エメラルドドラゴン(グローディア/バショウハウス) 

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■紹介
1989年、グローディアにより開発、バショウハウスより販売されたPC・コンシューマー用ロールプレイングゲーム。

これまでのRPGはビジュアルは大したことないがゲーム性が優れている、あるいはその逆が多かった。
このゲームはゲーム性とビジュアル(音楽含む)を高レベルで融合させた、最も初期のゲームの一つであると思う。
特にシステム面が秀逸で、相談コマンドによりキャラの魅力を引き出しつつ次に何をするのかわかるのは非常に画期的だった。

今ではすっかりおなじみとなった、引き込まれるストーリーやビジュアルを持ったやり込みがいのある面白いゲーム。
しかしエメドラが無ければ、そうしたゲームは生まれなかった…とは思わないが、少なくとも遅くはなって居ただろう。

全てのその後のJRPGの雛型となったと思っているこのゲームだが、その悪いところはエンカウントやお使いの多さではない。
ゲームそのもののクオリティをこれまでよりグッと引き上げてしまったため、その後のユーザーの舌を肥えさせてしまった所だ。
グローディアや別に分かれたライトスタッフも、このゲームを超えようとしたのか躍起になり過ぎ、マニア寄りになっていく。

そういった意味ではなかなかに罪なゲームであろう。


■評価
B+

プレイ日記はこちら
簡易攻略はこちら
Amazon→「エメラルドドラゴン」全曲集


駿河屋→PC-8801ソフトエメラルド ドラゴン

エメラルドドラゴン 簡易攻略

■序盤
・ゲーム開始時は何も考えず全速力で西へ
・南や西に広がる森には絶対に入らない
・武器は常にその都度の店で買える最強装備を買い、防具はアトルシャンのみ最強防具、他のキャラはそのお下がりで良い
・エルバ―ドの闘技場で延々とレベル上げできるが、効率は悪い

■中盤
・魔獣ゴーメズを倒してからアーパスの砦内部経由でエルバードへ戻るが、この際外にいる門番(スチールマン)は無限湧きする
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・時間さえあればここでレベル上げできる。70以上でダードワの森、110以上で大カシャ島、140でラスト以外雑魚敵が出なくなる
・アヴェスタ捜索時におけるダードワの森での抜け道は下記の通り
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・アークデーモンはかなり強い。装備をその時に買える最強装備にし、それでも無理ならレベル上げ

■終盤
・大カシャ島の敵は全員がその時に買える最強装備でも手強い。禁断の実イベントは魔王討伐後に回しても良い
・テレボスタを手に入れた後海のミコと話すとできる抜け穴は、崩れ落ちた細かい岩が目印
・魔王殿はかなり広く敵も強い。タムリンの回復は殆ど頼りにできないので、ワラムルの秘薬とテントをできるだけ持って行く
・魔王は取り巻きのデスが厄介。破壊のルビーを8~10個ほど使う。魔力封じ対策にリキュールポーションを5つほど持って行く
・ホルスの地下牢でスィングが4匹以上出るパターンでは、65000以上の経験値が手に入る。ここでレベル上げしても良い
・ホルスの城塞で全キャラの最強武器防具を手に入れる(サオシュヤントのみ兜と盾に当たる部位は無い)
・ザンディーグはまともに戦うとかなり強いが、タムリンのレベル136以上あれば混乱の魔法が効きやすく途端に楽になる

■サブシナリオの入り方
・メリルの章…ドゥルグワント城でオストラコンを倒した後、名医ワラムルに合う前にフォーウィーの町のウィード夫人と話す
・ミスティーナの章…魔王を倒し砂漠で待つファルナに合う前に、小カシャ島南端に佇むミスティーナに話かける
・サギーの章…魔王を倒し砂漠で待つファルナに合う前に、マルギアナの町にサギーと共にいるハダル博士と話す

エメラルドドラゴン 16日目(最終回) 「旅立ち」

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この聖地イシュ・バーンを覆った全ての災厄の元凶ティリダテスは、秘宝アヴェスタに力を移しその化身ザンディーグとなる。
生きながらにしてアヴェスタの力を操れるようになったこの化け物はイシュ・バーンだけでなく全ての世界の災厄となろう。
ここで止めねば世界は終わる…!

