2020/05/11

天上界のダンジョンを進むシッタール。
この奥に、これまでに倒してきた邪神達の王がいる。
仏陀の生まれ変わりを探すプランを練った阿弥陀如来をもその力で封印したという、最強の邪神・迦楼羅だ。
ここのダンジョンは二重の渦巻き状になっており、最初に下側の道を行けばあとは一本道なので迦楼羅にたどり着ける。
ただし鍵が足りない場合もあるので、その時は上ルートで補充するなりしたほうが良いだろう。
途中、体力回復アイテムなどが置いてあるだけの倉庫のような部屋もあるが、そのためだけに鍵を使うのは勿体ない。
余計な部屋の扉を開けてしまったらセーブロードを繰り返してやり直してもいいと思う。
そうしてついに迦楼羅の間にたどり着く。
ラスボス戦である。
最近のRPGならば前口上として、正邪がどうしたとか人間こそが真の悪とかそれらしい哲学を述べたりするものだが…
「褒美として食ってやる!」というまるで小物臭い口上なのがこの時代のゲームらしくて実にいい。
迦楼羅はラスボスらしく羽根をバサバサして光の矢を複数飛ばすという、中々かっこいい攻撃をしてくる。
だがここまでレベル上げしていればそう痛くもない。強引に法力を展開して迦楼羅の動きを止めて弱点を突こう。
ちなみに迦楼羅はすべての邪神の王という触れ込みだが、彼の弱点もしっかり人間界に知られている。

もっとも鋭いところが弱点だという。
人間界の諜報網おそるべし。
ただ鋭いところというのがポイントで、くちばしかな?と考えてしまうところだが…

実際はくちばしより右にある場所…つまり
爪先が弱点だ。
この辺悩みそうなところであるが、ここまでレベル上げをしていればそう簡単に死ぬことは無い。
攻撃を喰らいつつおかしいな?ここかなここかな?とやっているうちに相手はいつの間にかくたばっているであろう。

迦楼羅を倒すと、今度は本体の心臓が出てくる。
だがこいつはひたすらキャーヤメテのごとく法力をやたらめったらぶっぱなしてくるだけなので、かまわずぶすぶすしよう。
これで邪神の王・迦楼羅はついに消滅する。

かくして六つの世界を救ったシッタール。
それこそはまさに仏陀にしか成しえない奇跡であった。
仏陀を探すために地上に降り、志半ばにして散った虚空蔵菩薩。その志はこうして遂げられたのであった。

ダブル法力の指輪というものを迦楼羅の元から盗み出したこの竜は、その功績を認められ立派な姿にしてもらう。
小さいころにこのゲームをやっていれば、よくやった!エライ!になるのだが、よく考えるとこれは盗人猛々しいというやつでは…

新たな仏陀となったシッタールは竜に乗り、六道よりもさらに上位の世界・仏界へ旅立ち、この世界のすべてを治める力を得た。
めでたしめでだし…というわけなのだが、よく考えると迦楼羅派と阿弥陀派の利権争いに体よく利用された気がしないでもない。
こんなツッコミしかできないおっさんにはなりたくないものである。
ガンダーラ -完-
■感想 このゲームが発売された約1か月後にイースが発売され、ともにトップビューARPGだったために色々比べられてしまった作品。
見た目は圧倒的にこちらなのだが、操作性はスピード感、爽快感やギミックはイースの方に軍配が上がる。
描き込まれたグラフィック内での旅を堪能させたかったのかもしれないが、のろのろ歩きの移動シーンが多いのはやはりつらい。
のろのろ歩きといいつつも、終盤になって様々な敵が様々なエフェクトで暴れまくる中でもゲームスピードは全く変わらない。
なのでこのゲームのプログラム技術は非常に高いのだが、それを堪能できるのはあまりにも先すぎた。
かようにイースに比べ全体的に時代遅れと見られてしまう本作。
だがイースのコピーである「優しさ」も、実際は狙ったものではなく、ボリューム不足を隠す為の苦肉の策の言葉という話もある。
80年代半ばまでのゲームは、理不尽な移動・レベル上げ・謎による多大なストレスの果てに掴むゲームクリアという安息。
そのギャップをどれだけユーザーがぶち切れる寸前のレベルまで大きくするかを、ゲームの面白さとしていた。
ガンダーラも基本的にはそれを踏襲しつつも、レベルアップのしやすい場所があったりとある程度救済措置も多い。
レベル上げもあるにはあるが、これまでのゲームと比べればそう厳しくない。
逆に無意味なレベル上げを否定している本作のシステムは、これまでのゲームの悪いところを良く調査し学んでいると感じる。
つまりイースを瓢箪から駒的な異端のゲームとすれば、ガンダーラはこれまでのゲームの正統進化系とも言える。
よく言えば、安心感があるのだ。
80年代のゲームを語るときは、この安心感が結構重要だったりする。
80年代とは、高度経済成長の終焉による漫然とした不安から軽佻浮薄のバブル時代に至る、どことなくフワフワした時代。
イースがバブルの夜明けとともに生まれたゲームとすれば、ガンダーラは高度経済成長の黄昏に生まれたゲーム。
どちらもほぼ同じ時代に出たゲームなのだが、評するとすればこう評せざるを得ない。
おわり