ラディア戦記 黎明編(テクモ)

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■紹介
1991年、テクモより発売されたファミリーコンピューター用アクションロールプレイングゲーム。
スーパーファミコンが発売され、ファイナルファンタジー4が発売された後のゲームであり、注目度が低かったが丁寧につくられた良作。
音楽、グラフィックともファミコンのレベルを超え、キーレスポンスも良くゲームはテンポよくサクサク進む。
移動が遅いことと、一部ゲームバランスやストーリーは大味なところがあるが、当時からすれば充分なレベルである。
ストーリーも切なく、最後の展開はホロリとさせられるかもしれない。
黎明編という名の通り適度な謎は残すが、後味はすっきりしておりこれ一本でも充分満足に楽しめる。
本当にそつの無い良作である。あと1~2年早く発売されていたら化けていたかもしれない。

■評価
B+

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ラディア戦記 簡易攻略

■戦闘
(魔法)

・ヒールズは全員体力回復魔法。最重要なので最後の最後まで取っておく
・エスケプ(ダンジョン脱出)・エステラ(状態異常回復)・スワプラ(位置交換)は殆ど使わない
・パニマム(敵全員麻痺)はお好みで
・攻撃魔法は、ライガー・ルピアスは画面全体に大ダメージ、デスペルは画面全体の敵を即死。これが強いので要所で
・そのほかの攻撃魔法は飽くまでケズリと割り切る
・また、クラゲみたいな敵はへろへろ光った後画面全体に強力な攻撃魔法を撃ってくるので、光っているうちに攻撃魔法でその発生を潰すと良い

(味方AI)
・かなりお馬鹿で主人公の邪魔になること多々。でもそれが致命的になるバランスでもないのでほっこり愛でよう
・剣が届かない位置にいる空中の敵は主人公・ハーマンではどうにも出来ないのでのんびり待とう

(アイテム)
・トラベルベルやどんがめの足など状態異常系はいらない。回復系で固めよう
・まきものは終盤で買えるようになるので、取り残しても問題ない
・デスペル・ヒールズが使えるミデアにエリクサーをがぶ飲みさせれば楽に進めるかもしれない

(ボス戦)
・分裂するボス、シヴァがやや強敵。体力回復アイテムをたくさん持とう
・ナイトメアーは体力回復剤がぶ飲みでひたすら口を叩けば良いが、波動砲が出るまで若干間があるのでそれを避けて無駄な出血を無くすのも大事

■マップ
大体素直な作りだが、2点難儀したので記す。

(レマ砂漠)
・エルファス城北の洞窟に入り、右に道なりに進む
・又は、エルファス村を東に出て草原を進み、盗賊のアジトがある山を登りその頂上の洞窟に入り、出口まで進む

・平野に出るので道なりに進むと、ゼノビアの町を北に見つつ、ピューポーが居た草原を西に進む
・そこを更に西に進むとハーマンと出会った橋に出る
・橋を渡って西にフバートの立て札がある。そこをひたすら北に進めば北西に砂漠が見える。そこがレマ砂漠

(神殿2階)
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ラディア戦記 20日目(最終回) 「夢の果て」

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聖域の奥に、「彼」はいた。
「彼」は現実の世界の住人であり、そして夢使いと名乗っていた。

その能力を持って世界中の夢を集め、レフィス姫、ガディスという敵、ダルスといった仲間たちを作り出した。
それらは綿密に作られた物語であったが、その物語の登場人物の一人ひとりは、元はといえば誰かが見た夢なのかもしれない。

「彼」は、それを紡いで出来上がった物語を、このレムリアルと言う世界において、一つにまとめようとした。
作り出したものとはいえ自由意志を持っている登場人物をまとめる手っ取り早い方法は、恐怖で統制することだ。
その恐怖の存在をも、「彼」は作り出した。
その名は、ナイトメアーと言う怪物だ。
「彼」はそれをレムリアルに解き放つと言う。

しかし…
得意げに笑っているところで、彼はその怪物に食われてしまった。
怪物は所詮怪物なのだ。

けれど主人公の本体である「彼」が死んでも、何故か主人公は生きている。
ならばすることが一つ、このナイトメアをここで倒し、レムリアルを恐怖から開放することだけだ。

こうして戦いが始まる。
こいつは子分を生み出してくるが、これはそう強くない。
ただ本体にはダメージが中々与えられない。
ナイトメアーは口から時々波動砲みたいなものを出すが、これを出しに口を開ける時しかダメージが与えられないようだ。
なので何10発も波動砲をくらいつつ、その都度ポーションや肉や薬草をガバガバ食べて回復する。
敵も強いがこちらもクスリ・魔法・道具と圧倒的な物量がある。
ひたすら両者が消耗しまくる戦いになるかと思いきや、割とあっさり終わる。

