三国志Ⅱ(コーエー)

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■紹介
1989年、光栄より発売された三国時代の中国を舞台としたシミュレーションゲーム。
人材登用・配下武将と言った従来のシステムに加え、計略・火計を用いたダイナミックな戦闘が売り。
更に信用度システムを取り入れたことで、お人よしで損ばかりしているがみんなに好かれている…といった生き様も体現可能。
いずれも粗削りな部分はあるものの、三国志世界を如何にしてゲームに落とし込むか?という野心的な試みが好感触。
信長の野望が「いかに戦国の世をシミュレートするか?」が多いのに対し、三国志は「いかに三国の世を味わうか?」。
…と、個人的に思っているが、その三国志シリーズのコンセプトは本ゲームで大部分を確立したようにも思える。

■評価
B

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Amazon→コーエー定番シリーズ 三國志Ⅱ


三国志2ハンドブック (シブサワ・コウ シリーズ)

三国志Ⅱ 簡易攻略

■序盤
・武将の数=実行できるコマンドの数なので、魅力の高い武将で積極的に人材登用させる
・他国の武将は忠誠度70以下なら登用しやすい。相手が他国から引き抜いてすぐの武将は忠誠度が低いのでオススメ
・内政は知力が低くてもそこそこ上がるので、脳筋武将であってもどんどん施し・開発・治水をすべし
・米相場が30以下なら、米を売るとかなり儲かる。ただし戦争が間延びしやすいので最低限兵士数の米は確保しておく
・戦争する際には同盟を組んで共同軍で攻めた方が良い

■中盤
・版図が広がってくると同盟国であっても攻められることがあるので、気になる場合は贈り物をし敵対度を20未満にしておく
・同盟相手の使者の書簡を改めたりすると信用度が下がり、外交や武将の忠誠度に影響する
・信用度は同盟相手の使者を通過させたりすれば上がるが、計略や引き抜きに遭いやすくなる。50以上を維持する程度で
・同盟国の共同軍は同盟国の敵対度が低くても裏切る場合がある(計略や信用度による?)
・そのため共同軍と入り混じって戦うと裏切られた時に逃げきれなくなるので、共同軍とはある程度離れて進軍すべし
・戦場に呂布を出すと忠誠度が90以上でも裏切りやすいが、総大将にすれば裏切らない
・しかし総大将呂布で勝利するとそのまま太守になってしまい裏切られかねないので、速攻人事コマンドで太守交替。
配下武将の忠誠度が下がり続ける場合は埋伏の毒をされている。軍師助言から怪しい武将を見つけ対処

■終盤
・同盟相手も少なくなるので自前の軍のみで敵の大軍と戦うことが多くなる
・この場合、火計や突撃を駆使して敵総大将部隊に肉薄。すると敵の守りも崩れてくるので更に別部隊を敵総大将に接敵させる
・3部隊程度接敵出来たら時間がある場合は一斉攻撃、無い場合は突撃して敵総大将のみ削る。他に構う時間は少ない
・他勢力を脅迫する場合、相手を1国のみにし、隣接したこちらの領土の兵の合計が相手の6倍以上ならば可能
・ただし劉備・曹操・孫権・董卓といった有名武将は脅迫に応じない

三国志Ⅱ 13日目(最終回) 「再会、友よ」

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有史以来、純粋に侵略によって滅びた国は実は一つもないと言われている。
そう見える場合は100%、内部から腐り外敵に隙を見せたからだ。

というわけで獅子身中の虫である李典と辛評を大掃除。
万難を排した劉備軍は、中華統一の最後の仕上げにかかる。

まずはラスボスと定めた袁紹…なのだが、寿命でお陀仏になってしまい跡を継いだのはドラ息子の袁譚。
ドラ息子の名に恥じず、脅迫したところすぐ此方の傘下に下る。

こうして最後に残ったのは公孫瓚
三国志マニアでもなければさっぱり聞いたことのない名前であろうが、彼は実は劉備の学友なのだ。
しかも一緒に机を並べていただけでなく、プライベートでもとても仲が良かったという。

