動いた。
オカリンはルカ子の所に急行する。
一緒についていくというまゆりを置いて。
まゆりはなんだか寂しそうだったが…