レリクス(ボーステック) 

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■紹介
1986年、ボーステックから発売されたPC・コンシューマー用アクションアドベンチャーゲーム。

この当時ビデオゲームと言えばちんまりしたキャラチップを動かすものであり、それはPCからアーケードまで同じだった。
それが当たり前だった時代に、人間…だけでなくHRギーガーのような獣まで関節単位で蠢くリアルで衝撃的な世界。

それは過去に類を見ないほどに圧倒的な存在感と世界観を放っていた。
勿論細かく言えばリアルっぽい人間が動くゲームはカラテカやスワッシュバックラーなどが先に出てはいた。
だがそれらが一気に色あせるほどに、レリクスは段違いで異様であり異形だった。

ゲームの持つ表現力の限界にここまで迫ったものはこれ以前には無く、それ以降も殆ど無い。
このゲームは商業的に成功したか、あるいはゲームの持つ爽快感や充実感や達成感や快適性等はどの程度あるか。
レリクスをそうした方面で捉えるのは全くナンセンスである。

レリクスのようなゲームを出せる文化の下地がかつて日本にあった。重要なのはそこだ。
このゲームは賛否があり過ぎ、楽しむためのハードルが異常に高いため、人々の記憶には残らないかもしれない。
しかし間違いなく歴史に残る。レリクスはそんなゲームだ。

■評価
B

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簡易攻略はこちら
駿河屋→PC-9801 M/VM 5インチソフトRELICS レリクス[5インチ2HD版](状態:説明書状態難)

レリクス 簡易攻略

■前半
(手順)マークス(剣)に乗り移る→獣の彫像を取る→制御室で機械を壊す→倉庫で薬を取る→倒れている男に渡す
→キングに話しかける→女体像を壊しドキュメンを取る→ヒントを取る→ボスを倒す→門のコードはHELL→地下世界へ
・左右を行ったり来たりしている金色のガードは8キーを押し直立すれば避けられる
・倉庫に薬が出ない場合、これまでの行動が間違えている
・攻撃してくるバウンサーは飛び込んだら丁度相手に重なる位置で飛び込み、そのまま更に飛べばやり過ごせる
・ボスはなかなか強いのでボスを倒す段階まで来たらマークス(銃)を殺して乗り移れば非常に楽
・相手を殺し過ぎない・余計なキーを押し過ぎない・部屋に出たり入ったりし過ぎない
・門のコードで打ち間違えてもパラメーターが変化するかも
・特にマークス(銃)を殺す場合パラメーター判定がシビアになるので、余計な行動はしないこと

■後半
(手順)幽霊の壁画の前で獣の彫像を使い、幽霊の力を得る→白い戦士に乗り移る(自動)
→地下世界に飛び込み6つの金の彫像を集める→ヒントを集める→金の鍵を発見する→最後のドアの前で金の彫像を6つ使う
・金色の戦士は倒してもいいがパラメーターがシビアな場合ある程度ダメージを与えてやり過ごす方が良いかも
・白い戦士に自動的に乗り移らなかった場合、これまでの行動が間違えている。この場合ベストエンドが見れない
・地下世界に飛び込んだ先にいるギガは強い。後ろ向きに飛び込み着地即しゃがみ攻撃、間合いを開けジャンプしやり過ごす
・触手地帯はすぐ手前で待ち、光ったと同時にダッシュして駆け抜ける
・首だけ獣と落石の複合攻撃は運が良ければノーダメージだが、悪ければ死んでしまう。ここで獣の彫像を使うのも手
・首だけ獣+落石地帯を超えた先に居るツチノコのような獣が鍵を持っている。落とさない場合フラグ立て失敗

