獣神ローガス(ランダムハウス)

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■紹介
1987年、ランダムハウスより発売された左右任意スクロールSFアクションゲーム。
当時としては珍しい98専用ゲームであったため、従来のPCでは実現不可能な軽やかな動きを実現。

画面が地味と言われるが、終盤に至っては敵が画面を埋め尽くししかも処理落ちはほとんどしない。
その中でビームや多弾頭ミサイルをぶっ放し、自機にエネルギーをまとって突貫する爽快感はこの時代においてはトップクラス。

しかもただのアクションゲームではなく、地の利を見つけ敵を迎撃、敵に合った武器の選択といった高度な戦術性。
無闇に敵をせん滅するのでなく、建物を破壊し敵の継戦能力を削ぎ侵攻方向を熟慮し的確に戦力配置といった優れた戦略性。
そしてこちらのレベルに応じて変わる敵の強さ。腕前によっては低レベルクリアも可能な優れたゲームバランス。
全くもって、当時としては最高峰と言って良い、あらゆる面が高度に設計された、素晴らしいゲームだった。

惜しむらくは売り方をまちがえたこと。当時ハイスペックすぎて高嶺の花だった98専用。
そして何故かこのゲーム最大の売りである大総力戦の迫力ある画面でなく、途中の寂しい画面ばかりの販促画面。
あと3年待って98市場が開拓されたなら、キャッチャーなビジュアルを挿入させられたなら、歴史は変わっていたかもしれない。
非常に惜しい、惜しすぎる、隠れた名作である。

■評価
A

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駿河屋→PC-9801 3.5インチソフト獣神ローガス(SOFBOX販売専用)

獣神ローガス 簡易攻略

■序盤
・まず成長させる武器はバルカン。無限に使えるので継戦能力が上がる。ただし弾切れ時に撃とうとすると故障するので注意
・Defence値の低い拠点から制圧。敵が攻めてくる場合撃退すればその分だけ敵のDefenceも減る
・要塞(◎印)は一旦制圧するとそこには敵は攻め込まず、こちらの侵攻計画が立てやすい。まずは海の要塞制圧を目指す

■中盤
・敵から攻め込まれた場合、自機の居る拠点の隣の拠点までならば迎撃出来る。そうでないところに戦力を配分しておく
・自機が迎撃できなくても、敵が攻め込んでくる戦力以上の戦力を配分しておけば負けることは無い
・バルカンを成長させ切ったら、次はシールドを上げていく。その次は各種武器を自分の戦い方に応じて
・レベルが10を超えると空を飛べるようになる。地上の敵は空に逃げてやり過ごしバルカンの回復を待つのも良い
・空を飛べるようになったら、敵を釣り出しながら入り口付近まで戻り、安全に迎撃するのが勝ちパターンになる
・レベルが20を超えると僚機が付くが、弾薬はこちらで用意しないといけない。勿体ないのでバルカンだけでよい
・僚機の撤退要請はESCキーを押すことで許可できる。正直あまり戦力にならないのでとっとと許可したほうがよい
・減ったHPはなるべくフィクサーで回復する。その分拠点での修理時間が減り、相手の戦力が回復する時間を与えずに済む。

■終盤
・最終拠点を囲む三要塞が非常に硬い。対応策は①レベルを上げすぎない ②補給妨害 ③レベルを40以上まで上げる
①こちらのレベルと敵のレベルはある程度比例している。20台であればこちらの腕前次第で何とかなる、かもしれない
②補給妨害で相手の輸送機を2以上倒せば相手の戦力がダウンしていく。ただしこちらのレベルが上すぎるとあまり意味はない
・敵補給機はエライ固いので、バルカンだけでは1機倒すので精一杯。バズーカのゼロ距離射撃がおススメ
③レベル40を超えるとエネルギーバーストが使える。こうなれば補給機を倒しまくれるし、要塞ボスも瞬殺
・要塞の建物は破壊し辛く、こちらの修理・弾薬補充ウェイトも加味すると敵戦力の回復に追いつかない。敵機殲滅優先で
・要塞ボスは猛烈火力だが、遠巻きにしてバルカンでもよい。ただし長期戦ではこちらのエネルギーが持たないだろう
・エネルギーバーストは慣性が付きすぎて操作が難しい。空中戦を挑み続けるより一端地上に降りて飛び立った方が良い
・ラスボスはエネルギーバーストが効かない。左右のワープを利用して遠巻きにビームか、ミサイル連打で強引に押し切る

