信長の野望 天翔記(コーエー)

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■紹介
1994年12月、PC9801を皮切りに様々なプラットフォームで発売された歴史シミュレーションゲーム。
かつて日本のPCで最も大きなシェアを持っていたPC9801での信長の野望シリーズの最終作であること。
本作以降windowsベースとなりユーザー層が変わったこと。
ゲーム内容が前作覇王伝のような同盟エンドや将軍エンドではなく、武力統一オンリーで分かりやすいこと。
ハック&スラッシュ要素が高く、1回の戦争で複数の城総取りがとても気持ち良いこと。
教育システムを強化したことでお気に入り武将で無双しやすくなったこと。
常に戦争をしていないと相手にたちまち飲み込まれてしまうヒリヒリ感。
以上のようにこれまでのノブヤボシリーズの良いところを寄せ集め、一本芯の通った形に仕上げたことで全シリーズの中でも評価が非常に高い。
だが内政好きであったり、著名武将の強さ(ありがたさ)をすぐ体感したいやや保守的な向きに対しては評価は分かれると思う。

いずれにせよwindowsの波が来るまでの鎖国状態であった日本PC界でブイブイ言わせていたゲームなのは間違いない。
それゆえにsteamでも旧作で唯一HD化されており、今も有志パッチでマイナーバージョンアップされているのは本作だけである。

■評価
B+

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Amazon→信長の野望・天翔記 with パワーアップキット HD Version [オンラインコード]

信長の野望 天翔記 簡易攻略

■起動方法
・PC98版パワーアップキットの場合、ハードディスクにインストールする必要がある
1)MS-DOSの入ったディスクを用意(これを起動ディスクとする)
2)FDD1(A:)に起動ディスク、FDD2(B:)に天翔記ディスク1を入れ起動
3)コマンドプロンプトになるのでディレクトリをB:に移してINSTALLと入力
4)インストーラーが開くので画面の指示に従い順次インストール
5)最初のインストールが終わったら、パワーアップキットのディスク1を入れて再びINSTALL
6)全て終わったら、FDD1に起動ディスクを入れリセット
7)マニュアルプロテクトがあるので各自用意

■基本(以下は難易度中級の場合)
・本作ではCOMがかなり好戦的であり、戦争の仕様上版図が物凄い勢いで増える/減る
・戦争では武将の能力値大正義。2倍ほど兵数の差があっても能力値の高い方が突撃すると低い方が壊滅する場合も
・よって戦闘力の高い武将に兵を預け、相手が弱いうちから攻め込んで撃破
・ただし一斉攻撃は甚大なダメージを受けるので突出しないこと
・また智謀の高い将が城主の場合苦戦必至なので避けること
・内政は基本的にCOM軍団に任せる。米や金は版図を増やせば自動的に増えていく

■序盤
・まず編成し、戦闘力の高い将に兵を預ける。身分よりも戦闘力重視
・内政は1~2年ほどで良い。秋に向かって開墾し、春に向かって町投資。民忠は70~80くらいでよい
・兵は価格が10未満になったら買い時
・行動力が余っていたら戦闘教育(剣術・鷹狩等)・訓練。訓練度は70前後で良い
・戦闘力も訓練度も実戦をすればするほど上がり、昇進もしやすくなる
・昇進をすればするほど率いることのできる兵も増え、ますます強くなる。なのでとにかくなるべく早めに戦争をした方が良い
・同盟を活用する。同盟相手は他に攻め込める場所が無くならない限り、計略に引っ掛かる以外ではまず攻めてこない。壁にしよう

■中盤
・兵種は鉄砲1騎馬0~2他足軽。面倒ならば全員足軽でも可
・軍団を活用する。人によって色々な軍団使用方法があるだろうが、自分の場合富国強兵・戦争させない設定で兵站確保路線
・金はほぼすべて徴兵に使用。行動力が余っていれば施しに使う程度
・ある程度版図が広がってきたら、前線近くかつ徴兵可能人数が多い国に移動→徴兵・訓練・施し→戦争→昇進・褒美を1~2ターンで行う
・武将への褒美は米100で40ほど上がるので、お手軽
・守勢に回るよりとにかく攻めまくる。相手の城は兵0が多いため勝ちやすく、能力値や兵種的性も上がりやすい
・相手に攻め込まれたら相手の戦力が分散されたとむしろ喜ぶべき

