2020/01/02
イオは微笑む。
空っぽの器を思い出で満たしてくれた主人公に、一行に、この世界の全てにお返しをするために。
イオの体に、
主人公が
降誕せし者から継承しようとした
神骸…だけでなく、主人公自身の神骸や
ジャック、
エヴァの神骸が吸い込まれていく。
遠く離れた地にいる、
アウロラ、
ニコラ、
エミリー、そして
カレンの神骸までも。
この世界にあるすべての神骸を継承したイオは、その体を変え…

巨大な樹…
血涙の大樹となった。
花のように咲く血涙の中にひとつ、大きな琥珀色の血涙が咲く。

それは、そっと主人公の手に収まる。
イオの瞳と同じ色をしたそれは、イオとの別れの形見なのか。
あるいはもっと…

数年後、継承者たちはすべて元の姿に戻っていた。
イオは血涙の大樹として、枯渇寸前と思われていた血涙を現在まで安定的に供給している。
のみならず、吸血鬼たちを隔てる赤い霧さえも維持してくれているという。

ニコラも元の少年の姿に。
継承者でなくなり力を失った彼だが、ミアの騎士で居続ける誓いは変わらず。
ジャック先輩が稽古をつけてくれているらしい。先輩いい人である。

エミリーも元に戻る。
死ぬほどかわいい。そしてなぜかヤクモとさっぱり進展せず、復興した臨時総督府で働いているようだ。
主人公が女でなければかどわかしたいところである。実にもったいない。
臨時総督府と言えば、あれだけ人間やめてる格好になってしまった
シルヴァも元に戻り、この世界の体制を維持し続けているようだ。
クルスの父親だけあって本人もいろいろすごい。
イオはまさしく、この血の霧の牢獄を救ってくれた。
血涙の供給は安定路線に乗り、吸血鬼が堕鬼化を恐れることも少なくなった。
研究者たちは、よりこの世界を、人間にとっても吸血鬼にとっても住み心地よくしてくれるだろう。
だが、所詮ここは、牢獄だ。
居心地のいいこの世界に居続けることが、果たして正解なのだろうか。
ルイ曰く、赤い霧が晴れたとき、外の世界から救難信号が聞こえてきたという。
バケモノにさいなまれる人々の声が。
主人公はじっと、イオのくれた琥珀色の血涙を見る。

イオはなぜ、この血涙を主人公に託したのか。
主人公に何を求めたのか。
この世界と外の世界を隔てる、血の霧の壁の前に立つ主人公。
おもむろに、琥珀色の血涙を霧にかざす。
すると…
霧が晴れた。
みんなを救いたい。それがクルスと、そしてイオの願いであった。
ならば、すべきことは一つしかない。

ふと気づくと、そこに仲間たちが居た。
彼らもまた、主人公と、そしてクルスとイオと同じ思いを抱いたのだ。

主人公たちは旅立つ。
霧の外の向こうへ。
吸血鬼は、外の世界で生きられるのか。
人間の血をすすらなければ生きていけない吸血鬼は、人類の天敵なのに。
それでもなお彼女たちは前に踏み出す。
クルスとイオの思いと共に。
ふと、後ろから声が聞こえた気がした。
振り向くと、そこには…
コードヴェイン -完-
■感想主にレトロゲームしか扱わないこのブログだが、最近のゲームはどんなもんなんだろうと思い、やってみたこのゲーム。
グラフィックは非常に素晴らしい、と思う。PCで最高設定にしたせいもありモーションブラーもバリバリで、見た目より更に迫力がある。
ストーリーは当初非常にわかりにく専門用語だらけで面食らったが、やっていくうちに自然となじんでくる。
物語も王道であり、それなりに感動はする。
システムも自由度が高く、コードも錬血(スキル)も微妙に一長一短あり、自分自身を剣士型にも魔法型にも自在にビルドしていく
楽しさがある…といいつつも大抵は両手剣・片手剣になりそうだが、それ以外にも選択肢があるので長く楽しめるようにはなっている。
最初はもっさり感に面食らうかもしれないが、適度にコードと錬血を変えて自分がしっくりいくスタイルにビルドできるところはよく考えられていると感じた。
かように見るべき点は沢山あるのだが、欠点もそれなりに多い。
まず敵の動きがダイナミックすぎて、ボス戦などは逆にマンネリ感がある。
範囲攻撃、突進攻撃、遠距離攻撃くらいしかなく、慣れるまでは非常に難しいが慣れると「またこの攻撃か…」と思うことが少なくない。
ストーリーは登場人物の掘り下げが少なすぎる。
ヤクモはなぜあんなに仲間思いなのか、ルイはなぜ吸血鬼たちを救おうと思ったのか。
それはヤクモは孤児だったから、ルイはクルスやカレンの生き様に触れて来たからと、記憶の回想でわかるのだが、その持って行き方が乱暴すぎるというか。
そもそも興味のない人間の過去ほどどうでもいい話は無い。
プレイヤーにキャラを好きになってもらうイベントもなく、いきなりひたすら過去を見せつけられるのは苦痛でしかない。
その見せ方も、記憶の世界を歩き回るという手法は最初は斬新だったが、全てがこれだとさすがに飽きる。
これならバイオハザードのような日記スタイルでもよかったんじゃないかと思う。
システムはビルド関係についてはやりこんでいないので何とも言えない。
ただ探索についてはもう少しやりようがあったのではないだろうか。
世界を旅している感が薄く、ジャンプができないせいか世界の奥行きが見た目ほど感じられず。
3Dなのに、ファミコン時代の理不尽なRPGの2Dマップを埋めている感があった。
…などなど。
パッケージとしてはまさしく今風のゲームらしさが出ており、耳目を引きやすい。
だからこそ欠点がより気になるというか、より高いものを求めてしまう。
ある意味、とても贅沢なゲームと言える。