と盛り上げてみるが、やはりというかなんというか、最高レベルタムリンによってわずか1ターンで混乱させられる。
ホルスの王女タムリンを散々disった上に散々虚仮にしてきた人間にまでしたのにこの始末。
かくしてザンディーグはタムリンレーザーで延々と焼かれ続け、アトルシャン達にノーダメージで倒されてしまった。
かつてこれほどまでに弱いRPGのラスボスは居ただろうか。
というかこれほど強い主人公達は居ただろうか、になるか…

こうしてザンディーグは倒れる。しかし…

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ザンディーグの精神体となったティリダテスが死んだ今、それはただの力の塊だった。西の平原を一瞬で砂漠に変えた力の。
制御を失ったそれは暴走し、この地域一帯を吹き飛ばす程までに巨大化していった。
エメラルドドラゴンの精神である魔剣ヴェンディダートは剣を突き立てエメラルドグレイスを並べよと叫ぶ。
すると遂に…

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エメラルドグレイス、すなわち銀竜や黒竜等の体の一部を触媒に、遂に竜族の英雄エメラルドドラゴンが復活。
急ぎ彼の背に乗り、アトルシャン達はホルスの本拠であるヘルマンド山を脱出。

やがて臨界を超えたアヴェスタの力でアヘルマンド山は大崩壊し、ホルスは全滅してしまった。
最後のホルスであるタムリンも、ザンディーグの力により人間となった。
同族を失った傷心のタムリンに、アトルシャンもまた銀龍の鱗の力を使わず、人間として一生寄り添うと誓う。

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こうして物語は終わった。
エメラルドドラゴンはドラゴン小国へ、ハスラムとファルナはエルバードへ帰る。
そして人間となったアトルシャンとタムリンは、サオシュヤントと共に、イシュ・バーンを超えて旅に出る。
新しい物語を始めるために…

エメラルドドラゴン -完-




■感想

リアルタイムでやっていた頃は、このゲームの最大の長所は練られたゲームバランスと思っていた。
が、色々なゲームをやり慣れた今の視点だと流石にエンカウントやお使い多すぎである。
勿論当時としてはこれだけ少ない容量でここまで楽しませてくれたという点だけで充分だが。

むしろあらためて気付かされたのはシナリオの構成の良さだろうか。
オストラコン→魔王ガルシア→ティリダテスと言った当座の目標を明確にしているので、物語に中だるみが殆ど無いのだ。
更に革命的発明の相談コマンドによって、キャラを立たせつつ次に何をするかがわかるのが素晴らしい。
当時システム面だけでなくシナリオ面でもユーザビリティーを上げたゲームは非常に珍しかった。

改めて、ここまでビジュアルとゲーム性、そしてユーザビリティが上手く融合したゲームはエメドラが初ではないかと思う。
その後のグローディアのゲームが期待されながらもマニア受けでとどまってしまったのは、エメドラが偉大過ぎたせいもあろう。

先駆者は必ずしも頂点を取れない。先駆者の真似をした者が頂点を取ると良く言われる。
テグザーを作ったゲームアーツや、エメドラを作ったグローディアがそうなってしまったのは、仕方ないとはいえ寂しいものだ。

エメラルドドラゴン 15日目 「奸臣」

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ホルスの地下牢を抜け出したアトルシャン達はホルスの町に出る。
ライレーン(グローディアの第1作)に出てきそうな近未来的な造形が中々かっこよい。
その町に住む人々なのだが、意外にもその殆どがタムリンに好意的で、ホルスの実力者ティリダテスを良く思っていない。

どうもホルスの王女タムリンが死んだという事を口実に色々と権力を掌握していったようなのだが、そのタムリンは生きていた。
その結果色々と矛盾点が出て算段が崩れたようである。

取り敢えずホルスの町から城塞に出、警護兵を撲殺しそこかしこにある最強武器を強奪しつつティリダテスの元に向かう。
王女が野盗紛いの事をしているのを町の人が見たら戦慄するであろう。

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そして出会ったティリダテス。
話してみるとこれがまた中々に話の分からない差別主義者だ。

聖地イシュ・バーンは古来より自分たちだけのもの。竜や人間と言った異種族が跋扈するのは虫唾が走る。
それ故木っ端の如き人間はともかく、竜は邪魔過ぎるので覇権争いを繰り広げていた。
ところがタムリンの父、つまり先王は仇敵である竜と和解し、ホルスたちを西の平原に引っ込めてしまった。何と情けない王か。
怒り心頭のティリダテスは秘宝アヴェスタを作り、それの力で竜を呪いで全滅させる。
しかしアヴェスタの力はすさまじく、やがて暴走し西の平原を砂漠に変えてしまう。
当時の竜族の英雄エメラルドドラゴンはその身を挺してアヴェスタを封印。住むところのなくなったホルスはヘルマンド山に籠る。

けれどそれで考えを改めるティリダテスではない。
竜族の居ない今あとは雑魚の人間だけ。
軟弱な思想の王を殺し、それに連なる血の幼いタムリンが乗る船を難破させ権力を掌握。
魔王を召喚し失われたアヴェスタを探し出し、その力で人間をも一掃しようとした…というのが戦乱の始まりだった。
そのおかげでいったい何人の人間が死んだことか。
しかしそれは彼にして見れば、人間が家を建てるために地ならしをするのと変わらないということだ。

