2017/02/13

オリンピックの数々の種目の中で、一番注目されるのは100m走とされる。
シンプル・イズ・ベストを体現する種目であるからだ。
バウワウカップにおいても、それは変わらないのかもしれない。
最強最速犬ルイスがバウワウカップの頂点とされているからだ。
その頂点に、日本のももじがついに挑む。
日本の悲運のスプリンター・ヤスタケ監督の引き合わせでももじがルイスと野試合をしたとき、4秒差も付けられ惨敗した。
そして月日は経ち、今のももじはあの時とは見違えるようになった。
誰も越えられない世界新をたたき出した、その犬なのだ。
だが、バウワウカップには魔物が潜む。
こうした大舞台で結果を出してこそ、真のスプリンターなのだ。
世界最強最速犬を決める戦いがあるとすれば、おそらく今日。
ももじvsルイス、日本vsアメリカ。
今、宿命の戦いが切って落とされた!
100m走のおさらいとなるが、これは「よーい」の後から「スタート」になった瞬間にマウスをクリックすることで走り出す。
この反応速度が速ければ速いほど良い。
そのタイミングは大変シビアであり、スタートの表示が出てから押しては遅いくらいである。
よーいの時にボタンを押下し、スタートの瞬間にボタンの押下が完了する、そのくらいのタイミングが問われるのだ。
これも他の種目と同様、自動でもある程度の結果を出せるがブレるため、タイミングを極めるにはプレイヤー自身が手動で行わなければならない。
その重圧はハンパ無い。
まずは予選。
アメリカのルイスと、あとドイツのアドルフとロシアのクドラフカとエジプトのアキレス、これ以外の他の連中は正直ももじの敵ではない。
軽く流してぶっちぎりのトップを取る。
そしていよいよ本選。
各国を代表する犬たちがスタンバイ。
水を打ったように静まり返るスタジアム…
よーい…の掛け声が響き、スタート!の声と共にダッシュするが…

反応速度は
0.11秒。
これでも充分速いほうなのだが、世界トップを狙うとなると0.05秒未満でないと厳しい。
厳しいのだが・・・ももじにはこれまで鍛え上げてきた瞬発力と脚力がある。
秋田犬としての意地がある。日本の全ての人々の思いがある。
それぞれの思いを力にしたももじは、失敗に値する反応速度をであってさえも、序盤からトップを走るに至った。
僅かの差で2位はルイス、3位以下はドイツのアドルフ、ロシアのクドラフカ、エジプトのアキレスが団子になって続く。
そして…

2位以下は激しい追い上げを見せるが、それ以上に素早いももじの足は彼らを終始寄せ付けず、ゴール。

記録は6.384秒。
1位はももじ。金メダルだ。
金メダル、
金メダル!!!日本のももじ、走り幅跳びに引き続きバウワウカップの華、100m走についても金メダル獲得!
あの最強最速犬ルイスをオリンピックという大舞台でも下し、ついに地球最速の犬となったももじ。
やりました。やってくれました。
日本のももじ、金メダルです!メインポールに日の丸が揚がります!
泣いております!日本の全ての人々が泣いております!プレイヤーも泣いております!
ゲームを始めた時はぶっちぎりの最下位だったももじ。それがまさかここまで登り詰めるとは…
感慨深いにも程がある。
最高のゲームである。