2022/08/26

完璧な情報統制をしてきた反乱軍は、相手を大虐殺したおかげで大量のアイテムを得る。
本来なら超レアアイテムのドリームクラウンも、死者の杖や死者の指輪もたらふく手に入る。
かくしてプリンセス+リッチ×2という超高火力パーティーで敵の最後の拠点を包囲し散々に屍を築く。
敵の予備兵がすべてなくなったところで、主要キャラが正義の前向上を述べボスに挑み…

ラスボスもタロットカード・ジャッジメント3枚掛けで瞬殺。
最高に悪辣なパーティなのに、審判を下されたのは相手の方であった。

そしてエンディングを迎える。
神聖ゼテギネア帝国は倒れ、トリスタン皇子を頂点とした新生ゼノビア王国が設立。
反乱軍の指導者hide子は国に残るよう頼まれるが固辞し、遥か北方の大国ローディス教国へ旅立つという。
そもそもの戦いの発端はローディス教国が仕掛けた南下政策による。
それに対抗するために生まれたのが神聖ゼテギネア帝国だが、これは悪の魔導士の思惑なども絡み結果的に倒された。
しかし本当の脅威は未だ健在なわけであるから、かの国の動向を探ろうというのだ。
だがここまでプレイしてきたプレイヤーなら分かるであろう。
本当に悪い奴は反乱軍のhide子である。
正体がバレる前のとんずらと見るべき。

前回は血の色に染まっていた新生ゼノビア王国の空は、さわやかに青く晴れ渡る。
これから先晴れやかな未来しか無さそうな国だが、味方のランスロットたちは2年後死んでしまうという。
どうも最後までもにょもにょする。

評価カードはワールド。
前回は塔という最低ランクのエンドだったが、これは最高ランクのエンドだ。
仏の顔で各地を解放する裏で、敵拠点を悪魔の如き大虐殺で封鎖。
死屍累々の果てに築き上げた新生ゼノビアもどうもあまり楽しい未来があるわけでもない。
それがこのゲームで最高の終わり方というのだから、なんともシニカルなゲームである。
伝説のオウガバトル -完-
■感想名作名作と言われているこのゲームだが、どうも80年代後半のPCゲームの悪い流れを引き継いでいる気がする。
昔のPCゲームは長く遊べれば遊べるほど良いものとされ、故に経験値稼ぎも単調で膨大なものが多かった。
それの否定から、経験値稼ぎを否定するゲームが80年代半ばから増え始めた。
日本テレネットのアークスは経験値をマスクデータとし、ブレイングレイのラストハルマゲドンは経験値稼ぎを愚かとした。
その流れを受け日本ファルコムのソーサリアンはイベントに重きを置き戦闘での稼ぎは殆ど無くなった。
T&Eソフトのルーンワースに至っては経験値稼ぎすらない。
例えが古いのは、私がおっさんだからである。
無論ウィザードリィのように、経験値稼ぎ自体に面白さを見出したハクスラ的ゲームは既に80年代前半にある。
だがJRPGはストーリー性を付与してきたことで独自の進化を遂げ、それを長く引き伸ばす為に経験値稼ぎを強いた。
それの反省で経験値稼ぎを否定する流れが出来た。
その流れを引きずったのがこのゲームのような気がする。
とにかく露骨な経験値稼ぎは悪とし、それではベストエンディングに辿り着けないようにした。
しかし敵を完ぺきに封鎖殲滅虐殺する部隊を作ればそれを回避できる。
正義を執行するためには誰よりも悪にならないといけないのだ。
それがゲームとしてのコツと見るか、外連味と見るか、調整不足の穴と見るか。
コンシューマーゲームではこういったこじれたゲーム性は少なく、だから根強いファンが今でも居るのは分かる。
が、PCゲーム暦が長い私のようなおっさんからすると、少々辟易する流れであった。
一言で言えば、もっとスカッと気持ちよく楽しませてくれと。
もし私のゲーム遍歴がスーファミあたりから始まっていれば、思い出補正も相まって手放しで賞賛したであろう。
年は取りたくないものである。