提督の決断(光栄)

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■紹介
1989年、PC用に光栄より発売されたシミュレーションゲーム。
第二次世界大戦のシミュレーションゲームはこれまでもちらほら出ていたが、このゲームはそれらと一線を画している。
これまでのものは大戦略に代表されるように、ヘックス戦でユニットを配置し動かし戦う、戦術に重きを置かれていた。
しかしこのゲームは、様々な索敵情報から敵の位置を予測し打撃を与える、艦隊「戦略」に重きを置いている。
そのシステムも慣れるまで大変だが、慣れると戦略が可視化され、大変な歯ごたえと共に充実感と爽快感を与えてくれる。
どの基地を攻めるか、どの艦隊を沈めるか、どのように攻撃すべきか、絶えず「決断」迫られ、それがハマると最高に楽しい。
シミュレーションとしては兵器生産や通商破壊等が簡素すぎるが、それ故テンポよく、より深く「戦略」に集中できる。
この時代のゲームとしては最高峰の面白さを持っていると断言して構わない、非常に傑出したゲームである。

■評価
S-

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提督の決断 簡易攻略

■予算配分と提督の能力値
・予算配分は電気技術を40以上、後は適当。燃料あたりがおススメ。情報には振り分けなくていい
・提督の能力値は作戦60以上を1人、航空60以上を1人、艦船60以上を2~3人、後は適当

■最初にすること
・一番最初の会議で重点攻略地点を決めるが、どうせ陸軍に反対されるので適当で
・編成で第一艦隊に正規空母6隻・戦艦4隻以上・巡航艦4隻以上。艦隊司令官は航空の高い提督を配属させる
・第二艦隊以下に戦艦2隻以上・巡航艦・駆逐艦を適当。艦隊司令官は艦船の高い提督を配属させる
・潜水艦は足が遅いので他の艦隊に混ぜず、潜水艦のみの艦隊とする
・その後第一艦隊に燃料補給。空母の艦載機は2隻に戦闘機、残りは全て雷爆機。偵察機は各船に1~3機程度
・補給中に会議(作戦60以上の提督を出す)。技術開発で100~200程度予算をかけ、電気技術を50以上にし、電探を入手
・第一艦隊の補給が終わったら第一艦隊から任意の艦船を編成から外し、完全修理で電探を装備する。翌月頭に装備完了
・あとは残りの艦隊に燃料補給し、出発
・第二艦隊以下はまずはバンゼルマシンorサンダカンあたりを攻撃、第一艦隊は敵空母機動部隊を探し出し殲滅
・潜水艦部隊は相手母港(ハワイ)に放り込んで情報収集し、相手空母機動部隊の出港状況を探る

■おすすめ進行ルート
・バンゼルマシンorサンダカン→その周辺→マニラ→パラオ周辺→ソロン→ラバウル→ポートモレスビー→ハワイ→アメリカ本土
・ソロンは良く重点攻撃目標されるが、制圧してもポートモレスビー基地攻撃隊に難儀するので始めはおすすめしない
・大陸側の基地はいつの間にか壊滅させられるので、燃料や兵員の数は常にチェック

■艦隊戦のコツ
・各基地・各艦隊の索敵情報を元におおよそのあたりを付け、夜中のうちに空撃準備・夜明けと共に空撃
・空母を最優先で撃滅する
・艦隊が砲撃の射程内に来たら砲撃戦
・電波照準器があれば真夜中でも長射程で攻撃できるが、必須ではない

■上陸戦のコツ
・相手基地に近づいたら夜中に空撃準備し、明け方と共に空撃。相手戦闘機や相手飛行場を叩く
・昼は直掩機を出しつつ基地に近づく。夜になったら空撃準備の繰り返し
・基地が砲撃の射程内に入ったら直掩機を上げつつ突入し、砲撃。相手空爆機や陸兵は戦闘機で倒す
・相手陸兵はその基地に居る全陸兵の半分が出てくる。なので、相手陸兵が1~2になるまでひたすら削る
・相手陸兵を削ったら上陸コマンドで上陸。拠点(村・都市)耐久力をゼロにし、相手陸兵を全滅させ、拠点に陸兵を入れて制圧
・相手燃料タンクを攻撃し続けて燃料をゼロにしても制圧だが面倒なのでお勧めしない

■疲労度が溜まったら?
・燃料が充分ある近場の基地に戻り補給→慰労。補給中や慰労中も待機扱いで疲労度が下がるので、日数は少な目で良い

■母港に帰るタイミングは?
・戦果で相手の残り艦隊が出る。相手空母含め8割以上の艦隊を撃滅させたら戦果は充分なので戻ってよい
・戻ったら1か月で終わる程度の完全修理をしつつ、会議で技術開発・産業振興・兵器生産
・完全修理で上げるパラメーターは、戦艦は対艦砲撃・空母は搭載数。速度が20ノット無い艦船は速度優先
・第二艦隊以下はよほどボロボロにならなければ帰らず、南方油田を死守しつつその近辺を少しずつ切り取る(ソロンは後で)