■終盤
(手順)勇者の体に乗り移る(自動)→少女を助ける→脱出する
・勇者に自動的に乗り移らない、あるいはエイリアンやドラゴンを倒すと乗り移ってしまう場合フラグ立て失敗
・エイリアンは獣の彫像を使えば楽だが、すでに使ってしまった場合ジャンプしてやり過ごす
・少女を助ける前にドラゴンを倒しておく。倒さないと少女を引っ張っているうちに攻撃を喰らい続け死んでしまう
・エイリアンの向こうにある扇状の機械の前に立てば少女のカプセル近くにワープ
・カプセルの前で鍵を使えば少女を助けられる
・少女と一緒に扉を抜ける場合、まず扉の前に立ち少女と自分が重なったら抜ける
・98版の少女は(おそらく)ダッシュしないので、歩きながら連れていく
・地下水路に降りたらひたすら左に進むと上に上る階段がある。そこを二人一緒に登りきればベストエンディング
・少女と距離が離れすぎた状態で一人だけで脱出するとベストエンドが見れない(8bit版のみ?)

■エンディング
理想型…白い戦士・勇者に自動的に乗り移り少女を助け共に脱出。上にある行動をすればOK。絵と音楽が出るベストエンド
知性型…白い戦士・勇者に自動的に乗り移らない、少女を助けず(又は離れすぎて)一人で脱出。文書集めをしないとなりがち
※余計なキーを押し過ぎた(ハッカー判定)場合もこちらのエンド
攻撃型…エイリアン・ドラゴンを倒すと乗り移ってしまう。上層部の人間や地下の獣を殺し過ぎるとこれに

■注意
・ボーステックサイトから無償DL出来た98版は真エンディングが見れず、OPに戻り画面が真っ暗になる。実機かEGGでやろう

レリクス 8日目(最終回) 「脱出」

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少女(と言うには少しゴツイが…)を助け出し、遺跡を脱出する勇者。
ちなみに8bit版の少女はこちらが走るとちゃんと走ってくれるが、98版は走ってくれない中々のお嬢様だ。
男子は女子の歩幅に合わせるべし。てくてくと歩いていこう。

彼女を連れていると敵は出てこなくなる。これが彼女の力なのだろうか。
だが、彼女の力をもってしても排除できない、最後にして最大最強の敵が居た。
それは…

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ドラゴン

ドラゴンと言う名前なのだが目が退化しているところが実にこのゲームらしく不気味だ。
リメイクあるリカーオブオリジンでは、ホラー族という全く未知の種族であり、このゲーム最強の存在でもある。
もしもここまで出会う相手全てを倒してきたならば、最終的にこのドラゴンに乗り移り終わりとなる。
これがお前の望んだ姿だと言わんばかりに。

此奴はこのゲーム最強の敵であり、画面全体に破壊光線をばら撒いて攻撃してくる。
そのダメージは先のエイリアンの比ではない。が、勇者の体であればある程度は耐えられ攻撃力も高い。
そのままブスブスと剣で刺せばおだぶつだ。
ただ上の写真の位置だと少女に剣戟が当たってしまう。
少女はいくら突いても死なない(と思う)が、どうにも寝覚めが悪いので先に穴に飛び込んでドラゴンを倒すのがよかろう。

こうして最強の敵を打ち倒し、勇者は先を急ぐ。

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果てしなき梯子を上り、出てきたそこは、「あなた」が一番最初に目覚めた、まだ意識体だったころの場所。
最初は青々としていたそれも今は夕焼けに染まっている。
勇者は遂にレリクスを脱出し、と同時に本当の目的を思い出した。

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初めに二つの意識ありき。
二つの意識は互いに衝突し合った。それが宿命であるかの如く。
その衝突の余波で宇宙が生まれ、それでもなお意識は人の形を取りながら戦いを続けた。
一方はHEAVENと呼ばれ5人の戦士に分かれ、もう一方は大帝HELLと呼ばれるようになった。
彼らの戦いは太古の地球でも行われ、この遺跡レリクスはかつてHEAVEN側がHELLに対抗するために作り上げた城だった。
が、HEAVENは破れ遺跡は沈められた