■終盤
・日本の半分ほどを取ればほぼ負ける要素が無いが、COM軍団に全委任が負担の場合、敵の版図のうち兵数が多い個所をつぶしておく
・智謀が高くかつ強力な計略(混乱・火計・暗殺)を持っている武将(風魔小太郎・斎藤道三・毛利元就など)がこもる城は非常に落としにくい。注意
・そうした城を落とすには、混乱覚悟で攻撃して開城させ、こちらの鉄砲部隊を近くの櫓などに籠らせて間接攻撃が良い。
・相手に戦闘力・智謀の高い武将がたくさん存在している場合、委任は非常に危険なので手動か後回しに

信長の野望 天翔記 14日目(最終回) 「信長、積木くずし」

前回、戦争の全てを秀吉や家康に任せ、自身は国造りに専念することとなった信長。
案の定というかなんというか、愉快すぎるAIのCOM軍団は大友宗麟にぼっこぼこにされ大潰走。

信長がせっせと育て上げた軍団も大半が瓦解したのだが、それでも戦力差は圧倒的にこちらがある。
なのでそのまま新生COM軍団にひたすら戦争を任せる。
大友氏といえど流石に圧倒的な戦力差は覆すことが出来ず、遂に壊滅寸前のところまで追い詰められ、捕らわれていた大潰走旧信長軍を再び摂取する。

さて、ここまでいくつかの信長の野望シリーズをやってきた。
このシリーズは大抵序盤が非常に面白く、中盤以降はどのシリーズも同じような展開になりダレると言われる。
しかし細かい点を見て見ると、毎回プレイするたびに色々なドラマが繰り広げられていて実に楽しい。

例えば戦国群雄伝の場合、約50年全く戦争しないズボラな家臣団とか
武将風雲録の場合、信長の妹・お市を盾に悪逆の限りを尽くす浅井久政とか
覇王伝の場合、親子の確執を乗り越え息子と姫を信長に託した斎藤道三の愛とか

このようなドラマはプレイするたびに違ったものが見られる。
だからこそマンネリとかねり込みが足りないとか言われがちなノブヤボシリーズは、これまで愛されてきたのだ。

それでは、天翔記はどんなドラマを見せてくれたかと言うと…

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娘がグレる。
軍団が瓦解した時に共に捕まり、以降は大友氏の重鎮としてブイブイ言わせてきたらしい。
この反抗心むき出しのセリフを見るがよい。
おそらくまたしても米漬けにされたのだろうが、父の愛よりも米のほうが大切とは、天翔記、恐るべき子である。

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そんなわけなのでもはや戦う力の残されていない大友氏は遂に信長の傘下に収まる。
そして戦う相手の居ない三好氏は次第に機嫌が悪くなって、しかし無駄にプライドが高く脅迫にも屈せず、向こうから勝手に同盟を切って来た。

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これは好機とみてフルボッコ。
所詮三好長治である。
かくしてイマイチ締まらないラスボスを倒した信長、遂に天下統一。

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エンディングの1カットだが、このドット絵はものすごいと思う。

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そして完。お疲れさまでした。


■評価
巷では評価が高いとされる天翔記。
確かに覇王伝の同盟エンドもなく武力統一しかない本作は天下統一がわかりやすく、城攻めも一気に3つ4つ取れたりしてサクサクだ。
教育システムで武将のパラメーターのふり幅を大きくしたことで、自分のお気に入りの武将を上杉謙信よりも強くできる。
内政の重要度を極端に下げ、戦闘戦闘また戦闘で大勢力と化した大名をザクザク切り刻んでいくのは、確かに楽しい。
天翔記はいわばハック&スラッシュに特化したノブヤボと言え、爽快感はかなり高いと思う。

逆にいえば内政好きや、強い武将をゲットして謙信&信玄のドリームチームを組むのが好きな場合、今回はその要素を出来ない事もないが薄まっている。
自分はまさにそのようなタイプなので、今作の売りを全力で楽しむのは少し難しかった。
とはいえこれは1560年織田信長という、難易度の低いシナリオで始めたせいもあるかもしれず、弱小大名でやればそのカタルシスは他の作品の比ではないのかもしれない。