こんな危険思想の持主など生かしておけぬとアトルシャン達は切りかかる。
だが…

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この時点でアトルシャンもタムリンも最高レベルであり、ここまで大言壮語したティリダテスを瞬時に混乱させる。
アワレ敵部隊は勝手に自滅。ティリダテスの長々とした演説の20分の1くらいの短さで戦闘が終わってしまった。
危険なのはこの変な奴よりアトルシャン達じゃないのか…

コロッと倒されてしまったティリダテスだが、そのショックでエメラルドドラゴンに封印されていた自身の記憶が蘇る。
アヴェスタの正しい使い方をだ。
彼はアヴェスタの化身ザンディーグに精神を移し替え、その力の全てを手に入れた。
その力をもって、手始めに先王と同じく軟弱な思想にかぶれているタムリンを脆弱な人間にしてしまう。
返す刀でアトルシャン達に全力で襲い掛かってくるザンディーグ!

遂に始まる最終決戦。その戦いの結末は…⁉

エメラルドドラゴン 14日目 「黒幕」

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散々寄り道をし、ファルナの待つ砂漠のオアシスへと向かう。
開口一番どやしつけられツンデレイベントを堪能したのち、先に進む。

仙人フシュルヌムが言い忘れていたという情報を彼女から聞く。
このあたりにエメラルドドラゴンの精神を封じたヴェンディダートと言う剣があるので、それを手にすればホルスの道が開けると。
言い忘れていたというか、いきなり核心に迫る情報を教えたらこのあたりの魔物にぶち殺されるので黙っていたのであろう。

ドラゴンとホルスはかつてイシュ・バーンの覇権をめぐり、激戦を繰り広げた。
ホルスはアヴェスタと名の秘宝を作り、それをもって地上の半分を焦土とするなどとんでもないことをしでかす。
これはたまらんと、当時のドラゴン族の英雄エメラルドドラゴンがその全てをかけてアヴェスタを封じる。
その際にエメラルドドラゴンの体はバラバラになり、その精神だけが剣に姿を変え生き永らえてきたという。

ヴェンディダートと呼ばれるその魔剣はホルスの拠点のすぐそばの湖に刺さっているとのことだ。
ちなみにマイクロキャビンのサークもサークソードと呼ばれる意思を持つ魔剣が敵の最終拠点近くに刺さっていた。
物語の都合上仕方ないのだがそんな物騒なものを拠点の近くに置いておくなと言いたい。

ヴェンディダートを手にし、山脈のふもとにある、ホルスの拠点へ至る道をひたすら進むアトルシャン達。
その果てで…アトルシャン達は捕らえられる。
ホルスの衛兵たちが待ち構えていたのだ。
やがて衛兵たちの集団が割れ、間から歩み寄ってきたのは仮面をかぶった若い男。

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しかしその声はしわがれた老人の様だった。
名をティリダテスといい、どうやらこのホルスでもかなりの実力者のようだ。
彼はタムリンを一瞥し、聞きなれない名前を喋る。

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タムリンも困惑するが、やがてアトルシャン達は捕らえられる牢屋に入れられる。タムリンを除いて。
衛兵からの声から察するに、どうやらタムリンは20年ほど前に海難事故によって行方不明になっていたホルスの王女らしい。
死んでいたはずの王女がやってきたということでホルスの町はお祭り騒ぎ、戴冠式の準備で大忙し。
アトルシャン達は獄死を待つばかり…になってしまったのだが、タムリンが抜け出し衛兵を気絶させて救いに来てくれた。
ハスラムを一撃で昏倒させるような衛兵を気絶させるとは、これもホルスの力であろうか。ハスラムがモヤシ過ぎる説もあるが。
ともかく反撃開始だ。

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まずは地下牢を脱出するのだが、このあたりは普通のダンジョンになっている。
普通じゃないのが上に居る紫色の変な生き物(名前はスィング)だ。
こいつが4匹くらい出るパターンの敵編成を倒すと、なんと65000以上もの経験値が手に入る。
もうやけくそである。
この辺で30分ばかりうろちょろしていればあっという間にレベル136になり、このあたりの敵はもはや出てこなくなる。
ここまで来るとラスボス相手すら混乱させノーダメージで最後の戦いクリアとかよくわからないことになる。
君はこの当時のマゾなゲーム性を堪能するためにとっとと地下牢を脱出しても良いし、しなくても良い。
無論自分はここで粘って令和の無双を堪能する。