演戯では元配下の趙雲に「あのおっさんマジダッセーすよ」と愚痴られたり、袁紹に喧嘩売って引きこもったりいまいちな扱い。
しかしこのゲームでは最初から最後まで、侵略的野心を持たず穏便に自分の領地を守り通す、引っ込み思案なメガネくんだ。

そんな彼の唯一の友である劉備は、董卓の野望に対し義憤にかられ世に出る。
その途上、曹操袁紹に良い様にこき使われたり孫権に裏切られたり散々であったが、それを乗り越え劉備は凱旋。
天下をその手に抱いて。

ぼくは羽ばたけなかったが、唯一の親友の劉くんは文字通り天下を飛翔し、今ぼくの元にまた舞い戻ってきた。
こんなに誇れることは無い。
戦乱も収まり、これからは内政の時代になる。それならばぼくも及ばずながら劉くんの手助けになれるだろうか。
そう思う公孫瓚くんに対し、劉備は…

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100万の軍勢で包囲し、

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脅し付けて天下統一。

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女を侍らしてうはうはの劉備であった。
友よ、あなたは…

三国志Ⅱ -完-




■感想

このゲームの最大の良さは、やはり三国志の世界をできるだけ忠実に再現しようとしたダイナミズムであろう。
三国志の戦争そのまま、火計で相手を動かして相手本陣に肉薄。森に潜んでの伏兵、誘導移動で相手を火の中に誘う。
またその戦法を逆手に取り、敢えて相手に誘導移動させ炎の中飛び込み本陣に肉薄なんてのも出来る。
シンプルながら、三国志の戦争を楽しむと同時にゲーム的な駆け引きを楽しめるのだ。
この当時のゲームでこのレベルの駆け引きが出来るのはなかなか無いであろう。

そしてその楽しさを最大限味あわせるために、内政がシンプルになっているのもいい。
計略もかなり凝っており、埋伏の毒のイライラ感もこのゲームならではであろう。
同盟国がニコニコしながら重臣はガシガシ引き抜いたり、臣下自身もホイホイ主君を裏切ったりと、人間不信が加速する。
それも終わってみれば楽しかった、気がする。実際はストレスマッハだったが…

更に隠しパラメーターに人徳というのもあり、例えば信用度が高くても人徳が低いと首を斬られやすいといったギミックもある。
袁紹などがそのパターンで、名家の為魅力がそこそこ高いのに人徳は著しく低かったりする。

このゲームは、三国志の世界をどうすれば表現できるか?に対して、数々な野心的な試みをしているのだ。
それがゲームとしての面白さに繋がっているかと言われると、正直粗削りな部分は確かに多い。
その為か、後作では上に挙げた人徳というパラメーターは削除されていたりする。

だがむしろ細かいゲームとしての面白さよりも野心的試みを優先したからこそ、三国志Ⅱは今でも愛されているのかもしれない。

三国志Ⅱ 12日目 「埋伏の毒を解毒」

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陶謙を滅ぼし、残すは孔融・寿命で死去した袁紹を継いだ袁譚・公孫瓚の3人。

最後くらい大徳劉備らしく無血開城しようと各地から武将を集結させていたところ…集めた武将の忠誠度が一気に減る。
武将の忠誠度が下がるのは季節変わりの金銭・兵糧不足が一般的であるが、そうでない場合は埋伏の毒をされている。