■戦闘のコツ
・こちらが被弾する箇所は胸の当たりであり、それ以外の頭や足などは被弾しない。なので敵の弾幕も意外と当たりにくい
・それは相手にも言え、相手の被弾する箇所も決まっている。なのでバルカンやビームなどの直線兵器は平地で確実に狙撃
・乱戦や空中戦では攻撃範囲の広いミサイルを使った方が良い。慣れればバズーカのゼロ距離射撃もおススメ
・ボムは地味だが、地上でゆっくりウロウロする敵には絶大な威力。相手が地形で引っかかっていたらそこに連続投下しよう
・敵を破壊すると爆発するが、その爆発が高火力。なるべく巻き込むように倒し弾薬節約。一方自機は爆発に近づかぬよう
・敵は一度に2部隊ずつ出現する。1部隊は同じ機種で構成されており、部隊を壊滅させると次の部隊が出現する
・2部隊以上は敵の種類も部隊も増えないので、冷静に体力回復・迎撃地点確保し戦術的優位を高めていくべし
・むやみに突っ込まず、敵のところまで飛んで行き敵を平地までおびき寄せ迎撃する
・飛びまくるとエネルギーの減りが速い。終盤の要塞戦はエネルギー残量がカギになるので、必要なければ空は飛ばない
・僚機が居ると釣り出しが上手く行かなくなる場合がある。場合によっては僚機は居ない方がいいかもしれない
・武器の成長優先度はバルカン>シールド>フィクサーの順。あとはプレイスタイルに応じて。ビームが割と使い勝手が良い

獣神ローガス 13日目(最終回) 「終焉にして黎明なるもの」

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終焉の地Mosk最深部に鎮座していたカイゼル総督の駆る機体。
それは惑星連合の誇る最新鋭兵器RHザガードそのものだった。

それは攻撃能力も瓜二つだった。
武装の応酬の果ては共倒れしかなく、こちらは最終決戦兵器エネルギーバーストでとどめを刺そうとするが…
なんと、効かない。
相手はエネルギーバーストが使えない代わりにこの武器に対する完璧な耐性を持っていたのだ。
いったん撤退し、戦略を練り直すこととする。

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この地は道中は平坦な地ばかりなので、バルカンメインたまにバズーカとボムを使う程度で制圧できる。
こうして大量の武器を温存しカイゼル戦に臨む。
遠距離では貫通力のあるビームを撃ち込みちくちく削っていく。
そして敵が迫ってきて多弾頭ミサイルを撃ってきたらこちらも同様の攻撃で面の圧力を加える。
共倒れになりそうだったら上空に逃げるか、画面端に向かえばもう片方の端にワープするのでそれを利用しても良い。
冷静に戦えばビームだけで何とかなりそうだが、どうしても慌ててしまうようならミサイル連打でもなんとかなる。

かくして…

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敵RHザガードは砕け散り、カイゼル総督はついに倒れる。
なぜカイゼル総督はRHザガードという連合の最新鋭兵器を持っていたのか。
それ彼がある端末から情報を入手し、そっくりRHザガードと同じものを作り上げたからだ。

その端末とは、この宇宙にあるすべての情報にアクセスできる唯一絶対の存在…

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マインドエンハンサー

この閉鎖空間の中央で、二機による終焉の戦いをじっと見守っていた「もの」。
この「もの」は、この不毛の惑星ザゴスに以前存在していたという先史文明が残したものなのか。
あるいはこの「もの」自身が先史文明を滅ぼしたのか。

カイゼル総督はおそらくは便利な道具と認識していたであろう、この「もの」。
しかし実際に道具として扱われていたのはカイゼル自身だった。
この「もの」はカイゼルをターミナルとして扱い、そしてそのターミナルは性能に難があり、壊れた。

この「もの」…マインドエンハンサーは、新たなターミナルを欲していた。

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マインドエンハンサーと接続すれば、全宇宙のすべての情報を手に入れられる。
主人公・マクガドル大佐(少佐から昇進)の選択は…

マクガドル大佐による最終報告――

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先住種族による遺跡、未だ発見できず。
増援部隊の派遣は、必要なし。


真実は全て、闇の中へ。
そして、新調された「ターミナル」が、稼働を始める…

獣神ローガス -完-




■感想

もやっとした終わり方に、いかにも当時のSFらしさが出ていた。
マインドエンハンサーとは何だったのか。
なぜカイゼルも、そして主人公もターミナルになる道を選んだのか。すべては謎のままだ。

ただ、この話の冒頭ではこうある。
不毛の惑星であったザゴスに貴重な資源が眠っていると知った途端、各惑星連合の列強が欲望のままに入植を始めたと。
いくら人類が宇宙に進出するほど発展した世界であっても、その行動原理は古代から少しも進歩していない。
カイゼルやマクガドルの選択とは、人類のぬぐい切れない業の一端にしか過ぎないのだ。

地域の名前も最初の拠点が「Belin」で最後は「Mosk」。つまりベルリンとモスクワだ。
途中の地域もロシアやドイツの地名に似ている。つまり惑星ザゴスこそが、宇宙に進出した人類がとうに忘れ去った地――
「地球」だったのかもしれない…


このゲームは2HDディスク2枚組であり、CG1枚絵で世界観を詳細に述べるのが流行りつつあった中ではひたすら地味であった。
だがだからこそこのテキストだけで終わるエンディングは、プレイヤーに鮮烈な印象を残す。

ゲームとしては、当時のPCゲームの中では一級品なのは間違いないだろう。
最初は地味極まりない始まりだが、やがて画面に敵が埋め尽くされるほどの大激戦になっていく。
武装もそれぞれ使用意図があり、様々な戦術を構築できる。

