スタートレーダー(日本ファルコム)

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■紹介
1989年、PC8801SR以降・PC9801用に発売されたシューティングゲーム+アドベンチャーゲーム。
のちにアドベンチャー部分を簡易化してX68000でも発売。
ウルフチームのミッドガルツ同様、このような形式のゲームは大抵どっちつかずになりがちで評価が低い。
更にこの頃はイース3発売を皆が待ち望んでいた頃なのでがっかり感もあり、内容面以外のところで必要以上に低評価されている。

しかし内容面は個人的にはそんなに悪くないと思う。
アクションゲームの苦手なPC88では結構頑張っている。
巨大戦艦や爆発する要塞からの脱出など、ケレン味あふれる演出が多く起伏あふれる展開が楽しめる。
ゲーム性も武器によって敵へのアプローチが結構変わったりして、意外とこなれている。
もう少しライバル機等出すして物語としての面白さを出しても良かった気がするが、上を見ればきりがない。
大量ページの漫画や取扱説明書、コースターも凝っており、買った者を出来るだけ損しないようにという心配りが伝わる。
それにかける労力をゲームに回せよ!という声は、ヤボというものである。

■評価
B+

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簡易攻略はこちら
Amazon→MUSIC FROM STAR TRADER

スタートレーダー 簡易攻略

■基本
・ESCキーを押して画面を止めてからファンクションキーのF1~F3を押すことでゲーム全体の速度を変更できる。難しい個所はこれで
・武器は何を使ってもクリア出来るが、マウントAはフォトンβ、マウントBはガルムがオーソドックスかもしれない
・一番最初にボルマン商会から受ける仕事は、シブラへ密造酒を運ぶ仕事かルーファに鉱石を運ぶ仕事がランダム
・前者よりも後者の依頼の方が余分に金を稼げるので、楽に進めたい人は後者の依頼が出るまでやり直すのも良い

■各面の攻略
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(ミディーラ~シブラ)
・アステロイド地帯
・画面左下(復路の場合は画面右下)に居てひたすら武器を撃っていれば良い
・浮遊機雷を打つと爆風を盾代わりに出来る。放置すると自機の手前で爆発することもあるので、射線が合いそうなら意図的に破壊
・岩石砲台の上下移動に当たりそうならこちらも意図的に破壊
・カインが捕まった後の復路ではボスが出てくる。速度を落としたほうが倒しやすい

(ミディーラ~ルーファ)
・ポリス警戒地帯
・敵機の動きがトリッキーなので下手に動かない方が良い。ミサイル地帯までは後方に、ミサイル地帯では画面中央下で地上砲台を壊しつつ
・機動衛星ミョルニルの電撃は避けようがないので必要経費。真ん中の波動砲開口部に確実に攻撃を当てよう

(ルーファ~オグマ)
・プロミネンス地帯
・前半の軍の哨戒機?は一番後ろに居ると体当たりされるので、画面中央に位置しておく方が対処しやすい
・ツインバルカンがあれば後ろからの敵も倒しやすい
・レーザー戦艦グルヴェイグの砲台は強力なので正面から打ち合わない。
・グルヴェイグのミサイルポッドのミサイルはある程度離れればこちらのY軸に合わせてこないので落ち着いて対処

(ヴァハ~シブラ)
・宇宙生物ゼライア地帯
・このゲームの最難関ゾーン。スピードは落とした方が良いだろう
・ゼライアはたまに出たりでなかったりするので運が良ければ抜けられる、かも
・ゼライアの弱点は根元だが、なかなかに硬い。無理して倒そうとしてつぶされることもあるので注意
・避けるときはY軸をいったん合わせてから抜けるようにすれば多少は抜けられやすい
・どうしても無理な場合、ヴォクトの誘いを拒み続ければギュンダーが助けてくれる。ちょっと後味悪いけれど…

(オグマ~リガンディア)
・植物プラント
・後ろから敵が結構な頻度で突っ込んでくるので注意深く。後ろにも攻撃できるツインバルカンがあれば楽
・ミサイル戦艦ベルセルクは基本的にはレーザー戦艦グルヴェイグと同じ倒し方で良い
・ただし二番目の弱点が艦首に出現するので、正面のミサイル砲台はヒット&アウェイなどして丁寧に壊しておく