■提督を少しでも強くしたい
・住民の居る各基地で軍政>食糧補給をすれば、好感度を上げつつ提督経験値も上げられ多少強くなる

提督の決断 14日目(最終回) 「アメリカ本土上陸作戦」

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日本は日本の戦争責任を問うカイロ会談などものともせず、着々とアメリカ本土上陸作戦の準備を進める。
5か月という、戦争中にしてはあまりにも贅沢な時間の使い方をし全艦隊を新調。

一方全ての機動艦隊を失った連合軍は組織的反抗が不可能となる。
その恵まれた国力を生かしちまちまと戦艦や空母を建造し進発させるが、その都度日本の基地航空隊に各個撃破される。

そして時は来た。遂にアメリカ本土上陸作戦――逆ダウンフォール作戦を開始する。
残る基地はサンフランシスコとロサンゼルスなのだが、西からどちらか一方を攻めるともう一方の基地航空隊に挟撃される。
なのでロサンゼルスに狙いを定め、南回りで攻めることとする。

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やり方はハワイ攻略戦と変わらない。
まず夜中に空撃の準備をし、夜明けとともにアウトレンジから空襲、昼の間に直掩機を出しつつ艦隊を相手基地へ進行させる。
そして日が暮れれば空撃準備、空襲、進行を繰り返し、相手の反撃能力を失わせたら上陸戦だ。

ハワイ攻略戦と異なるのは、今回は第二艦隊以下もロサンゼルス攻略に参加させていることだ。
なので疲労度はハワイ攻略戦よりかは下がらない。
疲労度が100になると艦隊消滅のようなので、この点楽である。

こうして全艦隊の総攻撃を受けたロサンゼルスはたまったものではなく、陥落。
日本軍全艦隊がロサンゼルスに入港し、一息付く。

連合軍最後の海軍基地はサンフランシスコ。
ここから基地航空隊がロサンゼルスを取り戻すべく来襲するが、日本軍は新鋭戦闘機500機を既に配備している。
カトンボのように叩き落され、こちらが攻めることも無く相手の基地航空隊の在庫もすっかり減ってしまった。

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第二艦隊以下に配備した軽空母隊が一足先にサンフランシスコに空撃するが、それにすらタジタジだ。
なけなしの空母や戦艦も撃沈されていく。
そして本隊が動き、留めを刺す…と思いきや。

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これまた第二艦隊以下の弱小駆逐艦艦隊により、最後の基地サンフランシスコはあっさり陥落してしまう。
弱小と言っても駆逐艦もすべて完全修理しているので、その能力は全て巡洋艦並。
誠に恐ろしきかな日本軍。

かくして、母港となりうる港が全て陥落した連合軍。

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大日本帝国はここで大戦の終結を宣言する。
この世界では、カイロ会談から始まるポツダム宣言は敗者の戯言。
大東亜会議こそが正史とされ、サンフランシスコ平和条約ならぬ、横須賀平和条約あたりが締結されるのかもしれない。
その後、ソ連をはじめとする共産圏とのイデオロギー対決はどうなるか。
国内事情もどうか。何かと独り相撲の関東軍は健在であり、いずれ満州国が独立戦争を日本に挑むかもしれない。
欧州はズタボロだがアメリカの国力は当然ゲーム中のような手ぬるいものではなく、たちまちリベンジしてくるだろう。
早期講和などやはり無いのかもしれない…
と、ifの歴史に思いを馳せつつ、ゲームを終えたいと思う。

提督の決断 -完-




■感想

このゲームはとにかくとっつきにくい。
直掩等の見慣れない言葉、何度も敵兵が復活する(ように見える)意味の分からない戦闘シーン。
信長の野望や三国志のセオリーに慣れていればいるほど面を喰らう。

だがシステムに慣れると、これほど面白いゲームは近年まれに見るのではないかと思う。
各基地各艦隊の索敵情報から敵艦隊のあたりを付け、敵の進行位置を予測し撃破。
空撃で名だたる敵空母をアウトレンジ攻撃。
戦略というあやふやな概念が具体的な手ごたえを持って味わえるので、脳汁がふんだんに出る。

確かに歴史シミュレーションとして見ると色々ツッコミどころはある。
1日で1000機以上の戦闘機を生産出来たり、それを1日で日本からガダルカナル島まで輸送出来たり。
(無論別の方法で距離や時間を演出してはいるが)
が、それがテンポの良さを誘い、このゲーム最大の面白さである、「当時基準の艦隊戦」という楽しさの純度を高めている。

些末なことはさておき、艦隊戦の戦略的な爽快感に振り切ったこのゲームの評価は、個人的には非常に高い。
慣れるまで大変とは思うが、機会があれば是非チャレンジしていただきたい傑作である。

提督の決断 13日目 「カイロ会談」

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太平洋の制海権を全て日本軍に奪われた連合軍は、とある行動に出る。
それは…カイロ会談