そして戦略性も高く、如何に効率よく進軍するか、ただ目の前の敵を倒すだけでなく如何に敵の戦力を削減するか。
その為に如何に補給線を断つか。
今回のプレイではしなかったが、最速占拠クリアや低レベルクリアも楽しめるだろう。
当時のゲームでそのようなところまで設計されていたのは誠に異端だった。
地味と片付けられてしまうのが多いゲームだが、その設計思想は10年は先に進んでいたと思う。

あらゆる面でPC98の性能がなければ実現できなかったこのゲームは、非常に勿体ないとしか言いようがない。
あと3年遅く発売して、98が市場を席巻する中、キャッチーな1枚絵ビジュアルでユーザーを引き込めていたら…

ちなみにビジュアルに全振りしてゲーム性を度外視させたのが、ほぼ同時期に発売されたスクウェアの「ブラスティー」であろう。
ブラスティーは獣神ローガスとある意味対局に位置しているゲームだが、ある意味最も近いとも言える。
お互い共に勿体ないところが多すぎた。

獣神ローガス 12日目 「本拠地Mosk」

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難攻不落を誇ったカイゼル総督軍要塞群も、惑星連合の最終兵器V-MAX…じゃない、エネルギーバーストの前では無にしかず。
瞬く間に敵の三つ首要塞を攻略し、遂に敵本拠Moskに臨む。

この戦争の舞台である惑星ザゴス。その先史文明の中枢に接近したカイゼル教授はやがて連合に反旗を翻した。
そうさせた理由は一体何なのか、先史文明がそのカギを握るのか。すべての謎が、今明らかにされる――

この地は流石敵の本拠だけあってあらゆる種類の敵が跳梁跋扈している。
しかもProduct値が桁外れの40もあり、長期戦で挑んだところで瞬く間に回復してしまう。
ここは短期決戦で一気に制圧するしかあるまい。

幸いこの地は岩山や砂山だらけだったほかの地と違い、やたら平坦で人工的な造りをしている。
その為こちらの火力をフルスロットルでぶちまけても障壁が無いので、割合早く制圧できる。
先の要塞の方が数倍難しいであろう。

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全ての敵をとりあえず殲滅させたのだが、これでクリアとならない。
マップの中央部には障壁に囲まれた謎のモノリス。これを破壊せよということだろうか。

バルカンを撃ち続けると息切れするほどにやたら固いモノリスだが、何とか破壊すると穴が開く。
意を決して飛び込むと、そこは…

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人工的な地上とは打って変わって何やら生物的でおどろおどろしい空洞。
中央には何やらよくわからない異形の物体。
このゲームのパッケージにもあった…

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これのようにも見える。

そして対するはカイゼル総督なのだが、その乗機は、こちらの乗機RGザガードとうり二つであった。
これらの意味することは一体何なのか。

始まりの地における最後の戦い。この果てにあるものとは…?

獣神ローガス 11日目 「換装・最終決戦兵器」

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この戦いが始まりもうすぐ1年。
戦線は膠着し、自軍は敵最終防衛ラインに半年以上も足止めされたうえ一向に進展なし。
だがついに一筋の光明が見えてきた。

文字通り、機体に光り輝く高電磁集合体を爆散させる最終決戦兵器・エネルギーバーストが、遂に換装されたのである。
これはいわゆるひとつのレイズナーのV-MAXみたいなやつだ、
超高速移動しつつ、可視化された高圧エネルギーごと敵に体当たりし、立ちどころに倒してしまう恐るべき白熱質量兵器。
代償としてこちらのHPが次第に減っていくのだが、そのデメリットを押さえて余りあるとんでもない破壊力を持つ。
その威力はすさまじく、触る者皆蒸発していく。
僚機も
見境なさ過ぎる。ホント戦争は地獄だぜ。

特筆すべきはその超高速移動っぷりであり、猛烈ダッシュで戦場から遁走する敵ボスにも軽く肉薄…というか追い越してしまう。

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空中だと早すぎて制御し辛いので、いったん地上に降り下から突き上げる形がよろしかろう。
何しろとにかく重なりさえすれば敵が逃走する前に蒸発してしまう。

使い勝手はあまり良いとは言えないが、使いこなせば絶大な威力を持つこの兵器。
試運転に幾日かを要したが、慣れてしまえば半年以上かかったこの北西方面要塞をわずか1日で殲滅。

惑星連合も恐るべき兵器を作ったものである。
蒸発してしまった僚機はいい迷惑であったが…




■現在の状況

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かくしてあれほど攻めあぐねていた北西方面要塞も、最初に転進を余儀なくされた北東方面要塞も。
そしてついでに本拠地直下の最後の要塞もわずか数日で全て攻略。

敵ボスも黄色になりおそらく赤色の上位互換なのだろうが、最終決戦兵器の前ではその差など些末なものであった。

これで残すは敵本拠地「Mosk」。
そこはカイゼル総督が待ち受けていると同時に、この不毛の惑星に存在した先史文明の中枢でもあるはずだ。
全ての謎が、いよいよ明らかにされる。