(リガンディア~モルガナ)
・モルガナ要塞に突入する
・要塞前に小ボスがいる。スピードが速いと反応しきれないので落としておく
・自機のミサイルはガルムだとスクロール速度に付いていけない。別のにしておこう
・狭いところから広いところに出る時、上下から移動砲台が出る場合があるので注意しておく

(モルガナ~ミディーラ)
・モルガナ要塞を脱出する
・このゾーンで強敵なのは遮蔽板。閉まってから破壊しようとすると後ろの爆発に巻き込まれるので、常に前のめりに位置しておく
・狭いところから広いところに出る時、高確率で壁があるので予め上下に避けておく
・新鋭空母ナグルファルは艦載機射出口を破壊しておかないと敵機と弾幕で大変なことになる
・ガルムがあれば垂直射出口を壊しやすくて便利

(星系中央部)
・道中は左上から自機2機分右に居れば敵に当たらない
・ヒューギ第一形態は雷撃を発する角を速攻撃破。撃破した部分からは雷撃は出ないので倒しやすくなる
・雷撃はシールドが効かないので使わない方が良い
・ヒューギ第二形態は目玉特攻とWay弾。Way弾は破壊可能なので武器を打ちっぱなしで良い。シールドも効く
・目玉はまず前方に特攻し、次に回転しつつ自機に向かってくる。しかしホーミングというわけでもなく、ある程度進むとまた回る
・スピードが速いと非常に対処し辛いので、スピードは一番遅くしておく

スタートレーダー 10日目(最終回)「ヒューギ」

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人をより高い次元まで高める宝「リガシア」。
それに近づく者は容赦なく殺し、人生を狂わせてきたリガシアの番人ヒューギ。
人ならざる紹自然生命体であるこのヒューギにこれ以上振り回されてはならぬと、カインはヒューギの討伐に向かう。
目指すはヒューギの住まう星系中央部。

そこでは白骨の悪霊がうろうろしていた。まことにおどろおどろしい。
ちなみに写真の位置に居ればカインはダメージを受けない。
ヒューギはかなり強いので戦力を温存しておこう。

そしてついに星系中央部の最深部にたどりつくカイン。
何やら得体のしれない者が現れ…実体化する。

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これがヒューギだ。

オープニングに出てくる…

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こいつの横顔というわけだ。
どことなくファニーな造形をしているヒューギだが、流石に太古の昔から人類を操って来た得体のしれない存在だけあって、強い。
まず前方に伸びたアンテナみたいなところから、当たるとかなり痛い雷撃をぶっぱなしてくる。
この雷撃はシールドが効かないので、速攻で上二つのアンテナを壊すと良い。

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こうなると上の方にはあまり雷撃が来なくなるので、あとはガルム等三方向に出るミサイルで安全圏からアンテナを壊そう。
資金繰りを間違えて最終決戦なのにバルカンで挑んでいるカインだが、その半面強いミサイルを買えて楽である。
最強武器のフォトンβは正面に立つしかないので案外こちらの方が苦労するかもしれない。

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アンテナを全部折ると、今度は後ろからWay弾を撃ちつつ、おでこから目玉を飛ばしてくる。
この目玉は動きがかなりトリッキーで、慌てているとぼこぼこ当たる。
ここはESCキーを押しファンクションキーでスピードを一番遅くすると見切りやすい。
目玉は最初必ず前方に突っ込んで来るので上にさっと避け、その後ぐるぐる回りつつこちらに近寄ってくるので大きく遠ざかろう。
しばらくおでこの弱点を撃っていれば超自然生命体もお陀仏になる。

というわけで凱旋するカイン。
結局ヒューギが守っていたリガシアとはなんだったのか…そのヒントをレフィが語る。
それは人類をより高い次元に引き上げるもの。
より具体的にいえば、別次元への航行を可能にする理論。
このゲームの取扱説明書には、唐突にワームホール理論を紹介するページがあったのだが、そこに繋がるのであろう。

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ヒューギを倒したことにより、行方不明になっていたシーラや記憶喪失になっていたパティなどは元に戻る。
ヴォクトは海賊稼業を再興し、カットナーはポリスに復職したようだ。
死んだと思っていたマーシュは生きており後日リガシアを理論化した航行エンジンを発表し、ギュンダーもまた生きておりどこかで政治活動をしているらしい。
そしてカインは忙しく運び屋をし、レフィはそんなカインを追っかける毎日。
大団円である。
かように主要人物全員はなんだかんだ全員生き残っている。

