2020/11/16

有史以来、純粋に侵略によって滅びた国は実は一つもないと言われている。
そう見える場合は100%、内部から腐り外敵に隙を見せたからだ。
というわけで獅子身中の虫である李典と辛評を大掃除。
万難を排した劉備軍は、中華統一の最後の仕上げにかかる。
まずはラスボスと定めた袁紹…なのだが、寿命でお陀仏になってしまい跡を継いだのはドラ息子の袁譚。
ドラ息子の名に恥じず、脅迫したところすぐ此方の傘下に下る。
こうして最後に残ったのは
公孫瓚。
三国志マニアでもなければさっぱり聞いたことのない名前であろうが、彼は実は劉備の学友なのだ。
しかも一緒に机を並べていただけでなく、プライベートでもとても仲が良かったという。
演戯では元配下の趙雲に「あのおっさんマジダッセーすよ」と愚痴られたり、袁紹に喧嘩売って引きこもったりいまいちな扱い。
しかしこのゲームでは最初から最後まで、侵略的野心を持たず穏便に自分の領地を守り通す、引っ込み思案なメガネくんだ。
そんな彼の唯一の友である劉備は、董卓の野望に対し義憤にかられ世に出る。
その途上、曹操袁紹に良い様にこき使われたり孫権に裏切られたり散々であったが、それを乗り越え劉備は凱旋。
天下をその手に抱いて。
ぼくは羽ばたけなかったが、唯一の親友の劉くんは文字通り天下を飛翔し、今ぼくの元にまた舞い戻ってきた。
こんなに誇れることは無い。
戦乱も収まり、これからは内政の時代になる。それならばぼくも及ばずながら劉くんの手助けになれるだろうか。
そう思う公孫瓚くんに対し、劉備は…
100万の軍勢で包囲し、
脅し付けて天下統一。
女を侍らしてうはうはの劉備であった。
友よ、あなたは…
三国志Ⅱ -完-
■感想このゲームの最大の良さは、やはり三国志の世界をできるだけ忠実に再現しようとしたダイナミズムであろう。
三国志の戦争そのまま、火計で相手を動かして相手本陣に肉薄。森に潜んでの伏兵、誘導移動で相手を火の中に誘う。
またその戦法を逆手に取り、敢えて相手に誘導移動させ炎の中飛び込み本陣に肉薄なんてのも出来る。
シンプルながら、三国志の戦争を楽しむと同時にゲーム的な駆け引きを楽しめるのだ。
この当時のゲームでこのレベルの駆け引きが出来るのはなかなか無いであろう。
そしてその楽しさを最大限味あわせるために、内政がシンプルになっているのもいい。
計略もかなり凝っており、埋伏の毒のイライラ感もこのゲームならではであろう。
同盟国がニコニコしながら重臣はガシガシ引き抜いたり、臣下自身もホイホイ主君を裏切ったりと、人間不信が加速する。
それも終わってみれば楽しかった、気がする。実際はストレスマッハだったが…
更に隠しパラメーターに人徳というのもあり、例えば信用度が高くても人徳が低いと首を斬られやすいといったギミックもある。
袁紹などがそのパターンで、名家の為魅力がそこそこ高いのに人徳は著しく低かったりする。
このゲームは、三国志の世界をどうすれば表現できるか?に対して、数々な野心的な試みをしているのだ。
それがゲームとしての面白さに繋がっているかと言われると、正直粗削りな部分は確かに多い。
その為か、後作では上に挙げた人徳というパラメーターは削除されていたりする。
だがむしろ細かいゲームとしての面白さよりも野心的試みを優先したからこそ、三国志Ⅱは今でも愛されているのかもしれない。