こうしてナイトメアーは倒れ、聖域は閉じた。

ナイトメアーが倒れ、「彼」が死に、「彼」が作り出した主人公や、レフィス姫、仲間たちがどうなったかというと…
生きている。自分たちだけでなく、町の人々やピューポー(白菜)も。変わらぬ日常が変わらぬ姿でそこにあった。
物語はまだまだ続くのだ。このレムリアルという夢の世界の中で。

「彼」は自分のことをこうも言っていた。救世主であると。
それは自意識過剰なエゴにも聞こえるが、文字通り彼がレムリアルを舞台にした物語を作ることで、皮肉にも崩壊の危機にあったこの世界は安定したのだ。

しかし現実に生きる主人公、つまり「僕」だけは、この世界では生きられない。
レフィス姫は「僕」と心を通わせるが、彼女の思いは届かず、「僕」は消える。

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この世界は「僕」にとって夢だから。
「僕」が目覚める時、それがこの世界での別れだから。

しかし夢の世界だからこそ、「僕」が夢を見れば、またレフィス姫たちに会える。
物語は確かに、今でも続いているのだから。

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「僕」が夢を忘れない限り。

ラディア戦記 黎明編 -完-



■感想
このゲームにある黎明編という副題の通り、色々含みを持たせた終わり方をした。
主人公である「僕」は、本体である「彼」が死んでも何故生きられるのか。
本体が死んでいるのに、目覚めた「僕」は、何処に戻ったのか。
「彼」が言う救世主と言う言葉は、もっと言葉以上の大きな意味があるのか。
現実の世界は、夢の世界に逃げ込んですがらなければいけないほどのところなのか。
PSの風のクロノアも含めて、このゲームはとある巨大な叙事詩の一部なのかもしれないが、その全貌は今のところさっぱりである。

ゲームとしては味方AIがお馬鹿なところもあるが、当時のレベルからすれば仲間が意志を持ってウロウロするというだけですごいものである。
デモシーンも忍者龍剣伝ほどでもないがそれなりに動き、ビジュアルは色々と気合が入っていて良い。
ストーリーは説明不足な所が多々あるが、これも当時の限られた容量では頑張ったほうだろう。

だがゲームバランスは難しくは無いが、やや大味。
後半は戦略というものもなく、ぽろぽろでる回復アイテムをがぶ飲みして強引に進めていく場面が多い。
フィールドの移動に関しても転移の魔法みたいなものが無く、同じ道を行ったりきたりがかなり多くて若干ストレス。
歩くのが遅めなのもちょっと困る。

とはいえ全体としてはやはり頑張って作られており、楽しめる作品であった。
既にスーパーファミコンとそれなりのソフトが出ている時期の作品であり、あまり見向きされなかったというのが実に勿体無い。

ラディア戦記 19日目 「対決・ガディス、そして真相」

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エルファス城に飛び立った主人公たちは、エルファス城経由で秘密の経路を通り、これまでエルファス城には入れなかった箇所を通る。
そしてその最上階に、レフィス姫が倒れていた。
ガディスでは、ラディアの塔の聖域を開くことは不可能であることが判り、用なしになったからだという。

これでガディスの野望もご破算な訳だが、ケジメを付けるためにガディスは戦いを挑み、受けて立つ主人公たち。
ボス戦だ!が、ここにきてボスのAIがよりによって開幕猛烈ダッシュで逃走ルーチンだ。
こんな場面でオチをつけなくても良いのに。
けれど攻撃は派手で凄まじく、こちらが攻撃を受けると画面端まで吹っ飛ぶ。これは初見だとかなりびびる…が。
攻撃力はそれほどでもなく何度でも耐えられるので、背中を味方に預け吹っ飛ばされないようにして切り刻む。
これでガディスは倒れる。

ガディスは言う。
レムリアルと呼ばれるこの世界が夢の世界だということは、主人公がこの世界に来るまで知らていなかったと。
しかし主人公という異世界の住人がこの世界に来たことで、この世界は夢の持つ力によって作られた、非常に危うい世界だと判明した。
危ういながらも自分の生きる世界であるこのレムリアルを守るために、ガディスはガディスのやり方で動いていたのだ。
しかしそのやり方は強引過ぎた。