おそらくやりこめばやりこむほど今作の良さが見えてくるのだろうが、現時点ではこの評価である。

信長の野望 天翔記 13日目 「信長、慌てる」

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もはや戦いの趨勢は決したとして、戦争は秀吉ら配下に任せ、自身はまったり尾張の国造りに勤しむ信長。

だがやはりというかなんというか、COMはまこと頼りなく、大友宗麟の居城に何の策もなく攻め込み、そしてぼこぼこにされ…
秀吉捕縛
このサル、どうしてくれよう。

やはりキーとなる戦いでは信長が出なければならない。
おにょれ私自らが出る!と、信長再び最前線に立ち、大友軍の主力を集中攻撃し粉々に粉砕。

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更に信長直々の命で鉄甲船も買い与え、絶対負けないように気配りをする。
これでやっと国造りに励むことが出来る…と安心して尾張に再び戻っていく信長。

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まずは清州城城下を全てマックスにし、喜色満面ご満悦の信長。
一方最前線では…

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家康、大苦戦
大丈夫かなぁ…
ちなみにこの風魔小太郎は長らく信長軍の配下だったのだが、秀吉大敗北の際に捕縛され米漬けにされて敵として立ちはだかったのであった。
おのれサル、今度会ったらおしおきせねばである。


■現在の状況
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圧倒的な信長軍。
敵の兵士数は最大勢力の大友氏でも信長軍の約20分の1。
これは1年前の状況なので実際はもっとあると思う。
だがそれでも風魔小太郎一人に苦戦する信長軍。
毛利元就の例もあるし、このままずるずる行きそうな気がしないでもないのだが…

信長の野望 天翔記 12日目 「信長、軍団を分ける」

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信長、遂に西日本をほぼ制圧する大友氏と本格的に激突する。
が…やはりというかなんというか、弱い

天翔記で一番つらいのは版図拡大に遅れて相手に物量作戦を仕掛けられる序盤~中盤だと思う。
それ以降は米も金も潤沢になり、しかも領地であればどんなに遠くても兵の多い国で徴兵して戻ってくるということが出来る。
さらに戦争は行動力消費のみであり、武将が行動済みでも動員できるので瞬く間に版図を広げることが出来る。

相手も同様の戦略を取ってきたら流石にきついが、どうも難易度中級のせいかそこまでガツガツとした戦略はしてこない。

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こちらは信長率いる戦争専門軍団のみで戦争してきたので、実戦経験を積み過ぎた信長軍は軒並み戦闘力150以上。
一方大友氏は軍団や武将を万篇なく動員してきたせいか、戦闘力は多くても120くらい。
戦闘力大正義の天翔記でそれでは話にならない。

かくしてある意味ここまでの信長の野望シリーズの様式美でもある、終盤無双が幕を開ける。
同等レベルの巨大勢力がぶつかる戦いになるのは革新以降な気がする。

そこで信長はあとは軍団任せ、自身は父祖の地尾張で国造りに励もうと思う。
私のノブヤボプレイは大抵このパターンである。

これまで軍団は二つに分けており、一つは上の表にある戦闘集団の第一軍団。
もうひとつは内政メインでひたすら物資を蓄える第二軍団だ。

ところが第二軍団の抱える領地があまりに広く、秋に1回年貢徴収するだけで軍団が持てる米の最大量(六万)を超えるようになってしまい実に勿体ない。
そこで…

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このように軍団を4つに分け、信長率いる第一軍団は政治力が高い連中ばかりあつめて尾張に引きこもりひたすら内政。
残りの三軍団を戦闘力の高い連中を振り分けて勝手に西日本を攻略してもらおうと言う腹だ。

しかしCOMが残念ということは同じくCOMが操作する軍団も残念ということになりかねないが、そのくらいの刺激が無いとノブヤボ終盤は楽しめぬのだ。


■現在の状況
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大友氏と大激突したものの、こちらが強くなりすぎてしまい軽く駆逐する。
その勢いで一気に近畿も制圧。

四国に三好氏が居るが、こちらは信長と同盟を結んでおり現時点では味方だ。
いずれ敵になると思うので今のうち脅迫して取り込もうと思うのだが、さっぱり首を縦に振らない。
流石近畿の梟雄の血筋だけはあり、プライドが高い。
しかし権謀術数を極めた三好長慶以降の血筋はイマイチぱっとしない。
現在の当主は三好長治。
プライドの高さと能力値が比例しないところもまたとても三好らしい。