2022/06/14

C・Dエンドを両方とも見ると、エンドロール中に2B(A2)・9Sを担当しているポッド間で通信が行われる。
ポッドの真の役目はアンドロイドの進化の遂行。
そのための捨て石であるヨルハ機体の支援と、破壊。
ヨルハ機体の活躍もあり、アンドロイドという「種」は進化の為のデータを十二分に揃えた。
ならば旧世代であるヨルハ機体は用済みである。特に機械生命体のコアを流用している以上、尚更だ。
2B・9S・A2のパーソナルデータがネットワーク上に漏れているのを確認したポッド042(2B・A2担当)。
規定ならばそれは削除すべきであるが…
アンドロイドや機械生命体から人間でいう感情が芽生えたと同様、ただの任務遂行機械のはずのポッド042にも芽生えた。
彼女らを助けてやりたいという感情だ。
ポッド153(9S担当)はそんなことは許されないと諭すが、042は聞かない。
しかしそれは任務遂行防衛システムを呼び覚ますこととなり、042は一人果敢にそのプログラムの突破を目指す。
その防衛プログラムとは…
スタッフロールだ。
このゲームを作った、携わった全ての人々。彼らが居なければヨルハ機関やアンドロイドどころか全てが生まれなかった。
まさに創造神。それに戦いを挑むということだ。
このゲームはこうしたメタ要素とゲームの世界観が時にひどく曖昧になる。
その戦いとは、具体的には弾幕シューティングだ。
声優やスクエニ、プラチナゲームズ達から白組などのCG外注、ポールトゥウインらデバッグ外注のスタッフたち。
彼らが弾をどかどか撃ってくるので、それらをよけつつ彼ら自体を破壊していく。
042の疑似形態である自機は3回敵弾に当たったらおしまい。ただし要所要所の敵を倒すとそこから復活できる。
これが非常に難しい。無茶苦茶難しい。
ニーアオートマタ本編の難易度を10とすると、このシューティングの難易度は1兆くらいある。
怒首領蜂の火蜂よりかは簡単だが、そんなものと比べられること自体頭おかしい事の証左である。
ただネットワークを繋げている場合、他のプレイヤーが援軍としてやって来てくれる。
そうでなければ自力でクリアするしかない。
何とかクリア…すなわち防衛プログラムに打ち勝つと…

杓子定規だったポッド153も、他のポッドも042にほだされ、定められたプログラムに反逆することを決める。
サルベージした2B・9S・A2のパーソナルデータとともに、義体を回収。足りないパーツは各端末から補充。
それらを元に…

2B・9Sを復活させる。

そしてA2も。
ちなみにサルベージされたパーソナルデータは、過去の全ての記憶も復活しているという。
ヨルハ機体は捨て石と言う事実も無論皆知っている。
なのでまたもや同じ未来があるのではないかと危惧するポッド153。
しかし彼女らを縛るヨルハ機関もバンカーも、もはや無い。
真相に近づいては延々に殺す・殺されるループから抜け出た彼女らが手にしたものは、未来。
きっとその手で新しい未来を掴み取り、新しい世界を作り上げていくことだろう。
ニーアオートマタ -完-
いくばくかの謎を残し、本ゲームは終わる。
ヨルハ計画を含め、「アンドロイドの進化」を永遠に求め続ける計画を立てたのは誰なのか。
2B達パーソナルデータの漏洩とはどこからどこへなのか。
そして真のラスボスがニーアオートマタ制作にかかわった実在の人々という意味は。
ただのメタなのか、あるいは深い意味があるのか。
Eエンドのシューティングはソロプレイでのクリアは死ぬほど大変なので、大抵援軍に頼ると思う。
その援軍とは、ニーアオートマタのセーブデータを代償に現実と言うネットワーク世界にダイブした実在の人々だ。
これがただのメタ的演出なのか、さらに深い理由があるのか、今のところ全く分からない。
ちなみに援軍に頼ってEエンドをクリアすると、最後にポッドたちからセーブデータを代償して他の人々を助けるか聞いてくる。
それに答えると自分自身が援軍となり、別次元のポッドや2B達を助けることができる。

ポッドたちから感謝の言葉を貰い、本当にセーブデータが全部消える。
多次元世界をメタ的に描いているのだろうか。いずれにせよ非常に面白い試みであろう。
なお死ぬ気でソロクリアすると、エンドムービーだけで終わり、自分を犠牲にするか?という問いはない。
つまりぼっちでは誰も助けに来ず、誰も助けられない。これもまた深い意味がありそうな気もするし、無い気もする。
■感想ゲームとして面白いかと言われると、昼夜を忘れて引き込まれるほどの中毒性はない。
収集があり、探索があり、お使いクエストがあり。よく言えば王道、悪く言えばマンネリの部類のゲーム性だ。
ストーリーもキャラの心情が非常によく描けているが、哲学要素やメタ要素が多いところに賢しさが少し感じられるかもしれない。
前後作や世界観をネットで下調べしないとピンとこない所も多い。(わざわざ調べたこと自体魅了されている証拠だが)
だがそんな無理やりなネガティブ要素など吹き飛ばす程に、世界観やキャラのデザイン、スタイリッシュさが凄まじい。
「俺はこういうゲームが作りたいんだ文句あるかコノヤロウ」という激しい淘汰圧を感じる。
この淘汰圧の前では、賢しい私のゲーム評など鼻かんで丸めたティッシュに等しい。
ここまで気合の入ったゲームは長らく味わった事なかった。
こうした世界は映画では難解かつ短すぎて無理だし、人気にストーリーラインが左右される漫画やドラマでも無理だ。
ゲームでしかできない。しかも相当気合を入れて制作されたゲームでなければ。
面白い面白くないでなく、ひたすら圧倒される。そうしか形容出来ないゲームであった。