ガディスが聖域への扉を開けなかった理由、それは他人を信じる心という真実の宝を手に入れられなかったからだ。
そんな子供が泣きそうな仮面を付けてるから勘違いされるんだよ!と突っ込んではいけない。

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信頼という武器で絆を繋いだ主人公と仲間たちが集まり、それによって聖域の扉が開く。
すると…何と、その場にもう一人の主人公が現れる。

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「彼」は現実の世界の人間だ。
夢には力があり、それが集まって作られた別世界レムリアルが存在するのを「彼」は知った。
それを可能にする力が聖域にあると知り、それを使って自分だけの夢の世界を作ろうとしていた。
ところがそれを開くには信じる力という小癪なモノが必要だという。
そこで何も知らない無垢な主人公、つまりここまで冒険をしてきた主人公を作り出し、彼にそれを得させようと、その周りの人々を作り出したのだ。

そんな「彼」は、聖域を稼動させるレフィス姫を連れ去り、封印が解かれてしまった聖域へと進む。
このまま座して、[彼」望むままに世界が変わってしまうのを黙って見ている訳には行かない。

いくら自分たちが「彼」の私利私欲によって生み出されたものとはいえ、生み出された以上生きる権利はあるはずだ。
仲間は「彼」が作った幻ではあるけれど、これまで心を繋いで一緒に戦ってきた仲間だ。

最後の敵は、自分自身。

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空想の幻達は、自分達の居場所を守るために、現実の人間に最後の戦いを挑む。

ラディア戦記 18日目 「対決・シヴァ」

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フィッツカラルド号に乗り込んだ主人公達。
シヴァとガディスの野望を食い止め、世界を救うべくブリッジまで(宝箱を回収しつつ所々にあるベッドでスヤァと寝つつ)急ぐ。
途中で凄まじい振動。どうやらついに最終目的地、ラディアの塔に着いたらしい。

ブリッジまで降りると…誰も居ない。
既に敵はラディアの塔に向かったのだろう。

ラディアの塔は未来的なクリスタルな作りをしており、内部も何処と無く今までと違うい、白く光る壁で出来ている。
古代文明の遺産的な何かなのだろうか。まぁこの世界は夢の世界らしいんだけど。
そして頂上に行くと…そこにはシヴァだけが居た。
ガディスは既に別のところに飛び立ってしまったらしい。

別のところ?どこだ?と問う間もなく、シヴァは襲い掛かってくる。
ワープしつつ攻撃してくる厄介な奴だ。
どれだけ厄介かというと、上に挙げた画像でミデアが受けたダメージ、これが一発分のダメージだ。
当たると恐ろしく痛い。
が、こちらにもヤケクソのように薬草とポーション、そして体力回復魔法がある。
激しい消耗戦の末、ついに撃破を果たす。
しかし諦めないシヴァ、最後の足掻きで何かとんでもない魔法をかけようとしたその時…
突然、別方向から魔法を撃たれガックリ倒れる。

魔法を撃った者、それはサリアだった。
サリアはスパイとして主人公たちと一時期行動を共にしていたが、彼女は冒険中、崩れる橋から落ちそうになり、それを味方のダルスに助けられた。
このことがきっかけでダルスに惚れてしまったのだ。
彼女にとって、ダルスとその仲間たちと敵対する事なんて、出来ない。
随分ピュアな少女である。
そしてそれを「お前はダルスに惚れていたのだな!」と大勢の前で大声で言うシヴァ。
随分デリカシーの無い親父である。

シヴァが言うに、この塔は実はラディアの塔ではなく月の塔と呼ばれるところらしい。
この塔はラディアの塔からのエネルギーを受け、全世界に広める受信機としての役割に過ぎない。
ラディアの塔は聖域と呼ばれ、それは別の場所にある。
そこに辿り着くための場所は、なんとエルファス城。
主人公が辿り着いた最初の村であり、その村の湖畔にあった寂れた城だ。
エルファスに住む人々は、ガディスやレフィス姫の故郷アークの国に連なる者たちだったのだ。
とはいえアークの国がどんだけすごいのかイマイチ描写不足なので、余り感慨も無いのだが…

ともかく、こちらにガディスは向かった。
このままではどう考えても間に合わないのだが、サリアがそこまで魔法で飛ばしてくれるという。
5人も一度に魔法で飛ばすと体が持たないぞとダルスが叫ぶ。
しかし彼女は…

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その身を挺し、この世界の未来を賭け、皆を飛ばす。
健気な少女である…
まぁパンクなんだけど。

辿り着いた先は、エルファス城。
最後の戦いは近い。