史実では、この会談は戦争の全責任は日本にあると定めたものだ。
日本のやっていることはただの侵略戦争であり人権蹂躙だと世界に宣言。
この会談を元にテヘラン会談を経てポツダム宣言へと進む。

このカイロ会談は日本がこれより約1か月前に行った大東亜会議のカウンターの意味もある。
当時敗色濃厚だった日本は士気向上も兼ね、各国のシンパを集め、日本の開戦理由を世界に宣言した。
それは欧米の植民地支配からの解放、人種差別撤廃、平等な経済圏設立の為、等。
とかいいながら日本は泰緬鉄道建設捕虜虐待事件とかやってるわけで誠にしょうもないのだが…

つまりカイロ会談とは、敗色濃厚の日本に、軍事的だけでなく政治的外交的歴史的な引導を渡す布石だ。
史実では。

だがこのゲームでは勝利濃厚の日本。
正しさとは真実ではなく力と勝利の帝国主義時代、この世界線で正しいのはカイロ会談ではなく大東亜会議の言い分だ。
今更カイロ宣言をしたところで、その説得力は史実の大東亜会議並みに説得力がない。

まさに史実の大東亜会議を見るかの如く、この世界はカイロ会談を見ているわけだ。
歴史ゲームの面白さとは、ユニットを考えて編成して強敵を打ち破るいわゆるゲーム性だけではない。
こうした歴史の皮肉を味わえることが、おそらく最も楽しいところであろう。

システム的には時系列に合わせて史実をテキストで流しているだけだ。
それでもその簡素なテキスト裏にこれだけ楽しめる要素があるのだから、やはり歴史ゲームは良い(こじらせすぎ)。

というわけで、勝利濃厚の日本。
国民の士気もマックスであり、おかげで予算もジャブジャブ手に入る。
その金を元に新鋭戦闘機と雷爆機を500機ほどハワイ等に配備。

なけなしの艦隊でハワイを取り戻そうとする連合軍も…

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こちらが迎撃艦隊を差し向けるまでもなく、ハワイに配備した基地航空隊にボコボコにされる。
連合軍の艦隊はことごとく壊滅し、現段階で稼働しているのは潜水艦二隻という呉空襲前の日本よりひどい状況。

もう何をやっても勝てるであろうが、アメリカ本土決戦はそれでも大量の血が流れるであろう。
決戦前に第一艦隊を母港に戻し、最終換装を行う。
その結果…

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史上最強の艦隊が出来上がる。
速力40ノットの戦艦大和とかヤバすぎる。
ここまで上げると艦隊戦で一度に2マス進める上に、対艦・対空ともに攻撃力も装甲も史上最強だ。

化け物のような艦隊を引き連れ、いよいよ日本は米国本土上陸作戦「逆ダウンフォール作戦」を敢行する。
これもまた歴史の皮肉としか言いようがない。

提督の決断 12日目 「ハワイ上陸作戦」

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何度も真珠湾空襲→砲撃を繰り返すことで、相手砲台や駐留艦隊は壊滅。
あとは拠点守備兵を駆逐するのみなので、こちらも砲撃及び直掩機による機銃掃射で削る。

そして残り2大隊ほどになったところでいよいよ上陸作戦を開始する。
相手基地の制圧は相手陸兵と拠点(村・都市)の耐久度をゼロにして兵を拠点に入れるか、燃料タンクをゼロにするかだ。
後者はとても面倒なので大体前者のやり方を取る。

8時間ほどかけ上陸準備をし、上陸。
激しい銃撃戦が繰り広げられ…

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夜が明ければ空撃による攻撃支援を行う。
通常空撃では相手陸兵は引き籠って出てこないが、こちらの上陸兵が居る場合仕方なく出てくる。
それを叩く形だ。

こうなれば相手はもうどうにも出来ず…

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相手連合軍、というかアメリカ軍の母港、ハワイは陥落。
アメリカ軍は新しい母港をサンフランシスコに移し、太平洋から叩き出されてしまった。
制海権を完全に掌握した日本軍、悠々と凱旋し、技術開発で数値を限界まで上げ、艦隊の最終完全修理を行うこととする。
最終作戦・アメリカ本土サンフランシスコ・ロサンジェルス制圧作戦に備えて。

ここにおいて戦いの趨勢はすでに決したと思われる。
が、この時、連合軍はとんでもない行動をする。それは…!!




■現在の状況

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太平洋に点在する基地は、アメリカ本土の基地を除き全て日本のものとなった。
あと残すは大陸部の武漢とノモンハン、及びアメリカ本土の基地のみである。
武漢とノモンハンは周辺基地にごってり長距離爆撃機を配備し置いたのでそのうち落ちると思う。

そしてハワイ・ミッドウエー・マーシャル諸島・ガダルカナル島に数百機規模の新鋭戦闘機と雷爆機を置く。
こうすることでホイホイやってきた敵艦隊を自動的に攻め、こちらが艦隊を出さなくても手ひどい損害を与えられるからだ。