しかし二つの意識は宇宙の開闢以前から存在している。
生死すら超越したそれらは分散するだけで消えることは無いのだ。
散り散りとなったHEAVEN側の意識は長い時を経て人間たちの遺伝子に入り込んだ。
それが巡り巡って再び5人の戦士となり、再び宿命の戦いを続けるために。

そして時は来た。5人の戦士のリーダーになるべき存在が「鍵」を手にしたのだ。
そのリーダーこそが「あなた」であり、その「鍵」こそがこのゲームなのだ。
鍵は太古に沈んだレリクスを呼び覚まし、その中で「あなた」は戦士のリーダーとしてふさわしい活躍を見せた。

5人の戦士の仲間の一人である少女を助け出した「あなた」は、残り3人の戦士を見つけなければならない。
大帝HELLを倒す為に。

…こうしてこのゲームは終わりを告げる。
自分の本当の体はHELLに対抗するHEAVEN側の戦士のリーダーであり、その目的は大帝HELLを倒すことだったのだ。

何やらよくわからない凄味のある展開から始まったのに、終わりはヒロイックファンタジーで俺たちの戦いはこれからだEND。
正直感動と言うよりずっこけたのではあるが、何しろ宇宙の開闢より前から定められていたことだ。
その戦いとは、生きることそれ自体が戦いであり敵対する意識とは他者であり自己であるという哲学的な意味かもしれない。
多分違う気もするが、こういう余計なことを妄想するのもまた、このゲーム、ひいてはレトロゲームの楽しみ方であろうか。

レリクス -完-




■感想

いわゆるゲーム性、やりごたえやハマり、脳汁が出る爽快感と言ったものは、このゲームにはほとんどない。
謎解きといってもチャートの解読くらいで、都合よくオブジェが落ちておりモノ探しもやたら多い。
更にシステムも分かり難く、ベストエンドへの手順はさらに分かり難い。

が、そんなものはこのゲームの雰囲気や世界観からすれば、些末過ぎて一顧にも値しない。
このゲーム以前にこれほど世界観や雰囲気が完成されたゲームもなく、これ以降も殆ど無い。

シネスコサイズで出現する巨大な遺跡に圧巻される壮大なオープンニングをクリスタルキングの楽曲が彩る。
当時としては巨大なキャラが関節からぐりぐり動き、謎だらけの異様な世界を動き回る。
出てくるオブジェクトも生き物もギーガーの影響を受けつつも、どの方面に媚びることのない独自路線を突っ走る。

それがこのゲームの全てであり、少なくとも事実だけを言えば、このゲームの存在が私の人生を変えた。
このゲームに対する評価は、その一点に集約される。

ちなみにその後のログイン(雑誌)の開発者インタビューで、レリクスの構想は4まであると言う話をしていた。
確かに明らかに続編をにおわせる終わり方だったからだ。
だからその続報を今か今かと待っていたのだが、待望の新作がMSX2版の変な忍者ゲームだったのはまたもやずっこけた。

ただリメイクも含めるとリカーオブオリジン・セカンドバース・リンネといった続編があるにはある。
途中ボーステックが潰れたり、00年代となり国産PCゲーム市場が異常に衰退していた時期に、それらはひっそり発売された。
レリクスと言うシリーズに賭ける開発者のこうした執念にはずっこけることもなく、脱帽し感動したものである。

レリクス 7日目 「真の体」

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集めた6つの彫像により最後の扉を開く。
その先にあったのは…氷漬けの何か。
割ってみると出てきたのは、勇者の肉体だった。

白い戦士はその肉体を見て、激しく動揺、そして記憶の断片を取り戻す。
これは…私?私…私は、大帝ヘルを倒さなければ…!他に仲間がいるはずだ、どこに…?
その瞬間、白い戦士の意識は離れ、この勇者の体に乗り移る。
真なる自分の体へと。