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最後にレフィの無声メッセージが流れ、この物語はひとまず幕を閉じる。
続編の匂いを多分に残して…もう30年以上経っているけど。

スタートレーダー -完-


■感想
このゲームの評価は、ゲーム内容よりもPC8801というパソコンについてどう思っているかによってガラリと変わると思う。
冷徹にゲームとして見ると、STG+AVGというのはハード性能以前に企画的に無理があったと思う。
STG自体は全部で7面あり、これはこれでオーソドックスなシューティングと同じだ。

ところがAVG要素を入れ、その移動手段をSTGにすることでSTGに作業感が生まれた。
またスコアも無いのでスコアラー的な楽しみも無い。
AVGもAVGで、STGを入れたせいで謎解きも無ければキャラの掘り下げも無い。
AVGファンとSTGファンのだれも得をしない、二兎を追う者一途を得ず的な作りになってしまった。

だがそれがどうしたというのか。
このゲームが走っているのはPC88である。
アクションゲームを走らせるには非常にきついこのマシンで、あえて困難なことにチャレンジしているのだ。
面もバラエティに富んでおり、巨大戦艦や当時にしては数の多いボス達、そしてスターウォーズばりの爆発からの脱出シーンなど、見どころ満載だ。
しかも意外とバランスも良い。最強武器でなく最弱武器のバルカンでもクリアできるし、武器もレパートリーに富んでいる。
遊ぶたびに武器に応じたいろいろな楽しみ方が出来るのだ。
単なる無双では終わらない絶妙な資金バランスの良さを、今改めて感じているところである。

そんなわけでこのゲームは意外とゲーム性も悪くない。
確かにケレン味に針を振りすぎてしまい、すぐに終ってしまう。
だけどこのゲームにお金を払ってくれたプレイヤーには、出来るだけ楽しんでほしい…
そんな開発者の熱い想いはパッケージのおまけの多さからも感じ取られる。
そのユーザー第一の姿勢がゲーム内外から暖かく伝わるこのゲーム、少なくとも個人的にはとても心地よいものだった。
ゲーム単体としてではなく、全てを見れば、このゲームは買って損は無かった。

と思いこみたいほどに8700円は高かったよ!

おわり

スタートレーダー 9日目 「かすれる記憶」

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モルガナを脱出したカインを待っていたのは、孤独だった。
自分の身の回りの人間はほぼカインに関する記憶を失い、シーラは行方不明。
自分と親しいレフィは離れ、海賊ヴォクトはアジトを破壊され消息不明。

パティに会いにルーファの酒場に言ってみるも、彼女はカインの事を覚えておらず、またしても頭痛と共に呟く。
ヒューギ…」と。

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酒場の帰りがけに、ヴォクトと会う。
彼はカインの事を覚えていたが、彼と普段接していた人間は全て彼のことを忘れていたという。
彼はリガシアという宝があると聞きそれに接近していた。
それが宝では無いと知った時には、彼のアジトは軍に壊滅させられていた。

復讐に燃えるヴォクトはたった一人で軍とやり合い、その結果大怪我を負ってしまった。
その軍を動かしているのが、ヒューギといわれる存在らしい。
ヤツは人では無い、化け物だ。
人も軍も自在に動かせる。そうしてリガシアに接近しようとする輩を人々の記憶から文字通り消去させることで、闇に葬ってきたのだ。
ヴォクトは落とし前をつけてやると、再び一人でヒューギに戦いを挑んでいった…

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オグマにいくと、カットナーとレフィが居た。
レフィはヒューギを倒す力を捜し求めていた結果、カットナーに接近したようだ。
そのカットナーも持ち前の義侠心からヒューギを倒そうとする。
ヒューギの正体は、遥か古来からリガシアを守り続けていた超自然生命体…らしい。
軍を統べ、人を操り、リガシアに近づく者を葬ってきた。
リガシアがあれば人はより高いそら(次元)に飛び立てる。それをヒューギは許さない、ということだ。

このあたりは当時のSFによくあった、戦争ばっかりしている未熟な人類に危険なおもちゃはあげられないよ!というヤツだろう。
ただ、理由は不明だがヒューギは今弱っているらしく、倒すのは今しか無いそうだ。
それを聞いたカイン、1ミリも逡巡も無く倒す決意をする。人類という奴はまったく。

というわけで、次回いよいよ最終決戦!