この計略はなかなかに恐ろしい。
忠誠度100の武将を在野に放ちをそれを何処かの君主が登用すると、その国の所属兵士の忠誠度が徐々に減ってしまうのだ。
だが見破るのもまた簡単であり、PC88で言えばコマンド18の軍師助言。
これを行うと、軍師が「あいつやばいっすよ」みたいなことを言ってくる。
今回言われたのは李典(元曹操配下)と辛評(元袁紹配下)。
実は彼らについては10年以上前から胡散臭いと言われてきたのだが、劉備はそれを放置していた。
何故かと言えば、大徳だからだ。徳をもってすればいずれ彼らも変わるだろうと。(ただ対応するのが面倒だっただけだが。)
だが彼らは変わらなかった。辛評は旧主の袁紹が死去したのに、その血筋の袁譚が健在な為かまだ毒の役割を続けている。
そして李典についても、旧主曹操自体ははまだ放浪して生きており、彼が生きている限り李典の忠誠心は不滅なのだ。
なんという義理堅く泣ける話だろう。
でも旧主を野ざらしにしておかないでとっとと劉備軍に仕官させた方が忠義の道な気もするのだが…

というわけでその見上げた忠誠心を持った武将の鑑、李典は…
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兵を預けられ…

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孔融領に特攻させられる
遅れて辛評にも同様な目に合わせる。
これが中華王劉備を欺いた報いである。

かくして孔融の戦力をある程度削いだうえにその陣容もわかり、そうなれば後は劉備正規軍で踏みつぶすだけである。
大徳とは何だったのか。




■現在の状況

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信賞必罰ということで国内掃除を終えた劉備。
孔融を下し残すは袁譚・公孫瓚の二国のみとなる。
ちなみに孔融は孔子の子孫を自認しており、反権力の相が強い。
演戯でも覇王曹操に対抗するために劉備が陶謙の後を継ぐよう説得していた。
つまり良い奴ポジなのだが、本ゲームの覇王劉備にとってはただの年末大掃除のダストシュートに過ぎないのであった。
合掌…

三国志Ⅱ 11日目 「孔明、本気を出す」

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孫呉を下した劉備軍。
最大の敵も去り、残るは袁紹・孔融・陶謙・公孫瓚といういまいちなメンツ。
だが最初から最後までろくに戦線に出ていなかった彼らは、その分異様に戦力をため込んでおり誠に油断ならない。

特に陶謙などは14万もの戦力が居る。
陶謙は正史ではなかなかヤバイ人だったようだが、演戯では大徳劉備に平和裏に領地を譲った穏健な老人として描かれている。
なのでなるべく武力は用いずに下そうと思う。

その為に必要なのは脅迫というぶっそうな外交コマンドなのだが、脅迫が成立するのは中々ハードルが高い。
相手を1国にしたうえで6倍の兵数で領地を囲まなければならないからだ。
ところが陶謙の14万の兵力の6倍ということは…84万!
さすがにそれだけの兵を集めるのは大変だ。
そこで…ついに孔明が本気を出す。知略を以て一切血を流さずに陶謙を下そうと。
その方法とは…

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引き抜き
相手は1武将に1万ずつ兵を与えているので、武将を引き抜けば兵も1万ずつごっそり減らせるという算段だ。
このゲームでは相手武将の忠誠度が70程度ならばまずホイホイ引き抜けるが、90代だと大抵は引き抜けない。
ところが孔明の知力は100あり、孔明が引き抜けると言えば捕まらない限り100%引き抜けるのだ。
というわけで…

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鬼である。
神算鬼謀とはこのことか。
こうして家臣ともども兵のほとんどを諸葛亮の策で取られた陶謙。その国はもはや寂として声無く…

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最後は孔明自ら出向き無血開城を成す。
まことに稀代の軍師である。まぁ信長の野望・戦国群雄伝では日常の光景なのだが




■現在の状況

陶謙を平和裏…と言うにはあまりにも卑怯でセコイ方法で下した劉備軍。
しかし中華の覇権を巡る大戦の終幕がこれではあまりにも情けなく、役不足ながら袁紹にはラスボスを頑張ってほしいところ。
と思ったら…

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寿命で死んだ
むむむ…