全てを思い出しかけているが、依然としてまだもやがかかっている。
ただ、今すべきことはわかっている。
かつて上層で発見した封印された少女。あの人を助けねばと、勇者としての使命が足を急き立てる。
傍らに開く下層への道。そこに居たのは…

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エイリアン
超威力の破壊光線を画面全体に放つ、最強の敵だ。
昔はこいつがヘルの親玉なのかと思っていたが、86年ポプコムによるとエイリアンと言う名前らしい。
99年発売のリカーオブオリジンには確かにエイリアンと言う種族が居るので、ならばやはりエイリアンなのだろう。

このエイリアンはかなり強いが、もしも落石地帯で獣の彫像を使っていなければここで使えば楽勝だ。
もし持っていなければ、、何とかジャンプでやり過ごそう。
真の肉体を手に入れた勇者はかなり耐久力が高いので、多少攻撃を受けてもある程度はへっちゃらなのだ。

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相手の頭上を超えれば相手は殆ど攻撃してこなくなる。
ここでエイリアンを殺す意味も無いので、そのまま先に進もう。
ちなみに倒しても普通は乗り移らないが、ここまで出会ってきた謎の獣をことごとく切り伏せてきたのなら乗り移る。
それが君の真の目的だったのだとあざ笑うかの如く。

エイリアンを超えて、先に進むと何やら機械がある。
その前に立つと…

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実に便利なことに、封印された少女の元へワープする。
最後の鍵を使うことで、彼女の封印は解け、古代レリクス語で彼女は話す。
私は…永劫の時から目覚めた…HEAVENは私をHELLから守るためにここに封印した。
一緒に他の仲間を探しましょう。急いで!この遺跡から脱出しましょう!

彼女もまた勇者の仲間の一人なのか。
記憶が徐々に蘇る中、勇者と少女は遺跡を脱出する。

だが、手を携え駆け抜ける彼らに、最強の敵が待ち受けていた…

レリクス 6日目 「最後の鍵」

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地下探索を進める白い戦士。
ここは何しろ不気味だ。
何が不気味かと言うと、上にあるような光るとダメージを受ける気色悪い触手地帯もあれば…

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上の写真のような、背が高すぎてこちらに攻撃が届かないという存在意義が問われる変な獣が沢山居るのだ。
問答無用で殺しに来るわけでもないのがまた、真綿で首を絞められているような息苦しさを感じる。

なおウィンドウには途中で拾ったヒントが書かれている。
最後のドアは6つの黄金の彫像によって開く」ということらしい。
前回の日記で拾った謎の彫刻。この不可解な世界であれを6つ集めよという事であろう。

かように殺意が高いのか低いのかよくわからない世界なのだが、要所要所では地獄のようなところがある。
前回のギガもそうだが…

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落石と魚の頭のような獣が同時に襲い掛かってくるこちらも難度が高い。
運が良ければダッシュでノーダメージで行けるが、運が悪いと落石によるノックバック中に魚にかじられあっという間に力尽きる。

ここは獣の彫像に乗り移った幽霊の力を借りるのも手だ。
上の写真の白い戦士の前に居る鳥のような奴がそれで、しばらくの間画面全体を攻撃してくれる。
ここの道は帰りも通ったりするので、どうにも抜けられない場合ここで使ってしまうのもありだ。

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落石地帯を抜けると、ツチノコのような獣が居る部屋に出る。
基本的に地下世界でも殺生はあまりお勧めできないが、コイツは別だ。
以前上層部の寺院で、HEAVENは少女を鍵のかかったカプセルに封印し、そのカギは地下世界の獣が食べたと読んだはずだ。
このツチノコがその犯人。ブスブス刺して殺してしまおう。

こうして白い戦士は最後の鍵を手に入れた。
探索によって最後の扉を開ける6つの彫像も入手。
いよいよ物語も終盤。
何もわからないまま漂っていた意識体「あなた」とは、いったい何なのか。何のためにこの世界に現れたのか。
その謎がもう間もなく解き明かされる…!