(おまけ)
このゲームは一本道と言いながらも、結構分岐があるといえばある。
上の記事ではカインはみんなの期待を背負って(乗せられて)ヒューギを倒す決意をするが、きっぱり断ることも出来る。

すると…

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ボッコボッコ
ちなみに最後のセリフは愛機フェンリルの人工知能だ。
機械にさえ見放されるカイン。
これはわりとプレイヤーもリアルでへこむ。

だがそれだけだとゲームが終わらないので…

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辺境の惑星リガンディアでレフィが待ち受けており、結局彼女の依頼を受けるまで先に進めない。
この強引さもレトロゲームの醍醐味である。

スタートレーダー 8日目 「新鋭空母ナグルファル」

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迫り来る爆炎を掻い潜り、間一髪モルガナから脱出するカイン。
だがそこにはヒューギが差し向けた新鋭空母ナグルファルが待ち受けていた。

ナグルファルはどういう構造になっているか不明なのだが艦載機を無限に持っており、その艦載機が弾をばかすか撃ってくるのでたまらない。
ただカタパルト射出で急な方向転換が出来ないのか、艦載機自体がUターンして襲い掛かってくることは無い。
されたら困るけど。

そんなわけでこのボスはなかなかに強いのだが、リガンディアで買った誘導ミサイル「ガルム」のおかげでそう難しくない。
当初はフォトンβが無いときついなと思っていたが、今振り返ってみるとこのゲームは資金バランスが絶妙だと思う。
フォトンβを買わなければガルムといった高性能ミサイルを替わりに買う金は残るので、それはそれでシューティング面が新鮮に楽しめるのだ。
このゲームはなけなしのお小遣いを8か月溜めて買ったゲームなので、そう思いたいだけなのかもしれないが。

さて、無事モルガナを脱出し、一番最初の惑星ミディーラに戻ったカイン。
これからどうすべきかと占い師シーラの元へ相談しに行ってみるが…

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そこはズタズタの廃墟になっていた。
一体何がどうなっているのか。
仕事の斡旋者ボルマンのところに行って見ても、彼はカインの事を覚えておらず、激しい頭痛にさいなまれていた。
そしてその頭痛の際に発した呟きが、「ヒューギ…」。

どうもこのヒューギというのは対象の精神状態まで操ることの出来る、とんでもない存在のようだ。
恐ろしいヤツを敵に回したものだとカインが愛機フェンリルに戻ると…

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そこにレフィは居らず、別れを告げるメッセージ映像のみ残されていた。
どうやらレフィの持つ宝石が、マーシュ博士とギュンダーが求めていたリガシアと重大なかかわりを持っているらしく、これを持ってヒューギと一人で戦おうというのだ。
どのような手段で戦うのかは謎だが、これ以上いろいろな人を巻き込むわけには行かないという判断であろう。
派手な髪の色をしながら律儀である。

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ちなみに海賊ヴォクトはどうなっているかとシブラに向かってみるが、ヴォクトは居らず船はどこからか攻撃を受けて壊滅していた。
ヴォクトもまた、リガシアに近づこうとしたのだろうか。
リガシアに関わろうとしたものは全て殺される。それはカインも例外では無いのか。
外堀を少しずつ埋めてくるヒューギに対し、カインは…!?


■ワンポイント攻略
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新鋭空母ナグルファルは弱点が二つある。
上の箇所と…

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ここだ。
ぱっと見見辛いが、攻撃が当たれば空母が白く光るのでそれでチェックしよう。

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ナグルファルは艦載機をぼろぼろぼろぼろと出し、その射出口は水平射出口と垂直射出口がある。
ひたすら前方に艦載機を射出する水平射出口はバルカン等を撃っていれば良いが、垂直に射出するタイプは大変だ。
もしも誘導ミサイル「ガルム」を持っていればこれを撃ち続けていれば勝手に壊れる。
しかしそうでない場合は上手く上下に出るミサイルを重ねるか、あるいは放置するしか無い。
簡単にフォトンβ無双できないゲームデザインが中々よろしい。